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【ラーメン紀行神奈川版④】町田屋編

今日は新規営業で小田急線に乗ることとなったので、昼飯は小田急相模原へ寄って食って帰ろうということにした。
で、これは相鉄線沿線に住んでいると直面する事態なのだが、相鉄には大和、海老名と小田急に接続している駅が二つある。しかし、これで悩ましい選択を強いられることになる。おいらの場合は大和から2つ横浜寄りの三ツ境が最寄り駅になるのだが、ここから小田急相模原へ行く場合、イメージとしては「相鉄にぶらさがっている三角形の小田急線にどういうルートで乗り換えていくか?」がとにかく悩ましい。はっきり言って、距離の割に時間がかかるのだ、特に小田急相模原は場所が絶妙過ぎる。
で、ルートは2つあり、片方は相鉄の終点である海老名まで行き、そこから小田急線で戻ってくるイメージだ。これが最も安くいける道のりで、三ツ境→海老名が200円、海老名→小田急相模原が190円で計390円となる。
もう一つは、大和で小田急に乗り換え、ここから一度相模大野へ「上がり」、更に一駅分西へ移動し小田急相模原へ、というパターンだ。こちらの方が移動距離は少ないはずなのだが、三ツ境→大和が180円、大和→小田急相模原で220円で計400円になる。そう、こっちのルートだと10円高いのだよ。どうしてこうなってしまうのか、と言えば、どうも相鉄は150円から180円に上がった直後に大和だし、小田急相模原から大和も前駅の鶴間までなら190円、大和まで乗ると30円上がってしまう、ということで、この距離で運賃設定の境もギリで上がってしまう、ということらしい。なので、海老名回りの方が安いということになるのだが、それに違和感を覚える人は多いのではないだろうか。

昔はどうだったのかは忘れたが、この小田急相模原の小田急小田原線と南林間のある小田急江ノ島線に囲まれた三角地帯は、昭和の昔は日産の座間工場があり、企業城下町になっていた。
カルロス・ゴーンがやってきて、リストラの為に座間工場が身売りされた後は、この三角地帯の雰囲気も随分変わった。下請けの部品屋なども軒を連ねていたものだが、今は東京へ通勤する人たちのベッドタウンになり、座間工場の跡地はイオンモールへ姿を変えて、本当にここに日産がいたの?と疑うほど様相は違っている。

おいらは、何気にこのあたりに足を運んでいた横浜市民だった。
小学校の時は、厚木飛行場周りで輸入盤のレコードを見に行ったり、そこで働く人たちが暮らす座間キャンプへも遊びに行ったりしていた。このキャンプのある場所が相鉄にも縁が深く、例えば米兵が夜遊びに行くのは近場なら大和や相模大塚、横田基地の連中と一緒に羽目を外すなら新宿へ、横須賀基地の連中となら横浜へ、でけっこう相鉄線の中でも米兵の姿を普通に目にするような環境だった。最盛期は、おいらの住む三ツ境でも日本人に混ざって米兵の家族が暮らしている、なんていうこともあった。何しろ、おいらの最初の英語の先生は、隣に住んでいたサンディエゴ出身の黒人の姉弟だったりするのだ。

そういう中で暮らしていたので、小田急の座間に近い相武台前や小田急相模原にも足を延ばしていたものだ。こうしたキャンプ周辺の界隈にも、米兵が中古で売りに出すアメリカの生活用品やレコードなどを仕入れ、日本人向けに売っている店があった。小田急相模原にもそういうセコハンレコード屋があって、ここには足しげく通ったものなのだ。そして、テレビドラマの主題歌で何発もヒットを出していたマイク・ポストのベスト盤を発掘するといった大金星を挙げたりしていた。この手の話で言えば、横須賀にあるどぶ板通りが店の数も品揃えもピカイチで、本当ならそっちをメインにしたいところだったのだが、とにかく遠くて、小学生には簡単に電車賃を出せる場所ではなかった(子供料金で乗れたとは言え当然小遣いの額も少ないわけで、インパクトの大きさは同じだったw)。
なので、電車賃も安くて済む座間界隈はハマるに最適な場所だった。しかも、横須賀よりも全体的に価格が安かった。夢中になったのも当然だと言えるだろう。

そんな小田急相模原に、今回は久しぶりに足を向けてみた。行きにくい場所だからこそ、逆に何か機会があれば組み込みたい。昔のように、普通に米兵が歩き回っていることもなく、日産の下請け企業から機械油の臭いが漏れてくることもなくなったが、それでも郷愁みたいなものを、おいらは感じてしまうのだ。

●まずはホワイト餃子を食べに行く●
滅多に行かないが、ここへ行くなら絶対に抑えたい食い物がホワイト餃子だ。
実はおいら、こいつが大好きで、たまに思い出して食べたくなってしまうフリークだ。だが、いわゆる正規店は希少で、神奈川には小田急相模原にある「ギョウザの萬金」しか店舗がない。実は、我が横浜の瀬谷にも似て非なるホワイトもどきな餃子を売っている店もあるのだが、ニセモノを食べると余計に本物が食べたくなって、悶絶してしまい、結局は小田急相模原か東京の高島平、小岩、亀有まで足を延ばしてしまう、なんてことになる。

