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『料理綱目調味抄』第二巻(2) 汁の部

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

作 しる [■は月+隺] しる しる 皆、あつもの也。


みそ汁 味噌

みそ、赤皷、たれ皷、うす皷、ふくさ皷は中皷也。■皷。[■は扌+㫖]

※ 「ふくさ皷」は、袱紗ふくさ味噌みそ。二種の味噌を合わせた合わせ味噌のこと。

すまし

仕立したて甘湯たし仕立は漿を不 如。若漿を用は、かくして用様あり。尤うすだれを用るはよし。

※ 「漿」は、飯の部に「漿しやうゆ」とあり、醤油のことと思われます。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

「何汁」と云もの

くじら汁、ふな汁、河豚ふぐ汁、たら汁、鮟鱇あんこ汁、たいどろゝ汁、どじやう汁、しゞみ汁、とり汁、■蕷とろゝ [■は艹+暑]、汁、いも汁、芋茰ずいき汁、昆布こぶ汁、石■わかめ汁 [■は艹+専]、ふき汁、にら汁、ねぎ汁、■菔大こん汁 [■は艹+皿+堆]、かぶら汁、ちさ汁、人参にんじん汁、大根を云、茄子なすび汁、たけのこ汁、不識ふし汁、納豆なとう汁、△納豆悖なとうもどき、△河豚悖ふぐもどき、△水雲汁もずくしる
△此印の分、奥に註。

「本」と書は

本汁也。「二」と書は二の汁也。「三」と書は三汁也。「本二」「本三」と書は、本にも二にもと云也。

「皷」又「清」

皷仕立、清仕立。又、両様相かぬるは「皷清」と書。又、たれみそ、赤みそ、和みそは、小書に一字以印也。

「具」と書は

鳥づま也。大つまあり、小具あり。つまに可 用もの、大こん、ごぼう、ふき、せり、ひともじ、よめな、わらび、うど、なすび、ふり、松ろ、松だけ、しめじ、なめ、しゐたけ、いはたけ、笋、さゝげ、やきふ、焼豆腐、わかめ、ちさ、ほうれん草、土筆。一書に取合の物は昔は「かうど」とあり、交等か。

「取合」と書は

かならず其物によく相恋するもの也。魚に、魚貝類何にても取合よき物をしるす。

「吸口」と書は

柚、同花葉、山枡、同め、葱、ふきのとう、うど、わさび、しそ、たうがらし、めうが茸、ちんぴ、相恋する吸い口を印す。

※ 「山枡」は、山椒。
※ 「同め」は、同芽。
※ 「めうが茸」は、茗荷竹みょうがだけ

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

    鳥の部

一書生鳥はうすく塩、鳥は厚く造べしと云々。仕方は大略おなじ。

※ 「可    鳥」は、汁に用いるべき鳥。

つる

「本二みそ」「本しまし二」 小つま必用ゆるもの筋と云。吸い口を不 用。鶴の香をしやうするゆへ也。一書も焼して、竹刀にて油をこそげおとし、いくたびもかつこうにし、油やみたる時、水へ打入、ひやすべし。其度如 常。中を洗ひほそく作るべし云々。

※ 「かつこうにし」は、誤読しているかもしれません…。

がん

「本二皷」「本二清」大具、小具ともに用。青みを加ふ。生塩ともに用。具は時節によるべし。吸い口はいつも柚の類。

雲雀ひばり

「本二みそ清」賞翫しやうぐはんのもの也。塩は「三」にも用。茶事の汁に、ほしな汁に加てよし。又、扣き、小くつまみ、納豆汁に加てよし。

※ 「扣き」は、たたき。

白鳥はくてう

「本皷」「二清」生鳥を用。賞翫のもの也。但、たま/\合ふもの、多食すべからず。

蒼鷺あをさぎ

「本二清」小具。必可 用もの油所と云ものあり。生鳥を用。夏の系物けいぶつ也。吸口、花柚はなゆ

※ 「系物けいぶつ」は、景物けいぶつ。四季折々の趣のある事物、またその場に興を添える珍しい料理など。

ばん

「本二清」小具。夏の系物。なまを用。吸口、花柚。大ばん、小ばん、くゐな、皆おなじ。

かも

「本二皷清」大具、小具、又、線ろふ、葱、芹、漬しめじ、うど。吸口、、塩鳥にはさんせうのめ。一書、両の身を一方宛にわらにてくゝりさげ、一夜油をたらしてのち 如 常作るべしと有り。昔の仕方面白し。

※ 「線ろふ」「漬しめじ」は、誤読しているかもしれません…。
※ 「さんせうのめ」は、山椒さんしょうの芽。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『料理網目調味抄 5巻 [2]

雉子きじ

「二三清」大具、小具、汁には多塩鳥を用。うすく切り、煮過れば強し。厚く切べし。吸口は時々可替。

はと

「二皷清」小具、生、塩ともに用ゆ。真鳩まはと俗云、珠数じゆずかけと云ものよし。

うづら

「二清」大具。皮牛蒡、椎茸、獨活。吸口、木のめ、鷺、鴫、ぼとしぎ、ひえ、えどりの類、調味おなじ。皆生鳥を用。

※ 「ぼとしぎ」は、ぼとしぎ山鴫やましぎの別名。
※ 「ひええどり」は、ヒヨドリのことと思われます。ひえどり
  参考『中等作文辞典』『芸術資料 第2期 第10冊

にはとり

「二三清」大具。吸口、葱、獨活、山葵。

鶏卵たまご

「二三皷清」煮ぬき、かふのやき、ほそく切てか、取合、葱、牛蒡、よめな、せり。吸口、柚。

※ 「かふのやき」は、誤読しているかもしれません…。
※ 「煮ぬき」は、茹で卵のこと。



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