私の大人時代③　スピリチュアルと父の死

両親の離婚

順番が少し前後するが、私は高校生くらいの頃から、父が浮気をしていることに気づいていた。最初は、下着だった。それまで、ブリーフだった父のパンツがチェックのトランクスになった。なんか変だなと思った。私が大学生になると、母は祖父の介護で自宅を離れられなくなっていたのにもかかわらず、父は外泊が多くなり、祖父が亡くなると父はさらに帰宅しなくなり、私が就職していた頃は、さすがの母も気づいて半狂乱になった。
面倒な離婚をする気はないけれど、母にはわずかの生活費しか渡さず、自分は遊ぶという勝手な父と、無力な母を見ていられなくなり、私は父方の親戚に相談をし、結果、私のクーデターにより親戚中から父を追い出すような形となってしまった。数年、離婚調停をした後に、母は家を出て離婚をした。その頃、たまたま母方の祖父母が亡くなり、祖父母が母にと残した貯金が入ったことで離婚が実現したのだ。
子どもの頃から祖父に、私が両親が離婚するであろうことを手紙で書いていたからか、母名義の貯金が残されていました。そうして、私の結婚式の後、１３年近く、父とは音信不通、絶縁状態となった。

スピリチュアル・見えないものに救われる

父に会うとまた心が乱され、家族も嫌な思いをすることにはうんざりでも、年老いていくであろう実の父親が一人でどんな生活しているのか、自分が追い出したことに、私は一人罪悪感を抱くようになっていく。新聞で身元不明男性死亡の記事を見つけては父ではないかと気になっていた。

その頃、出会ったのが、時任三郎さんの奥様でヒーラーの時任千佳さん。前世やオーラが見えて、チャネリングができるという紹介で、訪ねた。
セッションでは、父と私は前世で夫婦だったこと、その時の縁の記憶が潜在意識にあるので、お互いにぶつかり合うのだということ、いまは無理に会わなくても時期がくれば会えるということ、毎日「お父さんありがとう、ごめんなさい、幸せでいてください」と思うこと、などを教えてもらった。
まったく科学的ではない話だけれど、どの精神科の処方よりも私の心を穏やかにして、いままでのことが腑に落ちた気がした。

そして、その後何年かして、千佳さんのセッション通り、本当に仲介してくれる方がいて、父との再会を果たす。妹と父とで食事をし、その次は６人の孫と私たち姉妹と父とで食事をした。孫たちはほぼ初対面だった。
これから少しずつ親孝行ができるかと思った矢先、その２回の食事を最後に、父が透析中に倒れたという連絡を受けて病院にかけつけると、父が一緒に暮らしている女性に会った。十数年間、ほったらかしにしていた間、父の面倒を見てくれていたのだと知り、手を握りながら泣いた記憶がある。

母と離婚した父は、当時付き合っていた既婚者の女性の家で、その娘さんと３人で暮らすようになっていたそうだ。途中、父の糖尿病が悪化して介護が大変になり、なんと！別居中だった女性の夫が戻り、女性と娘夫婦と赤ちゃんと、父とで暮らしていたというからびっくりだ。父は「人間愛だよ」と笑っていたが、なんともびっくりな話。２週間後に、父は意識が戻ることなく亡くなり、私と妹で喪主をして葬儀を済ませた。

父が亡くなってから、父のことが少しずつ理解できるようになり、対話することも増えた。