実は、おいらがこの餃子の存在を知ったのは高校時代のことだ。隣の天王町にある松原商店街に、ホワイト餃子の正規店があって、ここが高校生の聖地になっていた。特に弁当のない土曜日は、授業が終わると声をかけあって天王町まで歩いていき、そこで15個ライスを食べ、その後松原商店街で遊んで帰る、なんていうことをしていた。本来なら、近所にあった富士見ヶ丘という女子高の子をナンパするなんて目的もあったのだが、餃子を食ってしまっているのでニンニクの臭いが気になり声をかけられず、卒業間近になると逆にホワイト餃子を一緒に食べに行こうと本末転倒な形になっていたのは苦笑だ。餃子に誘われてのこのこついてくる女子高生など、さすがに昭和の昔でもいなかったわけでねw

まぁ、そういう背景もあって、大学時代や社会人になってもあの界隈へ行く時は必ず食べて帰ってくるようにしていたのだが、今世紀が始まる間際に閉店してしまった。いつも冷凍餃子を買う為に列ができていたのだから、売り上げが落ちて店を畳んだわけではなかったはずだが、本当に惜しいことをしたものだ。
以降は、今回行った小田急相模原の店へ、食いたくなったら迷わず行く、と決めている。

ホワイト餃子は、肉厚の皮を巾着のようにして、その中に具を詰め込むものだ。普通の餃子よりも皮が厚く、それが最大の魅力である「食べ応え」を生むことになる。だが、普通のやり方では中まで火が通らないので、まずお湯で煮あげて中まで火を通した後、油を注いで外側をパリッと仕上げて完成する。この製法こそがホワイト餃子の神髄であり、おいらのようなフリークを生む理由にもなっている。
今回は、小春日和の暖かい陽気の中でもあったので、飯ではなくホワイト餃子で冷たいビールを飲もうと考え、満席を覚悟して行ったらカウンターが空いていたので一杯やってきた。


ホワイト餃子
https://note.com/momo19992000/n/nd0aeea4526b4


この店は8個でワンセット(天王町店は10個が最小単位だった)なので、目には「少なくね?」と見えるものだが、実際に食べてみるとこれで十分だ。それだけ高校時代から食が細くなっているということなのだろう。何気に悲しい現実だ。
この日は、自室でも焼いて食べようということで、帰りに冷凍餃子を16個買った。これでトータル1,750円だった。

●駅の真ん前に豚野郎があったので、これも食って帰ろう●
ホワイト餃子を食べ、真昼間からビールでいい気分になりつつ小田急相模原の散策をした後、駅まで戻ってくると「豚野郎」の表示を見かける。あれ、武蔵溝の口・・・、いや、その隣の高津か、にもあったよな、このチェーン。そうなのだ、相鉄沿線でラーメンを食べていると、こういう東急や小田急小田原線といった「本物の大手私鉄沿線」で営業しているチェーンには縁遠くなる。特に、町田商店系列などの町田や相模大野界隈を拠点にしている店は、行きにくさもあって本当に機会がなければ食おうという発想にさえならない。なので、今回は豚野郎の文字に引き寄せられて入ってしまった。

わかりにくいのだが、どうもこの店は町田屋が名前で、豚野郎というのは二郎インスパイアのてんこ盛りメニューのことのようだった。紛らわしいったらありゃしない。しかし、豚骨寄りの家系ということなら、スープはもちろんガツンと豚骨を効かせているのだろう、とチャーシュー麺並を選び、食券を買った。950円なり。

すぐ後に入って来たおじいさんの分と一緒に麺を湯で始めた為か、若干出てくるまでに待たされた格好だが、スープの温度は及第点だった。(おいらは温いスープがダメで、それゆえつけ麺は絶対に頼まない)しかし、味が・・・。いや、入り口に等身大ワンピースのルフィがいる、要するに若い腹ペコ野郎どもの聖地である店だとわかっていたので、暴力的なパンチの効いた味を期待していたところ、豚骨も醤油もよくいえばバランスがとれた、悪く言えば焦点がボケた感じで、はっきりしない印象しかもてなかった。この店、ライスのおかわりが自由なので、当然そういう店は「おかずとしてのラーメン」な部分が強調されているとおじさんだからこそ身構えてしまうのだが、いやいや、この薄味ではねぇ・・・、ライスのお供にはならないんじゃないのかなぁ。小田急相模原の若い衆は、こんなにあっさりした家系でもOKなのだろうか?量が食えれば味なんて、なのかなぁ。謎だ。

で、後から色々見てみると、どうも魚介スープも足し込んで調整しているらしいことがわかり、ああ、あのピントがズレた風味は魚介だったのか・・・?と今は思っている。うーん、今の流行りがこれでもかの「豚骨圧」であることを思えば、もっと下品に豚の味を追求してもいいかもしれない。というか、こんな年寄りが物足りないと思うって、やっぱりちょっと何かが足りていないと思うのだ。

いや、この上品さこそが小田急相模原流というのなら、外様は納得すべきなのだろうか?

麺は中太のストレートで、ここは家系の王道に沿ってというところか。多分、あの感じは酒井製麺かな?と思うのだが、確信は持てない。茹で加減がよかった(普通で頼んで食べきるまでほとんど感触は変わらなかった)。
チャーシューは肩ロースで、これは柔らかく仕上げてあった。だが、味が・・・、スープがあれだけ自己主張のない味だったので、チャーシューの特に付け汁に接している面では、もっと濃いものを味わいたかったと思ってしまった。なんだろう、薄めがマスターのマイブームになっているのだろうか?
なので、ほうれんそうに味が乗っておらず、これは楽しめなかった。やっぱり、もう一味足してくれないと、ライスにまで手が伸びないよ・・・。

というわけで、小田急相模原からの帰りは相模大野を経由して大和、三ツ境と辿り帰ってきた次第。もし次に足を運ぶことがあれば、やはりこの界隈の人気店である「欅」に入りたいと画策している(今日は並んでいたので、敬遠してしまった)。以上。

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