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アメリカ大統領選 #31 暗殺未遂事件 今までに分かってきた事 7/22(米時間)時点

トランプ元大統領の暗殺未遂事件に始まり、共和党全国大会、大統領指名、JDヴァンス副大統領指名、さらにバイデン大統領の立候補辞退と、これほど目まぐるしい1週間はなかったのではないだろうか。

まず私は、今回の暗殺未遂事件を振り返ったとき、本当に背筋が寒くなる思いになることをお伝えしたい。それは、2度の奇跡がほぼ同時に起こったからこそ、トランプ大統領はカスリ傷で済んだ、ということだ。

初めに、トランプ元大統領が、移民数の推移を確かめようと右手のプロンプターに顔を向けなかったら、間違いなく最初の銃弾は右側頭部から入射し、頭部をスイカが破裂するように爆発させていたはず、という事だ。スローモーション・ビデオをもとに3Dモデリングでシミュレーションした画像を再度アップしておく。詳細は、私の記事#26を参照頂きたい。

右を向いたため銃弾は右耳をかすめただけですんだ
かりにそのままだったら銃弾は間違いなく右側頭部から頭部を直撃していははず

そして、狙撃犯のThomas Matthew Crooks (トーマス・マシュー・クルックス)20歳が、計7~8発の狙撃をした後(直後)、第2の奇跡がおきた。

それは、”スコープ越しに狙撃犯が見えたのは、目から上の頭部だけだった。あの狙撃は非常に難しいもので、百万発に一発くらいしか当てる確率はなかった”、と関係者がFOXニュースに、CS(counter sniper カウンダー・スナイパー 以降CSと称す)の証言として明かしたもの。 

百万発に一発はかなりオーバに思うが、厳しい訓練をつんだスナイパーだからこそ、そして強力な破壊力ある強大な狙撃ライフルだからこそできた、奇跡的な狙撃だったと思う。つまり、この対狙撃犯に対する狙撃が第2の奇跡だった。

狙撃犯人の射殺は、2つのCSチームが各々1回狙撃し、そのうち一つの銃弾があたった、と公表された。つまりCSチームは計2回射撃したことになる。そして成功したのは、USSS(United States Secret Service シークレット・サービス 以降USSSと称する)のチームと発表された。前の私の記事で、カウンター・スナイパーは地元警察のみで、USSSにはカウンタースナイパーチームはない、と書いたのは私の間違いだった。正しくは、USSSには要人警護チーム(スーツ)とは別組織の制服チームにCS(カウンター・スナイパー)とCAT(カウンター・アソルト・チーム)がある、のが正しい。訂正してお詫びします。

なお、当初報道では、事前のUSSSと地元警察の話合いで、狙撃犯のいたビル(AGIビル)の屋根には地元警察のCSチームが配備される予定だったが、実際には配備されていなかった、と報道された。しかしその後、地元警察から、”AGIビルの屋上ではなく、同ビルの2階に配備したい”との計画変更の申し入れがあり、USSSはこの申し入れを了承したと、発表された。

なぜAGIビルの屋根(狙撃犯のいた場所)に配備しなかったのか、と問われて、USSSのキム・チートル長官は、屋根の傾斜が急で登るのが危険だったから、と答えた。しかし、狙撃犯は実際にその屋根に登っていたし、USSSのCSはもっと急な傾斜の屋根に配備されていた。チートル長官の説明は言い訳にしか聞こえない。(例えば、地元警察のCSチームが急な屋根に登るのをためらうほど、また狙撃そのものもしっかり訓練を受けていなかったとしたら、それはキャスティングミスと言うべきだ。)

しかし、2階に配備された地元警察のCSが、同じビルの屋根にいる狙撃犯を狙撃でるはずはない。であれば、CSチーームは少なくとも他に1チームが配備されたいたはず。(地元警察の1チームを含めて合計3チーム)

これはボンジーノ氏の情報ではなく、別のサイトの情報ではあるが、USSSはCS2チームを配備していた、との事。このサイトは私は初めて見たのでその信頼度合は分からない。以下のスクリーンショットを参照されたい。

黄色線と緑色線の交点(下)が狙撃犯、上側が、2つのUSSSのCSチーム このサイトでは、黄色線には木が邪魔になり犯人は見えない。だから緑色線のチームが狙撃に成功したのでは、としている。
黄色射線(北側)CSチーム
緑色射線(南側)CSチーム(狙撃に成功したチーム?)

