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探究型学習の手触り感 - 詩の朗読ラップバトルを君はみたか -

最近よく、探究型学習とか、プロジェクト型学習とか聞くけど、実際はどんな様子のものなのか?

頭でっかちに、「これからは考える力だ!」みたいな話だけでなくて、実際の手触り感のある、リアルな探究型学習の現場の話を、知りたいじゃないですか!?どうですか?

そんな方は、ひとまず下記の本がオススメです!

作者の市川力さんは、全日制の探究型カリキュラムが特徴的なマイクロスクールである、「東京コミュニティスクール」の前校長先生。そうです、私の息子が入学した、東京コミュニティスクールです。通称TCS(Tokyo Community School)。

この本結構すごい本でして、めちゃんこ授業の生きた事例が載っているんですね。これさえ読めば、探究型学習の手触り感がきっとあなたにも伝わります。(なんかプレミアついてるのか高いですが...)

とはいえ、折角記事を書いているので、ここでは一度私なりに解説してみたいと思います!


1. 探究型学習 in 東京コミュニティスクールを解説してみる

東京コミュニティスクール(TCS)では、年に6回「テーマ学習」といって、それぞれ異なるテーマに対して、6週間を1クールとして追求していきます。

人文系っぽいテーマだったり、理系っぽいテーマだったり、テーマは色々あります。実際には六領域あります↓↓

・Being ourselves (自主自律)
私たちはどのように自分らしく生き続けるのか?
・Adapting ourselves to space and time (時空因縁)
私たちは環境と時代の変化にどのように適応していくのか?
・Expressing ourselves (意思表現)
私たちはどうしたら気持ちや考えをわかり合えるのか?
・Finding mechanisms around us (万象究理)
森羅万象の性質・法則から私たちは何を学びとるのか?
・Organizing our community (社会寄与)
豊かな社会生活を実現するために私たちは何ができるのか?
・Sharing our planet (共存共生)
私たちはいかにして葛藤を乗り越えて共に幸せになるのか?

この6領域の中から、もう少し具体的なものが、テーマとして出てきます。


2. 地味だけど探究のエッセンスがたっぷり テーマ「静かな友達」

ちょうど今日、1年生の息子が入学して2度目のプレゼンがありました。
今回の一年生のテーマは、「静かな友達」。(領域:万象究理)

毎日、目にはしているけど、知っているようで知らない、「葉っぱ」に着目し、探究していきます。

とはいえ、教科書を開いて、「葉っぱには葉脈というものがあって」とか、「針葉樹と広葉樹があって」みたいな話にはなりません。

まずは、「静か」という言葉のイメージを全員で話したり、植物という言葉について知っていること = 「先行知識」 を洗いざらい喋ります。

人というのは、知っていると思うことは、学べない。「知っていると思っていること」こそ一番の学びの阻害要員なので、知っていることはもう全部だしてもらっちゃうわけです。

知っていることを全部喋ると、知らないことに気がつきます。

そして、知っているとみんなが思っていたことも、二次情報(誰かから聞いただけで調べたわけではない)だったりするので、そこから、じゃあ実際に確かめてみようということで、フィールドワークにでていきます。

そこからは、お気に入りの葉っぱを見つけてプレゼンしてみたり、葉っぱの絵をアートのように書いてみたり、そしてそれをさらに観察という軸で深めてみたり。今回は、二軸整理という手法で、マトリックス分布を導入したり(この辺りは先生からの導入)もしていました。

「知ってるつもり」から、「知らない!」へ。そして「知らないことを知るのが楽しい」へ。

学び方や、学びの楽しさを学ぶ。そんな学習のOS(基盤)を作ることができることが、こういった学習のいいところですね。


3. ラップバトルのような発表 - テーマ「詩人の旅」

さて、息子たちのプレゼンが終わり、次は3.4年生のプレゼンがスタートしました。テーマは「詩人の旅」。(探究領域:意思表現)

このテーマでは、「言葉と共感を軸に世界を探究してみる」...っていうとなんか高尚なことのようだけど、発表をみてみたら、もっと感性にフリまくられていました。控えめにいって最高です。

なんと本日のプレゼン発表は自作の詩の朗読対決で、半ばラップバトルw  でも、こんなに詩を作ることが楽しそうと思ったことはない。詩の本質は言葉のリズムでもあるということを思い知らされました。

心に染みる詩、駄洒落のような詩、生き生きとした日常が切り取られているかのような詩。

そんな思い思いの詩なのに、それをどう伝えれば共感されるのかを自分で考えているから、自然と朗読には抑揚がでる

誰かに作られた「正しい読み方」ではない。オリジナルの、共感を呼ぶ、その子だけの読み方。これは感動ものでした。


4. メンタルコントロールをその歳で考える? - テーマ「からだに栄養、こころに栄養」

また、過去の発表テーマで見て印象に残っているのが、テーマ「からだに栄養、こころに栄養」(探究領域:自主自律)

このテーマでは、「食べる」ということを切り口に、栄養とはなんだろう?とみんなでアイデアをだしあい、仮説をたてて、検証して、栄養素という概念にたどり着く。

さらには、心が元気になる条件をみんなで考えたりしていくことで、一人一人違う心が元気になる要因を感じたり、身体と心がつながっていることを発見していきます。

メンタルコントロールという概念なしで、それを子どもたちが自分で発見していく姿は、これも深く感心させられました。


5. 答えを効率よく導き出す受験勉強とは全然違う...

さて、ちょっとは探究型学習の様子を理解していただくことができたんじゃないかなあと思っています。

自分の思っていた勉強と違う...。

ほんとに。こうやって勉強したかった。多少効率が悪くても。

そんなふうに思っちゃう魅力が、探究型学習には存分にあるなあ!と思っています。興味もった方は、やっぱりこの本がおすすめです(笑)


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