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「学生」という肩書きすら武器に。興味を持つ方へ全力で進む久保さんの挑戦。


「貴殿の今後益々のご活躍をお祈りしています。」

就活生にとって一番目にしたくない文面。

それが不採用通知、通称「お祈りメール」ですよね。

このお祈りメールを次の企業への推薦文に変えてしまおう!という取り組みをされているのが、

株式会社ABABA代表であり、自身も岡山大学理学部4年生の学生でもある久保駿貴さん。

研究室での実験を繰り返しながらも起業され、「岡山から革命を起こそう!」がテーマのビジネスコンテスト、岡山イノベーションコンテスト2020でグランプリを受賞された久保さんに、そのバイタリティの秘訣をお聞きしました。


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自分が欲しいモノ、周りが欲しいモノを突き詰めて起業へ


――お祈りメールは就活生にとって一番聞きたくないワードでもあると思うのですが、久保さんはどうしてそこを事業にしようと思われたのですか?


私の友人の経験が元です。

今年就活をしている友人はとある企業が大好きで「一生を捧げる」というほど入れ込んでいまして、最終面接までは順調に進みました。

けれどもそこでお祈りメールをもらってしまった。

その慰め会をしていると「もうあの会社は嫌いだ」「あそこの商品は一生かわへん」などとかわいさ余って憎さ百倍のような言葉が出てきたんですよ。

なぜ大好きだった企業に対してここまで豹変してしまうのか。

その理由を考えると就職活動って「セーブポイント」が無いんですよね。

最終面接までいけてもそこの企業がダメだったら次の企業はまた一から試験を受けなければいけない。

でも最終面接までいけるってすごいことじゃないですか。

なのになぜダメなのかというと、「少しだけ社風と合わない」とか「役員との相性」のようなほんの些細なミスマッチなんです。

つまり最終面接までいける人材というのは優秀な人材であるという担保のようなものだよなと考え、

これを解決したいと出来たのが企業間で最終面接まで行った人材の情報を共有できるプラットフォームABABAでした。

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――ABABAという社名はどこから来たのですか?


友人が最終面接に落ちたときの様子が、インターネットで使われる「アババ」という顔文字そっくりだったからです。笑

「あ」から始まるし一回聞いたら忘れないよなと思って社名にしちゃいました。

友人と言ってますが、彼はただの友人ではなく幼稚園からずっと一緒の幼なじみで、実家も徒歩3分しか離れてないんです。

そんな間柄の彼があんな風に「やっちまった」と慌ててる様子は忘れられないし何か役に立ちたくて。

その思いからABABAの事業は出来たようなモノですから、名前も彼由来ですね。



――それはすごい友情じゃないですか。 久保さんは大学生でもいらっしゃいますが、起業を昔から考えていたんですか?


元々起業に興味があったわけではなく、大学1・2年の時は普通の大学生というか、サークルやバイトをしながら、

海外が好きだったので東南アジア一周やオーストラリアなど海外旅行にもたくさん行っていました。

専攻が理系なので留学の機会が無かったのですが、英語が好きだったんです。

なのでもっと日本で英語を話す環境が欲しいなと思い、大学3年生の時に日本人学生とインバウンド旅行者を結ぶマッチングサービス「GUIBO」をリリースしました。

ですが新型コロナウイルスの影響でサービスを休止せざるを得なくなり、同時に飲食店等サービス業の皆さんの悲鳴を聞いて何か出来ないかとファン発信型クラウドファンディング「はろとくわ」をリリースしました。

この2つのスタートアップを経験することで起業のいろはを学び、今のABABAへと繋がりましたね。

興味を持つとのめり込むタイプなので、それが起業に向いたからこそ今の形に。

「こんなサービスが自分のために欲しいな」から始まり「周りの人が求めてるのはこんなサービスかな」と少しずつ広がっていきました。

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ひたすら泥臭く、失敗を活かしてさらに前へ


――この1年の間に3つのスタートアップを!すごいですね。その中で苦労されたことはありますか?


やはり学生だったので企業の方々と繋がりを得るのは大変でしたね。

何百件と電話をしてアポイントを取って話を聞いてもらい「良いサービスだね」と言ってもらえ登録してもらえるようになるまでひたすら泥臭く頑張りました。

ABABAを始めようと企画を立ち上げたのが今年の10月、リリースが11月という超スピードで事を運んだので大変でした。



――めちゃくちゃ短期決戦ですね。何か勝算があったのですか?


