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メクアリウムを全通しした時のこと

 阿佐ヶ谷のVOIDで開催されたHAKURO氏村瀬材木氏の二人展「メクアリウム」が大成功かつ惜しまれつつも終了してから早一ヶ月近くが経つ。
 私は文字通りその最初から最後まで、会期中毎日VOIDに通ってこの記念すべきイベントを大いに楽しんだ。その思い出をここに残そうと思う。

デンシタコとの出会い

 二人展の事を書く前に、まず私と「デンシタコ」の出会いについて述べなければならない。デンシタコは「日ノ元重工」HAKURO氏のオリジナルキャラクター「海洋探査ロボットデンシタコ3号」のソフビである。私はソフビ界隈には全く疎いのだが、それでも非常に人気の高い作品である事はこの短期間でひしひしと感じた。

 ところで、様々な分野のクリエイターがTwitter上で「アカウントのフォロー&投稿のRT」で応募できるプレゼント企画を行っている事は、Twitterをある程度以上やっている人ならご存じだろう(私も過去に猫が可愛いダマスカス名刺や言葉を刻んだ素敵なガラス作品を幸運にも当てたことがある)。
HAKURO氏の2019年クリスマスプレゼント企画もそのうちの一つだった。Twitterでプレゼント作品のデンシタコの写真を見た私は思った――「なんて可愛いキャラクターなんだろう!」と。要するに一目惚れである。
 その応募数からプレゼントに当選するとは到底思えない(夢は見た、応募する以上は当然だろう)。ならば次に取る行動は、「どのような手段で購入可能か」を探る事だ。HAKURO氏のTwitterのプロフィールにBOOTHのアドレスがあったが、登録されているのはノーマルカラーの受注1点のみ、しかもとっくの昔に終わったものだった。どうやら購入できる機会は限られていそうだ。
 その後、福岡での深海生物調査カラーピンク販売や年明けの渋谷での招福カラー販売の情報が入ってきたが、前者は遠すぎて行けず後者はそもそも入店が抽選、当然のように落選(諦めきれず入店制限)。落胆していたところに次に入ってきた情報がメクアリウム開催の報せだったのだ。

二人展の事前情報

 メクアリウムの開催は阿佐ヶ谷、都内である。開催期間も2020/02/08~02/16と会社のワカサギ釣りイベントと被っていない。初日に行く事は十分に可能だ。間違いなくデンシタコの販売もあるだろう。今度こそ可愛いデンシタコをこの手に取る事ができる、そんな期待とともにイベントとHAKURO氏のTwitterアカウントから流れてくる情報を追った(サイン入りDMのRTキャンペーンにも応募した。落選した)。
 まず明らかになったのがデンシタコとウオメカのコラボカスタム展示である。HAKURO氏と村瀬氏が互いの作品をカスタムし合うだけでなく、界隈の人気作家が二名ずつデンシタコとウオメカをカスタムする。また、主催のたけたけ氏もデンシタコのカスタムを手掛けるとの事だった。

 そして発表された二人展開催記念の新作デンシタコ「ウミホタルカラー」。クリアラメ素体の内側からブルーの塗料を流し込んだキラキラのデンシタコである。
 欲しい。もの凄く欲しい。ただでさえ可愛いのにキラキラとか絶対に可愛い。それで販売方法は?

――抽選である。

 招福カラー販売時の抽選に外れた経験から、私はいっとき意気消沈した。しかし抽選方法が発表された後に私は息を吹き返した。
 応募手段はギャラリーでの直接申し込みのみ、申込時と当選後の購入時に身分証の提示必須。ウミホタルカラーの他に人気の2色及びHAKURO氏自らが塗装したカスタム品が3体販売されるのだが、1回の抽選申し込みで選べるのは1色のみ、カスタムは落選者(若しくはカスタムのみの抽選を希望した人)の中から再抽選、しかも1体毎に申込期間が区切られている。
 大人気ゆえの転売を極力防止する為の厳しい抽選方法との事だが、抽選枠は会期中の各日に割り振られており、申し込み回数が多いほど当選のチャンスは上がる。
 私は会社からVOIDへの所要時間を調べた。水・金の定時退社日ならばギリギリ開店時間内に間に合うが、日々の業務状況からして木曜に行くのは厳しい。

 いや待てよ? 確かこの週の木・金は外部研修に行く予定だったんじゃ?
 研修会場……東高円寺、近い。余裕で間に合うじゃないか!

