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好きだったのにな

最近「蛙化現象」という言葉をよく聞く。蛙化現象とは、ずっと好きだった相手に好意を向けられた途端に相手のことを気持ち悪いと感じてしまうことである。ここ数年恋愛なんて全くの無縁だったからそんな言葉はどこか夢物語で恋する乙女だけの話だと思っていた。同時になんで好きになった人に好意を向けられた途端に不快感を覚えてしまうのだろうと疑問だった。私だったら好きな相手に好意を向けられたら喜んで飛び上がるのだからみんな私のことを好きになればいいのになと女子高生のようなことを思っていた。そう思っていたはずなのにまさにこの蛙化現象を私自身が実体験してしまっている。


私が彼と出会ったのは、2021年12月末。たしか28日くらいだったかな。アプリで知り合い、近くを散歩することになり、散歩して話して解散した。1時間ほどしかいなかったがそれなりには楽しかった。私はアプリで出会った人とは絶対に連絡先を交換しない、2度目は合わないと決めていたがなぜかその人だけは交換してしまった。その時点で多少の好意はあったのかもしれない。その後連絡を続けるのが苦手な私が今に至るまで約3か月もの間やり取りが続いた。その間は、正直好きだった。相手からの多少の好意にも気づいていた。相手からの好意に気付き始めたときからなんだか少し違うな感は感じていた。会ったら案の定告白された。嬉しいよりも先についに来てしまった感が大きかった。その告白で一気に冷めた。ゆで卵を冷水につけたみたいに。サウナから出た身体を外の外気に触れさせたみたいに。びっくりするほど一気に。


最悪な私は、冷めた彼への好意に蓋をして彼と付き合った。まだ付き合って2週間ほどしかたっていないが彼を好きになる気配はない。どうしたら極力会わずに済むか。そんなことばかり考えてしまう。最低だ。彼はとても優しい。体調が悪いから会いたくないといった私に飲み物やゼリーを買って玄関のドアノブにかけてくれるし、今日はおうち汚れているから外で会いたいって言ったらそんなの気にしないよって言っていくれる。その言葉がどれも私が彼と会わなくても済む理由なことに彼はきっと一生気が付かない。でも私は、彼が向けてくる好意が気持ちが悪くて不愉快でしかない。彼の顔も、においも、声さえも聴きたくない。


なんで好きになったんだろう。なんで嫌いになったんだろう。

好きだったのに、大好きだったのに、

あなたの声が聞きたくて、あなたに触れたくて仕方なかったのに。

何が違ったのかな。どうしたらあなたをもう一度好きになれるかな。

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