このサイトの説明を信じるなら、実際に狙撃に成功したCSチームの狙撃の瞬間はまだ発表されていないことになる。

これは北側のチーム(上記二つの写真の帽子の違いで分かる) 狙撃に成功したのはこのチームではないのかもしれない。
USSSのCSが使う巨大な狙撃用ライフル

ことほど左様に、USSSと地元警察の発表もそれぞれ矛盾をはらんでおり、まだ何が起こったのか正確にはわかっていないのが実態と思う。

なお、ボンジーノ氏が指摘したことだが、X他のSNSで広がっている、いわゆる”陰謀論説”に踊らされて、本当の問題点があいまいになり、責任追及がおろそかになることだけは避けなければならない。安倍総理の暗殺事件のように、責任追及がおろそかになり、あいまいなままお茶を濁されることになってはいけない。特にトランプ元大統領の暗殺の試みは、現状の要人警護体制では、繰り返し起こりえる、とボンジーノ氏は断言している。我が国でもその危険性は今までになく増してきている。だから、この暗殺未遂事件の本当の問題点を冷静に分析し、その対策をしっかり立てることが何より重要と思う。

ボンジーノ氏の報道を紹介する前に、暗殺未遂のおこったペンシルベニア州Butler(バトラー)市について調べてみた。下の地図(Google Map)で赤丸でしめされたのが演説会場になったバトラー農園で、ピッツバーグから北へおよそ60km、また同市の北西にはクリーブランド、さらにエリー湖を挟んで自動車の街デトロイトがある。

ペンシルベニア州バトラー郡バトラー市 

バトラー市は人口13,176人(2022年) バトラー市警察の警察官は9名
市警察の2024年会計年度の総予算は$73K(約11百万円 主に洪水対策費)。この予算には人件費は入っていない。市警察の他に、郡警察、州警察、さらには他の市警察も、今回の演説会に動員されたはずだが、具体的にはまだ公表されていない。

https://www.countyoffice.org/butler-city-police-department-butler-pa-6c8/

演説会場となったバトラ農園ショー会場は、8エーカ。東京ドームのおよそ70%くらいの広さ。(想像していたほど広大ではない。ただし、周辺は建物が3つ4つあるだけの広大な土地が広がっている)

バトラー農園ショーの会場

1. 銃撃までの推移と目撃証言


私の#26/27でも紹介したが、銃撃の1時間ほど前に、複数の聴衆が”ライフルを持った男が屋根の上を這って登っている”、と警官に通報した、と通報している。

複数の聴衆が、銃撃のおよそ1時間前に、ライフルをもった男が屋根の上を這って登っているのを目撃し、警官に通報したと証言している。

対して、地元警察(トム・ナイト部長)が、警察官による犯人目撃について証言している。”一人の警察官が、聴衆に指摘された建物の屋根に手をかけ、体を引き上げてみたところ、犯人を視認できた。しかし犯人にライフルを向けられたため、自分の身を守るため、やむをえず両手を放し、約8フィート(2.4m)下に落下した。その時、その警察官は両手で屋根をひさしを掴んでいたため、拳銃を抜くことも、また無線でUSSSに知らせることもできなかった。落下した後、無線連絡はしたが、銃撃の前だったか後だったか、そのタイミングは分からない。”

無線のチャンネルは何番だったか、と聞かれて、チャンネル#5、と証言している。

トムナイト警察部長

しかし、シークレット・サービスは公式には、この無線連絡はなかった、としている。

ボンジーノ氏は、無線連絡の記録(録音)は残っているはず。その録音を調べれば、実際に無線で事前警告されたのかどうか分かるはず。しかしまだその無線録音は公開されていない。

USSS内部の情報伝達のミスなのか、またはUSSS高官は、地元警察の協力がこれからも必要だから、地元警察の失策をかばおうとしている可能性もあり、結局どちらのミスだったのか現段階では不明。