 この瞬間、私は購入券を勝ち取るまで毎日VOIDに通う事を決めた。下手な鉄砲数打ちゃ当たる。求められるのは諦めない心である。

 その他、二人展で販売されるグッズ情報や会期中のイベントも発表された。

 グッズはHAKURO氏の歴代デンシタコイラストと村瀬氏の歴代ウオメカ写真のステッカー、缶バッチガチャ。神主兼チップチューンアーティストのscythe氏が手がける会場内BGMを収録したCD-R、ドット絵のアクリルキーホルダー、デンシタコとウオメカの2ショット写真を加工した図案が格好いい半袖Tシャツ、DM向けにHAKURO氏が特別に書き下ろしたイラストを用いた長袖Tシャツ。HAKURO氏のCDケースサイズのイラスト葉書も追加された。
 このうちBGMとアクキーは絶対に買い。ステッカーと缶バッチは未だ所持せざるデンシタコの図柄(特に招福カラー)が心をギリギリ言わせる事間違いなしなので見送り。絵葉書は通常カラーのデンシタコが海の幸を抱える「大漁」の図案がツボだったので買う――と言った予定を立てた。

 イベントは初日のオープニングパーティーの他、HAKURO氏にその場でデジタルイラストを描いて貰い大判チェキにプリントアウトしてサインを入れて貰う、というものと村瀬氏に自分の持っているウオメカにワンポイントを入れて貰える、というもの。HAKURO氏のお絵かきイベントは先着かつ枠が少なく、また申込日のちょっとした勘違いで出遅れてしまった。

じわじわ来る村瀬氏作品の魅力

 さて、ここまで私は殆どデンシタコの事しか書いていない。だがメクアリウムは「二人展」である。主役はあくまでHAKUTO氏と村瀬材木氏ご両名なのだ。
 メクアリウムの公式アカウントからは村瀬氏の情報も流れてくる。氏の「Mechanical Water Creatures」の緻密かつ水生生物と機械の合体した独特な造形、ウオメカの可愛くもあり格好良くもある姿に私はじわじわと惹かれていった。

 やがて村瀬氏からも二人展限定ウオメカの販売が告知された。DMに登場しているダンゴウオのアルビノカラーと、リュウキンのイエローカラーである。特にアルビノのダンゴウオは私の心にクリーンヒットした。
 ウオメカの販売形態には塗装完成品と未塗装未組み立てキットの二種類があるが、塗装完成品は村瀬氏自身が全てを手がけている為、どうしても生産数が限られる。しかも今後も発売すると明言されたウミホタルカラーのデンシタコと異なり、ウオメカは完全な限定品、それもごく少数の生産だ。

 二人展開催直前、公式アカウントからグッズ購入方法及び会場設営の様子が流れてきた。グッズ購入は予め用意された注文用紙に希望個数を書いてレジに出すのだが、ウオメカはレジに直接購入希望を伝えるとの事。写真から窺えるウオメカ限定カラーの箱数はどう多く見積もっても5個あるか無いか。そして村瀬氏の作品は抽選ではなく先着販売。確実に手に入れるにはできる限り会場を訪れる必要がある――できれば一番乗りで。

 ここで悩んだのが初日の会場到着時間だ。デンシタコ目当ての人は抽選なので急がないだろうが、ウオメカの人気が全く読めない。そもそも造形系の展覧会自体が初体験で、自分の中に「この時間までに行けば良い」と言う基準が無い。あるのはデザフェス等の大規模イベント参戦経験ぐらいだ。あれは人気ブース目当てなら始発必至の地獄絵図。また、アクセサリー作家・nichinichi氏の個展に参戦した際、その人気を甘く見て肝が冷える思いをした経験も私の不安に拍車をかけた(こちらの方もいずれnoteに投稿する事があるだろう)。

メクアリウム初日(2020/02/08)

 VOIDの営業時間は15:00~20:00、金・土が15:00~21:00で月曜定休である。そこから始発組はさすがにいなかろうと判断し、長時間待機に備えた折り畳み椅子や白湯入りステンレスボトル、パン、ホッカイロ等を持参して9:00頃に着くよう家を出た。
 大通り沿いをひたすら歩いて行くと、目的のVOIDに到着した。

――誰もいない。

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 錆びたテーブルと看板がギャラリー前の小さなスペースに置かれ、シャッターは半開きでウィンドウに描かれたダンゴウオとデンシタコの一部が見える。どう考えても折り畳み椅子を出せる雰囲気でなし、両隣も店舗なので開場前に大勢の人が詰めかけた場合に人を流す場所に困るように思われた。主催側より場合によっては列整理を行う、と言う発表はあったが、たけたけ氏到着前に人が溢れたらどうしよう、と思わず悩んでしまった。一人なのに。
 とうミュ歌合の東京公演の物販待ちの時は寒さに耐えかねる程だったが、この日は幸いにも天気が良く、寒さに伴う身体上の弊害は発生しなかった。荷物は重かったけれど。

