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汗の匂いと高揚

中学時代の夏の日。セミがけたたましく鳴く暑い日にひたすらに自転車を漕いだ。汗だくになりながらも、気持ちは高揚している。誰の元へ行くために一生懸命足を動かしているのか。それは、なんでもない退屈な日々を変わらせてくれた転校生。それが後の親友だった。親友の家から私の家まで自転車で40分。急な山道を登ったところだ。普段大人しく学校生活を過ごしていた私にお腹を抱えるほど笑わせてくれた唯一の人。二人でいるときは時間が永遠に感じた。二人だけの特別な空気感。沈黙でも苦にならない存在。親友とは、色んな話をした。どこかに遊びに行くわけでもなく、公園や海に行き話をしたりお互いそれぞれの時間を楽しんだ。
それでも居心地のいい場所で過ごす時間は、何にも変えられない。
きっとこの先こんな人とは出会えないかもしれないと本気で思った。大人になった今でも、親友に会いに行く、汗の匂いと高揚する気持ちは忘れることは出来ない。
きっとこれからもそんな存在であり続けるだろう。またいつか会えた時には、あの頃の気持ちと同じ気持ちになるのだろう。

#夏の思い出

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