見出し画像

【創作小説】シュール・ブルー〈♦1 記憶〉

長く続いた嵐の後、更地となった真っ白な土地には、がらくたの山が残りました。少し休んで元気が戻ってきたので、いよいよこの場所を綺麗に整地し、ここに新しい夢を育てようと思いついたのです。

ところが、がらくたの山に少し近づいてみると、それらにはとくに実体というものがありませんでした。私がよく見ようと近づけば近づくほど、私の視線を避けるように、視界の外に逃げてしまうのです。
それはとても奇妙な現象でした。

私はがらくたの山に近づいたり、遠のいたりしながら、がらくたがどのような全容をしているのか探ろうとしましたが、それについてわかったことと言えば、自ら何かを発することがないままじっとしている、黒い影の集合体であるということだけでした。

しかし、不思議なことに悪い気はしないので、私はしばらくそこにじっとして、知っているはずの白昼夢を巻き戻しました。

ここから先は

1,409字

非現実的なイメージを繋げて、見えてきたひとつのメッセージ。 過去との決別と再起を描いた幻想小説。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?