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いちじくをジャムにするとき

ここ数年、秋にはいちじくジャムを作るようになった。
いちじくは日持ちがしないので、
その年、出会ったら作るといった、
偶然の出会いを楽しんでいるように思う。

いちじくジャムの作り方は至ってシンプルだ。
いちじく重さに対して25%の砂糖を用意する。
いちじくは1cm角にカットしたら、
砂糖をまぶしておく。
1時間くらい置いて砂糖がしっとりしたら、
そのまま火にかけてことこと煮込む。
煮詰まったら、少し林檎酢を加えて完成だ。

いちじくジャムはどこか懐かしい味がする。
子供の時、畑にはいちじくの木があった。
だから収穫されて食卓に上がることもあった。
子供ココロにこのねっとりした甘味は、
苦手だったのを覚えている。

フルーツは大好きだったけれど、
酸味のないいちじく、びわ、柿は
子供の頃苦手だった。
どれも、和風な独特な甘みがある。
どれも庭にあったから1度に大量に取れて、
一時期にいやというほど、
出会うからかもしれない。

それがどうだろう。
大人になってみると、
その甘みや香りは懐かしくもある。
痛みが早くて、あまり流通していないのも、
貴重価値感を感じる。

いちじくジャムを差し入れにしたところ、
懐かしい味がするととても喜ばれたことがある。
だから、懐かしいと思うのは私だけではないのだろう。

先日、いちじくをオリーブオイルと塩、
そしてシナモンをかけた前菜に出会った。
そのおしゃれな外見と、斬新な味に感動した。
ああ、レトロじゃない楽しみ方もあったのか。
大人になって楽しいと思うのは、
こういう知らなかったことに新鮮な気持ちで
出会う瞬間なのだと思う。

気分転換にいちじくを。
そんな秋を楽しんでもいいかもしれない。


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