当初、犯人は梯子をつかって屋根に登ったとの証言が出回っていたが、そもそも犯人はバイクで現場に来ている。バイクにのり梯子を運ぶ事は不可能だし、後に、エアコン(室外機?)をよじ登って屋根にのぼったものと推測される。また目撃された梯子は犯人ではなく、地元警察が犯人が射殺された後に屋根に登るためにかけたものだ、と断言した。

2. シークレット・サービスは警護体制強化の要請を度々断った

USSSのキム・チートル長官が下院聴聞会で答弁しているようだが、案の定、明確に責任を認めはせず、また責任をとる姿勢は見られない。(おそらく明日のボンジーノ・ショーで今日の聴聞会の内容が紹介されると思う)

まずUSSSは、トランプ元大統領側から度々警備体制強化の要請があったことについて、”そのような要求はなかった”、と証言した。しかしその後、内部告発もあり、要請があった事は認めたが、警護体制は十分であり、補強の必要はなかった。今回の暗殺未遂事件でも、万全の警護体制がひかれ、最新鋭の警護機器が使われていた、と国土安全保障省のマヨーカス長官が証言した。(Alejandro Nicholas Mayorkas:アレハンドロ・ニコラス・マヨーカス キューバ・ハバナ生まれでアメリカの亡命してきた) 

要求はなかったと答えたマヨーカス国土安全保障省長官


さらに、その後USSSのキム・チートル長官は、この暗殺未遂事件以降、要人警護体制を強化した、と証言している。

警備体制を強化したと発表したチートル長官 今まで万全だったのなら強化する必要などないはず

しかし、十分な警護体制ではなかったのは明白。CAT(Counter Assault Team:対襲撃チームのことでキャットと発音する)は、防弾チョッキとヘルメットを着用し、襲撃用ライフルを持った特別の要人警護チームで通常は4人一組で行動する。しかし今回、トランプ元大統領が避難するとき、演壇に登り周囲を警戒したCATは二人しかいなかった。(暗殺未遂のビデオにはっきりと、二人のCAT要員が移っている。他にもいるはずの2人は映っていない)

CAT (Counter Assault Team) 通常は4人一組で行動する

また最新の警護機器をつかったのも嘘だ。少なくとも、ドローンを飛ばし、上空監視していたら、犯人を簡単に特定できたはず。、ドローンは飛んではいなかった。逆に犯人が、犯行前日に、会場周辺でドローンを飛ばしていたところが目撃されており、どのドローンで犯行前に射線(ライフルで狙える角度と場所)の事前確認ができていたはず。わずか20歳の犯人にできて、プロ中のプロであるUSSSがドローン監視を怠ったのは、ありえない失態だった。

ボンジーノ氏は、良いニュースとして、RNC(共和党全国大会での警護にはUSSSのAチーム(最強チーム)が当たっていた事は評価していた。何人かはボンジーノ氏も知っているベテランの有能な護衛官がいた、との事。

USSS Aチームか?少なくともトランプ元大統領よりも小さい警護官は見えない

さらにUSSSには、PIチーム(Protective Intelligent 予防のための情報収集・分析)があり、ボンジーノ氏自身もPIチームで勤務してことがある。このPIチームは、地元警察、国土安全保障省が保有している膨大な危険人物リストから、事前に危険人物を特定しておき、その人物の動向を探る任務がある。今回の演説会で、このPIチームは出動していたのか?

FOXニュースが伝えたところによると、犯人(クルックス)の両親が1時間も前に、”息子がいなくなったことを心配し、警察に通報した”、と証言している。地元警察はそれを認めていない。こうした通報は必ず記録として残っているはずなのに、なぜ公表しないのか?

さらに、犯人は勤務先に、”土曜日は大事な用事があるので休むが、月曜日には来る”、と伝えていたとのこと。また犯人が前日、Range Finder (レーザをつかった距離測定器)で会場周辺を下見していた、との証言もある。

そもそも、両親が警察に通報したということは、前から自分の息子に、なんらかの犯罪行為に走りそうな兆しなり証拠をもっていたはず。犯人勤務先、犯行現場の前日の目撃証言から、犯行のリスクは十二分に察知できていたはず。


トランプ元大統領の演説という、バトラー市のようにごく小さい市で、これまでにないほどの大規模集会が開かれ、かつ、暗殺の危険も危惧されるなか、地元警察なりUSSSまたは国土安全保障省が、事前の対策をとっていなかったのはなぜか?大きな疑問が残る。

