【絵本野山草】(10) 野芍薬/しやが/仙台萩/紫白根葵/夾竹桃/金櫻子/釣鐘草/花忍
野芍薬
三月花。はな葉ともに芍薬に似たり。紅白二しゆあり。いづれも見ごとなり。
しやが
二三月花。花のかたち小蝶のとぶごとき。うすむらさき、白、二種あり。葉にすじ入たるあり。
せんだい萩
三月。はな本黄、豆のはなに似たり。葉ははぎの葉のごとくにて、葉さきとがる。
紫白根葵
花のかたち、芙蓉のごとし。外むらさきにして、うち白し。葉、つねのあふひに似たり。さきとがり、しのだち、銭あふひのごとく、花よこにうつぶく。花一重、四月はなあり。
※ 「つねのあふひ」は、常の葵。
夾竹桃
六月土用前より花ひらき、七八月まで咲なり。はなのかたち二辨、桃のごとく、また外に海棠花のごとく、紅き臺有。又、其下に青き本臺有。花の色、うす紅にして、白木飛入有。又、葩中心に白身あり。蘂の中心に三筋木綿糸をむしつたるごとく、又、葉は女竹のごとく細長し。艶有。あつきことゆづりはのごとし。葉三方につき、枝三方に出し、木のしのだち竹のごとく、節葉ごとに有。はなのしの立、頳桐のごとし。木の高さ大小有。大の高さ六七尺余なり。小の高さ四五寸なるもはなさく。
※ 「|白身《しろきざ」の「身」は、誤読しているかもしれません…。
金櫻子
三四月花さく。叢生薔薇に類す。はり有。四五月、白き花を開く。大さ二三寸。いろ大白にしてしべ長し。同色、白にほひ。黄にして多し。香、甚高き花なり。はなのかたちは芍薬のごとく一重也。葉三葉少し長つやあり。はなの臺、葉の莖木ともはりあり。うてな葉のくきの針けむしのごとく、木のはりしげ/\これをもつて垣につくる。又、一名をしだれいばらともいふ。
釣鐘草
ほうちやく草に似て、はなうつぶけり。はなのいろ、うすむらさきにして、葉びいどろ、虎尾に似たり。葉つやあり。ぢくにふし有。長三尺ばかり。五六月はな有。本名、沙参。崖壁の間にあり。
※ 「ほうちやく」は、宝鐸。堂塔の軒の四隅などに飾りとしてつるす大形の風鈴のこと。
花忍
葉草、ふぢに似たり。花のしの立は八代草に似てのび、花のかたち桔梗のごとく、色うすむらさき。また白も有。たけ二三尺ばかり。花五月中旬にあり。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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