勝算があるわけではなかったのですが、先に二つのスタートアップを経験していることである程度の段階の踏み方はわかっていたことが良かったと思います。

後は先輩の起業家の方にヒアリングさせて頂いたり、岡山イノベーションスクールに通っていたのでそこでも色々とご指導頂くことで、スムーズかつ爆速で進めることが出来ました。

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――過去の経験を活かしたと言われましたが、具体的にはどのような?


1つ目に関しては本当に初めてだったので何したらいいのかわからず困りましたね。

その結果いきなりツイッターのDMで「こういうことをやりたいから支援してくれ」という内容を送りつけてしまったり、

旅行系の事業だったので大手飛行機会社各社に連絡してみたら良いんじゃないかと思いつくままいきなり連絡して、もちろん相手にしてもらえなかったり。

本当に手当たり次第に行動してしまいました。笑

そのときの相手の反応で「あ、こうじゃないんやな。」と思って、そこで手順の踏み方を学びましたね。


――熱さだけで動いてしまったのですね。 今はそこに少しのクールさも得られたと。


そうですね。笑

でも全てが無駄だったとは思わないのでこれも良い経験です。


――久保さんは大学生でもいらっしゃいますよね。起業と二足のわらじというのは大変だと思うのですがいかがですか?


本当に時間がないですね。

授業に研究に事業にとなると寝る間も惜しまないといけないのでプライベートはほぼ無いです。

「実験に観察に仕事にこんなにやってる学生は僕しかおらんやろ。」という思い込みで乗り切りました。笑

のめり込むタイプなので、周りが楽しく遊んでても気にならないのは良かったと思います。

大学では理学部地球科学科というところに在籍していて大気のことを勉強しています。

事業と勉強している内容は全く関わりがないんですよ。

興味を持ったらそこへ進んでしまうんですよね。

でもその性格が両立できた秘訣だと思っています。

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「学生」という肩書きすら武器にして頑張って欲しい


――起業をして嬉しいときはどんなときですか?


やっぱりユーザーさんから「こんなサービス欲しかったよ」って言ってもらえるときですね。

後はこういう取材をしてもらえたりだとか、興味を持ってもらえるのが。

自分も興味のあることにどんどん進んでしまうので、人にも興味を持ってもらえるのが最高に嬉しいんです。



――今後どのように展開したいと考えられていますか?


ABABAの目標としては全国のあらゆる企業さんに使ってもらうことで企業同士の横の繋がりを持ってもらうことです。

人材のシェア、採用のエコシステムを構築したいです。

僕のゴールとしては大学院へ進むので研究をおろそかにせず、事業と両立したいですね。



――ありがとうございます。最後に学生で起業したいという皆さんへメッセージをお願いします。


学生での起業に大事なことは、まずは仲間を見つけることですね。

自分がやりたいと思うことに共感してくれる人を出来るだけたくさん見つける。

僕が昨年最初のスタートアップをしたいと考えたときに手当たり次第メッセージを送りまくっていた時に、もちろんほとんど無視されるんですがCAMPFIREの家入さんだけが、

「まずは仲間を集めよう!」と返信をくれて。そこから始まったので。

あとは失敗を気にしないというか、学生で失敗しても失うモノはたかがしれていると思っています。

だからこそどんどんトライしてアクション起こしていって欲しいなと思います。

最近ありがたいことに僕もメッセージをもらう側になったのですが、僕は全部返信してるので気軽に相談してくださいね。

学生だとかわいがってもらえたりするのでその肩書きすらも武器にして、頑張って欲しいです。

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取材を終えて

にこにことインタビュアーの私の言葉にも興味津々な目を向けてくださる久保さん。

この熱量が1年と少しで3つものスタートアップを叶えた秘訣なのだなと感じました。

ちなみに件のご友人のその後が気になりお聞きしたところ、現在はABABA運営メンバーに入られたそうです。

もちろん別の会社の内定も無事に勝ち取られ、春からはABABAと平行して続けてくださるとか。

こういった仲間との繋がりも久保さんの魅力をさらに強めているのでしょうね。

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>>久保駿貴さんのTwitterはこちら

>>「ABABA」はこちら


執筆:下原弥子/編集:やぶなお

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