狙撃犯の位置を示す

 マージョリー・テイラー・グリーン議員のポスト

3. 演説会までの警備準備と当日の警備体制の不備

ボンジーノ氏の指摘する問題点(絶対に責任を問い、なぜ手抜かりがあったのかを明確にし、そして具体的対策をうたなければ、今後も誰かの暗殺行為を止めることができない)

・CSU( Counter Surveillance Unit 対監視ユニット) は演説会の前どこにいたのか? CSUは通常は大きな大会の前に会場に入り、事前に要注意人物の身辺調査を行い、また会場周辺を監視して要人警護の弱点(盲点)を事前評価しなければならない。その事前評価報告書はあるのか? また同様の事前評価報告書が、CAT(Counter Assault Team 対攻撃チーム)とCS(Counter Sniper 対狙撃者)からも出されているはず。USSSはこの事前評価報告書を国民に開示する義務があるはず。

狙撃手から見えたはずの視界(通常なら確実に狙撃できるほどの近距離だった)

・演説会の当日、地元警察とUSSSの言い分が違うのはなぜか?どちらの組織が嘘をついているのか?互いにかばいあうのではなく、今後の要人警護を万全にするため、真実をあかすべき。

・特に警備体制について、何故ドローンを飛ばさなかったのか?

・身長6フィート(約182cm)のトランプ元大統領を、身長5.2フィート(158cm)しかない女性護衛官が警護したのはなぜか?どう考えても、DEI(Diversity, Equity, and Inclusive 私には全く意味不明の魔法のような言葉だが、要するに弱いもの、少数派、例外派を重用しようという、とんでも左翼理論で、社会を破壊しようとする悪意としか私には思えない)で、護衛官としての最低条件である身長・体格・体力を無視し、ただ単に女性護衛官を増やしたいとの思いだけで、今回の元大統領警護につけた、としか考えられない。(ボンジーノ氏はまだ紹介してはいないが、他の現場ビデオでは、トランプ元大統領を病院に急送するため、車に乗せるシーンで、女性警護官が少なくとも3名は映っていた。うち一人は腰ベルトから拳銃を取り出すのにまごつき、またなぜかその拳銃をベルトに戻そうとしてもたもたし、結局拳銃を持ったままにした、シーンが映っていた。この女性護衛官はUSSSの護衛官として本当に訓練をうけてきたのか、はなはだ疑問だ。

確かに勇敢だったと思う要警護者より小さい警護人で守れるのか?右から二人目が女性警護官(あきらかにトランプ元大統領より小さく、元大統領の頭部は丸見え)

一節によると。この演説会の同日、ジル・バイデン婦人がペンシルベニアで何かの会合があり、USSSのAチームはトランプ元大統領(誰が関あげても、ジル・バイデン婦人よりは暗殺等のリスクははるかに高いはず)をほったらかして、補欠チームでも出動させたのではないか、と疑いたくなる。

キム・チートル長官はジル・バイデン婦人の覚えがめでたく、そのおかげで長官になれた、という説もあるようだ。

・AGIビルの屋根が潜在的に狙撃可能な場所と特定できていたら、その場所から演台までの射線をさえぎるように、防弾ガラスや目隠しの壁などを設置できたはずだが、それをしなかったのはなぜか?

狙撃地点からトランプ元大統領は丸見えだった

・最も致命的だったのは、複数の警告が出されていた(狙撃犯の目撃等)にもかかわらず、トランプ元大統領を待機室に待機させずそのまま演台につれていったのはなぜか?せめて安全が確認できるまで待機させるべきであった。

アメリカ時間7/22に行われたUSSSキム・チートル長官の下院聴聞会での答弁が明日のボンジーノ氏の番組で報道されるはず。また、民主党はどうもカマラハリス副大統領が横滑りで大統領候補になる見込みだが、トランプ大統領候補、JDヴァンス副大統領候補にとり、これは選挙戦がいったんはリセットされ、接戦になりそうな状況だ。

できれば、チートル長官の聴聞会の模様と、今後の大統領選の行方について明日また紹介してみたいと思う。





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