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なかほら牧場『しあわせの牛乳』

たとえ毎日牛乳を飲めなくても、しあわせに暮らす牛から、すこやかでおいしい牛乳を分けてもらうほうが、みんなうれしいとおれは思うんだ。〜中洞正 • 牧場長〜

『しあわせの牛乳』
著者:佐藤慧
写真:安田菜津紀
取材:中洞正(なかほら牧場長)
発行:(株)ポプラ社
2018年3月

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皆さんもテレビなどで
酪農家や獣医が、子牛の足をつかみ
お母さん牛から引っ張り出す様子を
見たことがあるかもしれませんが
それは異常な出産なのだと中洞さんは言います
中洞さんの牧場でも
人工授精に頼っていた頃は
逆子などの異常出産が多く
時にはお母さん牛の体内で
子牛を殺さなければいけなかったこともありました
ところが、繁殖を全て牛に任せた途端
そのような異常出産は一切起こらなくなったのです

〜『しあわせの牛乳』より〜

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先日 @kubo5082 さんの投稿で紹介されていた
なかほら牧場を取材した
『しあわせの牛乳』を読みました
まだ、一通り、目を通しただけですが
牛乳は、必ずしも『悪』ではないと思いました

私は、卵(無精卵)も、そう思っています
卵も必ずしも『悪』ではないと

それは牛や鶏たちの置かれた
環境、状況によると思います

そして、必ずしも『悪』ではないという事が
なぜ大切かと言えば
酪農や畜産を、どれだけ否定してみても
すぐに全廃することは非現実的だと思うからです

牛舎飼いの近代酪農では
繰り返される人工授精、出産や
乳の出をよくする為の配合飼料や
穀物中心の餌などにより(本来は牧草を食べる)
そして身動きの取れない拘束により
牛の体に大きな負担をかける為
わずか5、6年で体を壊し
食肉用として売られていくことになります

なかほら牧場のような放牧では
牛の寿命は20年近いそうです
牛舎飼いの牛たちは
放牧の健康な牛たちの4分の1ほどの期間で
死んでしまいます

なかほら牧場では、
牛の人工授精をしていません
そして、放牧に徹することで
自然交配、自然分娩が可能になるそうです

放牧のなかほら牧場では、
牛舎飼いの牛たちのように
大量に牛乳を作ることはできないと言います
それでも牛たちは、
乳が張ったままだと気分がよくないので
搾乳の時間になると、自ら山を下りてきて
搾乳がおわると 
スッキリして山へと戻っていきます

このような環境、状況が揃った時には
人間が、子牛の母乳を分けてもらう事が
それほどの罪悪とは私は思いません

山梨県が取り組んでいる
畜産アニマルウェルフェア認証制度も
導入から、もうすぐ2年になります
全国へ普及させる為の具体的な行動を
起こさなければいけないと
痛切に感じています

2023.07.11