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【創作小説】シュール・ブルー〈♦3 後悔〉


気がつくと、私は銀河の星屑の中で、しっかりと椅子に座っていました。

私の視線の先には白くて脚の長いカフェテーブルがあり、そこにはウルトラマリンの色をしたリンゴが一つだけ置かれていました。

そのテーブルを挟んだ向こう側には、白い袈裟のような衣装をまとった一人の老爺が座っていました。
彼は同じくウルトラマリンの色をした豊かな髪の毛を銀河になびかせ、口元と顎をたっぷりと覆っている髭をゆっくりと左手で撫でながら、ギリシャの彫像のように深い目元を、青くゆらりと光らせました。

彼は人知を超えた存在のようでしたので、私は彼を”聖人”だと捉えました。

浮遊感などはなく、ただ不思議な静けさと完全さの中にありながら、私はその奇妙で美しい光景を眺めていました。
私たちを取り囲み、波打っている膨大な量の髪の毛は、まるで結界のようであり、また海のようにも感じられました。

すると、潮騒のない波間に、私は深くて優しい声を捉えました。
私の感覚では、声は私に、こう問いかけているようでした。

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655字

非現実的なイメージを繋げて、見えてきたひとつのメッセージ。 過去との決別と再起を描いた幻想小説。

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