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超短編小説#12 「月に行ける」

「7000万147番、夏芽さーん」
当選会場で名前を呼ばれた私は個室へ向かい、席に着く。
「おめでとうございます。当選しましたよ」
「や、やった…」
これで月に行けるんだ。そう思うと飛び上がりたくなるが、日本人全員を対象にしたものなので露骨に喜ぶと日本人全員から恨み妬まれてしまう。
「そして、月には誰かを1人連れていくことが出来ますが…」
「…うーん………」
「期限は明後日までなので、じっくりとお考え下さい」
「は、はい。では、帰らさせていただきます」
2日間ずっと誰と一緒に月へ行くか悩んだが、小学生からの親友を連れていくことに決めた。
当日、私と親友を乗せたロケットは激しい振動と共に宇宙へと飛び出した。お母さんも、お父さんも、私を育ててくれてありがとう。
ついに月に着くと、そこにはあの当選の運営と思われる人々がおり、様々な施設があった。それと、私と親友が住める住宅も。どうやらかなり充実しているようだ。
そして、地球も見える。恐らく帰るのは何十年後になりそうなので、今日はずっと地球を眺める事にした。
20分後、日本のどこかがピカッと光ったのが見えた。九州あたりに見えたと親友と話し合っているとまた日本のどこかがピカッと光る。今度は北海道であろう。
すると、日本付近にある国もどんどん光っていくのに気がついた。
ああ、日本だけじゃないのか。
後ろを振り向き住宅がある所を見ると、いくつか住宅がある事が分かった。多分、外国人達の住宅だな。
まあ、世界中に原子爆弾が落とされるのに日本人だけ月に行くのはおかしいよね。


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