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【大阪】梅屋敷

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『梅屋敷(浪花百景之内)

生玉いくだまのひがし、桃畑もゝばたけのうちにありて、梅林一園の 柏戸りやうりや なり。盛りの頃は数株すちう梅香ばいか薫々くん/\として四方よもさんじ、雑人ざうじん墨客ぼつかくこゝにつどひて、風雅にあすび、花にうたふありさま実に春興しゆんけう、此につくすといふべし。殊更ことさら、近年あらたに造作ぞうさくなして、美樓びろう宴席えんせき、風流をつくし、又、此辺このへんの土をもつて陶器をつくり、是を土産とさんにひさぐなど、すべて風雅の憧景●けいをまして、浪花なには 遊観ゆうくわん の勝地となれり。

※ 「生玉いくだま」は、生玉いくたま神社のこと。
※ 「雑人ぞうじん」は、一般庶民のこと。ぞうにん。
※ 「墨客ぼつかく」は、文墨・書画をよくする人のこと。
※ 「春興しゆんけう」は、春のたのしみのこと。しゅんきょう。

梅香薫々として四方に散じ
浪花遊観の勝地となれり



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