からだっていつの間にか変態しているんだもの

現在52才の私の身体は絶賛変態中。

俗にいう更年期というやつだろうけれど、振り返ると女性の身体は(男性もそうなのかな)ずっとずっと変態を繰り返しているのではないかと感じる。赤ちゃんが生まれて3か月で体重が倍になっていく時のように、その変態を何気なく受け入れられる人もいるだろうが、私はどうもいちいち反応して気になってしまう。

“妹と同じものを食べているのに、ひょろひょろの妹とムチムチの私”

“最初はお母さんのとは全然違ってお相撲さんみたいに胸が膨らんでくること”

“月に一度赤い血のようなものが出てきて赤ちゃんではないのにオムツみたいなものをしないといけないこと”

“生理前は異常に眠くて、始まると腰とお腹が痛いこと”

“そうした胸や生理は人にあまり知られてはいけないこと”

などなど、まあ、いちいち挙げてはいられないほど身体の内側も外側も少しずつ変態していて、それはだいたい人類同じと言えども、個人差が結構あって、その度にきょろきょろ周りを見渡しながら、自分なりの何か対策をたてないといけないわけだ。

私の胸にはお母さんのブラジャーじゃなくどんな感じの下着がよいのか、体操服に着替える時は男子にばれるのかとか、生理用品はどれが良さそうかいろいろ試してみながらお気に入りを見つけていくとか、お腹が痛い時は携帯カイロが気持ちいいとか・・・。私の頃はインターネットもないから、親に聞いたり、お店の人に勧められるままだったり、自分でいろいろ試してみたりしていた気がする。

下着一つにしても、体育の時間のためのブラから、綺麗に見えるためのブラ、もし服を脱ぐ時があった時のためのブラとか、さらには授乳をするためのブラ、授乳ブラも卒業して、誰かにもみられることもない人はどんなブラがよいのか、とか。下着一つもいろいろ変化していかないといけない。その変化のタイミングは、「あれ?いままでのままじゃいけないのかな?」とふと感じる違和感だ。

わかりやすい変化は胸とか生理だけれど、太るとか痩せたいとか、ニキビが出てきたとか、お風呂上りに何も塗らなかったはずなのに、ある時から顔がぴりぴりしてお母さんの化粧水が必要になるとか、まあ、身体は主人に黙って変化していってしまうので、主人である私達はそれに気づいて、不安な気持ちになったり、慌てて対策を考えなくてはならなかったりするのだ。

対策を立てる時は、まず情報収集をすると思う。私の頃は雑誌や本、友達や先輩の話が主だったが、いまはインターネットで検索したり、医師や専門店のアドバイスを求めたり。そうやって自分の身体で人体実験してきて得たものが、いまの私の活動にも通じている。身体との対話が始まり、健康オタクになった。

いつも自分が向き合うテーマは未知のものだ。「あ、自分が次の段階に変態したな」と思う時はこの先、どう変化して、どんな対策が有効なのか、未知だからだ。今まで有効だったものが有効でなくなることも多いので、初心にもどって対策を考えてないといけない。今まで有効だった対策は体験があるがゆえに魅惑的でもあって、ついそれに頼りたくなってしまうが、すでに身体の中身がバージョンアップしているので、同じソフトはダウンロードできないか、しても機能しなかったりするのだ。当たり前のことだけれど、人はこうして、老化を感じ、中年には中年の健康に相応しいやり方、老人には老人に相応しい対策があって、自分なりの死に向かっていくのだ。

私の人体実験とは別に、専門家は専門分野で、老化や病気の仕組みや健康によい食材や運動などを日々研究して、論文が発表され、それに基づいた新商品が開発され・・・と、新しい情報はどんどん増え、時にはこれまでの常識とは真逆のものがよしとされたりもする。科学的研究や論文は、世の中の役に立っているのだけれど、個人の役に立つとは限らないのもまた悩ましい。

私のザ更年期は、49才の春にやってきた。最近なんだか痩せにくくなって、ちゃんとメンテナンスしないといけないなあと思ってはいても、なんとか現状維持できていたのが、4月、5月、6月、7月と一キロずつ体重は増えていった。妊娠しているのか?と思うほどの急激な増加。生活は変わらず、むしろ健康や体重コントロールのための対策をとっているのに、そんなことはお構いなく身体はぷにぷにと柔らかくなって、体重が増えていく。自分でコントロールできないという不安がものすごい恐怖だった。

いまもまだその渦中にあるのだけど、2年経って痛いほどわかったことは、とにかくいろいろやってみるしかないということだった。そして、若い頃と比べて反応は鈍いので、3日食事を変えて身体が変わることはない。2か月とか3か月とか、その対策が合っているかどうかはわからないけれど、継続してみないといけない。根気が必要だ。

中期的スパンでいろいろ実験をしてみるとわかるのは、「自分がどんな人間なのか」だ。ストレスがよくないと簡単に言われるけれど、どんなことがストレスになるのかは人それぞれ。仕事がストレスになる人もいれば、家族といるとストレスになる人もいる。自分の身体の声を聴くというのは、嫌というほど自分のこだわり、自分のクセ、自分の偏りを自覚していくことだった。

いまは体重増加はとまり、身体の不調も改善し、運動習慣もついたところ。体重が落ちるのに、ドミノ倒しの一押し、あとどんな一押しが必要なのか、模索中だ。





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