見出し画像

R-07 虫の知らせ?

書き送っていた沢山の手紙とはがき

 お母さんと子供達は楽しい夏休みを終えて新潟から東京の社宅に帰りました。それから間もなくして電話がありました。あんなに元気だったおじいちゃんが突然倒れてしまったんです。くも膜下出血だったそうで それっきり意識が戻ることはありませんでした。
 中国に赴任中だったお父さんも三日くらいかかったけれど帰国することが出来ました。
 この後不思議な事があったんです。
おじいちゃんが亡くなった晩からお葬式の頃までに、おじいちゃんのお友達から次々に電話がありました。皆同じことを口にしたんです。
『ハガキをもらったんですが…』
こういうのを虫の知らせって言うのかな。亡くなる前の一週間くらいの間におじいちゃんは お手紙やハガキをお友達にたくさん書き送っていたみたいです。
9月6日 永眠 享年 七十一歳でした。
 おじいちゃんはきっと痛みも苦しみも不安も何もなく静かに旅だったのだと思います。辛かったのはおばあちゃんの方でした。あまりにも突然の事だったので心と体がバラバラになっちゃって極端に不安定な状態になりました。
それでお葬式が終わった時おばあちゃんが言ったんです。
『急にみんながいなくなると寂しくていられないから お兄ちゃんのノドの手術をこの新潟でなるべく早くにするように手配してちょうだい。』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?