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『旅をする木』を読んで

先日、星野道夫さんの「旅をする木」を読み終えました。
妊娠中ということもあって、冒頭に出てくる奥さんのお腹の赤ちゃんはどうなったかなとどぎまぎしながらも、雄大な自然とともに暮らす星野さんの経験、出会った人たちのあたたかさ、動物や植物、気候の偉大さを感じながら最後まで読み進めることができました。
中でも、トーテムポールについての記述は興味深く、死者を葬っていたことも初めて知りました。そこに自然と動物に関する彫刻が刻まれていることも気になり、画像をググりながらの読書となりました。

最後の章「ワスレナグサ」で出てきたお子さんへのメッセージがとても素敵だなと思い、この気持ちを残しておきたい!と強く思いnoteに書き起こすことにしました。

著者のお人柄、自然への向き合い方をまるっと感じ取ることができるこの一節に特に心惹かれました。

 頬を撫でる極北の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい……ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もう一つの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。
 そんなことを、いつの日か、自分の子どもに伝えてゆけるだろうか。

星野道夫『旅をする木』ワスレナグサ

そして、題名の「旅をする木」にも納得。生死に関わらず、本来の目的とは違ったとしてもこの世界に存在した・しているということが常に未来へ意味を持ち続け、その意味は自分は知ることはできないかも知れないし、自分の意志とは違うものかもしれないけれど、自然の成り行きで、運命的に定められていると改めて思わされる一冊でした。

また素敵な本に出会えるように読書に邁進していきたいと思います。

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