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【創作小説】シュール・ブルー〈♦5 炎〉


庭に降り注いでいるひどい雨を眺めながら、私は途方に暮れていました。
空はしばらく前から重たい鉛色で、雨はそうすぐには止みそうもありませんでしたが、それを見ると私の心はなぜだか落ち着かず、早く早くと急いてしまうのです。
とくに急ぎの用事などは何もないので、それはとても奇妙な感覚でした。

私は平屋の和室で、最近庭から出てきた不発弾とにらめっこしているところでした。
これは庭を手入れしていたときに急に見つかったもので、案外浅いところにあったものでしたが、見た目が黒々と光っていて金属のような質感があり、とても頑丈そうで、掘り出そうとしたときにぴしりと命の危険を感じるような重さを感じたため、細心の注意を払って取り出しました。(特殊な作業員を呼ぼうにも、生憎ここには私しかいないのです。)
しかし、ちょうどその頃に雨が降り出してしまったので、そこへ晒しておくわけにもいかず、やむなく部屋の中に招いたのです。

土で汚れた表面を見ていると、なかなかに物騒なその砲弾様の代物が、どうしてか居場所のない悲しみのような気がしてきたのを不思議に思い、どうどうと降り注いでいる雨の音を左耳に聴きながら、私はじっくりとそれを眺めてみました。

どうしてこんなものが庭に埋まっているのでしょう?
何か理由があるに違いない・・・しかし、心当たりなどもとくになく、処理する方法もわからず、途方に暮れるしかない・・・そう思った時、ふと不発弾の表面に、中心を通るようにまっすぐ伸びている、不自然な窪みを見つけました。
そっと表面の土ぼこりを払い、よく見てみると、確かに数ミリメートル程度の窪みがあるようでした。
その時、私の脳裏には、パッと、にわかには信じがたいことが浮かびました。しかし、このままこれとにらめっこしていても、何かがわかるわけでもありません。また、もしそうでなかったとしても、私自身に危害を及ぼすものを放置しておくわけにもいきません。
どうにかせざるを得ないこの状況に置いて、それは妙に納得できる感覚を伴っていたので、実行してみることにしました。

私はそれを、タイムカプセルではないかと思ったのです。

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2,227字

非現実的なイメージを繋げて、見えてきたひとつのメッセージ。 過去との決別と再起を描いた幻想小説。

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