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江戸の花名勝会 に 一番組(中村鶴蔵)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『江戸の花名勝会 は 一番組

○○○○○○
○○の大極はのぼる 虎の尾より○○たり
両国
夕涼 第一にして
上には狼煙の花火 下には舟中の燎火は
つなよ○籠灯のごとく 美酒 其者 或は
名春の小唄は 流水にし○ぐき 仇身の
川の○○の昔をわす○るゝなり

 両国にふけよ 川面涼しならで
   あつさもよそへ ちりからの舟
              春江亭

※ 「ちりから」は、長唄の囃子用語。「ちり」は大鼓おおつづみ、「から」は小鼓こつづみの音をあらわす擬声音。三味線に合わせて軽快で細かなリズムを大鼓と小鼓で打ち合わせる。

横網の安 中村鶴蔵

蝙蝠に 顔かくれなき 橋の上

右頬に蝙蝠の刺青がみえる 蝙蝠の安

本調子
 青すだれ あまた 手まねく 舟の中
 三寿こしに 縁の おとづれし
 仇にうき名を ながすそへ
 エゝ とまらんせ

※ 「三寿こしに」は、御簾みすしに でしょうか。


歌舞伎『与話情浮名横櫛』 がモチーフとなっています。

木更津の浜で出会った与三郎とお富は、互いに一目ぼれして恋に落ちますが、お富は源左衛門の妾。二人の情事は露呈するところとなり、与三郎は体中に刀傷を受け、お富は追い詰められて海に身を投げます。

身を投げたお富を、たまたま通りがかった和泉屋の大番頭の多左衛門が助けたことから、話は次の展開へと進みます。

優雅で上品な身なりの
和泉屋の大番頭多左衛門


江戸の花、名勝会には「御かし座敷  中村や」と「御会席  青柳」の名前が見えます。

「中村や」は両国に、「青柳」は東両国にありました。

歌川広重の『江戸高名会亭尽』では、お客様との約束の時間に遅れまじと「青柳」から慌ただしく屋形船に乗り込む様子が描かれています。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『江戸高名会亭尽  両国

また、「山くじら」というのは猪肉のことで、肉食が忌避された江戸時代ですが、「薬喰くすりぐい」と称して獣肉が食べられていました。

「山くじら」「薬食い」ともに、冬の季語になっています。



筆者注 ○は解読できなかった文字を意味しています。
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