見出し画像

【絵本野山草】(10) 野芍薬/しやが/仙台萩/紫白根葵/夾竹桃/金櫻子/釣鐘草/花忍

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [2]

野芍薬のしやくやく

三月花。はなともに芍薬にたり。紅白こうはく二しゆあり。いづれも見ごとなり。

野芍薬 のじやくやく
芲白生エンシクマ 中シン生エンシニヲヒキ


しやが

二三月花。花のかたち小蝶こてうのとぶごとき。うすむらさき、白、二しゆあり。にすじ入たるあり。

しやが


せんだい萩

三月。はな本黄、まめのはなにたり。ははぎの葉のごとくにて、さきとがる。

仙臺萩 せんだいはぎ


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [2]

紫白根葵

花のかたち、芙蓉ふようのごとし。そとむらさきにして、うち白し。葉、つねのあふひに似たり。さきとがり、しのだち、ぜにあふひのごとく、花よこにうつぶく。花一重ひとへ、四月はなあり。

※ 「つねのあふひ」は、つねあおい

むらさき白根葵


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [2]
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [2]

夾竹桃けうちくたう

六月土用どようまへより花ひらき、七八月までさくなり。はなのかたち二辨ふたえもゝのごとく、またそと海棠花かいだうくはのごとく、あかうてな有。又、其下にあをき本うてな有。花の色、うすべににして、白木飛入有。又、はなびら中心まんなかしろききざあり。しべ中心まんなかに三すじ木綿もめんいとをむしつたるごとく、又、葉は女竹をんなだけのごとく細長ほそながし。つや有。あつきことゆづりはのごとし。葉三ばうにつき、えだ三方に出し、のしのだち竹のごとく、ふしごとに有。はなのしのたち頳桐とうぎりのごとし。木のたか大小だいせう有。大の高さ六七尺なり。小の高さ四五寸なるもはなさく。

※ 「|白身《しろきざ」の「身」は、誤読しているかもしれません…。

夾竹桃 けうちくとう
芲生エンシグ 同クマ内ノ黒ハゴフン外ハエンジ


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [2]

金櫻子きんをうし

三四月花さく。くさむら薔薇せうびるいす。はり有。四五月、白き花をひらく。大さ二三寸。いろ大白にしてしべ長し。同色、白にほひ。にしてをゝし。はなはだたかき花なり。はなのかたちは芍薬しやくやくのごとく一重ひとえ也。三葉すこながくつやあり。はなのうてな、葉のくき木ともはりあり。うてな葉のくきのはりけむしのごとく、木のはりしげ/\これをもつてかきにつくる。又、一名をしだれいばらともいふ。

金櫻茨 きんのういばら


釣鐘草つりがねさう

ほうちやくさうに似て、はなうつぶけり。はなのいろ、うすむらさきにして、葉びいどろ、虎尾とらのおに似たり。葉つやあり。ぢくにふし有。長三尺ばかり。五六月はな有。本名、沙参しやじん崖壁がいへきあいだにあり。

※ 「ほうちやく」は、宝鐸ほうちゃく。堂塔の軒の四隅などに飾りとしてつるす大形の風鈴のこと。

釣鐘草 つりがねさう


花忍はなしのぶ

くさ、ふぢに似たり。花のしのだち八代草やつしろさうに似てのび、花のかたち桔梗ききやうのごとく、色うすむらさき。また白も有。たけ二三尺ばかり。花五月中旬ちうじゆんにあり。

花忍 はなしのぶ



筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