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O-21 謙虚な催促

まさかとは思うんですけど 私のこと忘れていませんか?

 あの もうそろそろ 晩ご飯の時間だと思うんです。時計は持っていませんけど そのくらいはわかります。まさかとは思うんですけど私のこと忘れていませんか?
 いいんですよ、お家の人がみんなで楽しそうにしているのは。お話ししたりご飯を食べたり テレビを見たり おいしそうな音を立てながらお茶を飲んだりするとかね。
 でもほら いつもだと私のご飯を先に用意してくれるでしょ。それがその 今日はというと、とても言いにくいんですけど、まだのようなんですよ。私としては 大きな声なんか出したくありません。それはその何といいましたっけ、はしたないとか 意地汚い・・とか言いますでしょ。私にもプライドがありますから そんなことはできません。
 でもとりあえず 水でも飲んで少し音を立ててみましょうか。誰も気づきませんね。それではと・・・いつも晩ご飯を入れてもらうこの器をペロペロなめて、カチャカチャ音を立ててみましょう。
う~ん これもダメですね。それじゃっと 器を思い切り蹴とばして大きな音を立てますよ。ガッチャン ガラガラ!
えっ これでもダメなの? 誰も気づかないの? どうして?
あ~あ もうダメ もうガマンできない。私のごはん 私のごはん ねえ ねえってば!
『バウワウ ヒュンヒュン バウバウ バオ~!』
『あっいけない モモ ゴメン すっかりモモのご飯のこと忘れてた。ちょっと待っててね。』

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