 暫くするとキャップを被った男性がやって来た。どうやらVOID側のスタッフらしい。シャッターを上げて中に入り何やら作業をしていた。ギャラリー内が暗いのでウィンドウの絵がはっきりと見えたが自分の姿が反射してしまうので写真を撮るのは諦めた。
 スタッフ氏は親切にも、去り際にギャラリー内から椅子を出して勧めてくれた。荷物量から有り難く座らせていただき、半開きに戻ったシャッターの隙間からギャラリーの中を眺めた。そこには設営状況写真と同じ光景が広がっていた。窓際にはMechanical Water Creaturesのジンベイザメが置かれ、後輪の造形にしばし見とれた。
 歩道では路上コインパーキングの集金をしていた。初めて目にする光景だ。

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 15:00までにはまだまだ時間があるので、刀剣乱舞の豆集めで時間を潰していた。だが一つ誤算があった。椅子の置かれたウィンドウの前は完全に日陰になっていて寒いのだ。時間が経つにつれ寒さによる弊害が出てくる。あと四時間ぐらいあるんだけど私大丈夫か。
 すると再来して作業していたスタッフ氏が声をかけてくれた、「お手洗い大丈夫ですか?」と。この瞬間、スタッフ氏は私の中で神になった。
 開催前の会場に入るというのは貴重な経験だが、そこで展示物を見てしまうのは良くない気がしたので(外からのぞき込む分には良いのだ)そちらには目を向けず、お手洗いだけ済ませてサッと出た。

 また、待機列に関する懸念についてもスタッフ氏に確認した。
「こちらとしては特に来た人順に列を作るとかは無いので……」
「(開場前に待機の人で)溢れる事は無いと思いますけど……」
 と仰っていたが、両隣の店舗に迷惑が掛からないようスペースからはみ出た来場者は歩道の柵沿いに沿って流す、たけたけ氏が来た後はお任せする、という点を確認できた。
 ただ、自分の懸念は懸念でしか無かったか、と思うほど一人きりで待っていると、直前設営の為にHAKURO氏がいらっしゃり、ご挨拶する事ができた。この方があのデンシタコの作者さんか、と思うと感慨深かった。

 結局、私の次の来場者がVOIDに現れたのは13:00頃だった。そして更にその次の方が来たのが13:40頃。来場者の集まり始めの読みは外れたが、しかし来場者数の読みは間違っていなかったと後で知る事になる。
 14:00頃にはHAKURO氏のファンの方々が集まり始めた。ファン同士既に顔見知り同士になっているようで、持参のデンシタコや他のソフビのお披露目、過去のイベント話で盛り上がっていた。私も少しお話をさせていただき、まずは最初のデンシタコが欲しい事、アルビノダンゴウオが欲しくて早く来た事を喋った。

 まだ来場者があまり集まっていない段階でたけたけ氏が設営に加わったが、村瀬氏は予定より遅くなったようで、設営は押しているようだった。当初は人が増えるたびにギャラリー内から椅子を出して頂いていたが、スペースもギャラリー内作業も完全にキャパを超えてしまった。
 このままだと開場時の混乱は必至と考えた私は、小さなメモにボールペンで「列の途中①」「列の途中②」「最後尾」と書いて分断された列の最後の人に渡して列が動いた場合は次に来た人に渡すようお願いし、隣の店舗にはみ出ている人や迷っている人を誘導した。昔取った杵柄と言う奴だ。ああでも、せめてもっと大きいサイズのRodia持ってくるべきだった。思わず口から出た言葉は「これはどこのコミケだ」だ。多分来場者の方々はコミケよりワンフェスの方が馴染み深いだろうが、私はワンフェスに行った記憶が無い(ドール絡みで行った事があるかもしれないが、憶えていない)。
 それにしても、主催側がデンシタコを抽選販売にしたのは英断だった。先着だったらnichinichi氏の個展並に早朝から人が押し寄せて大混乱が発生していた筈だ(根拠は後述する)。チェドックは路地裏の店だが歩道に大勢の人数を並ばせる事ができる程幅広かったし周囲は半ばビジネス街っぽかったが、VOID周辺は何というかこう、日常じみている。近隣から苦情が出る可能性もあっただろう。

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 さて、15:00となりメクアリウムは無事に定刻通り開催された。私はまず真っ直ぐレジに行き限定カラーのダンゴウオを購入した。それからグッズコーナーの注文票とデンシタコ抽選応募用紙を取って予定通りの内容を記載し、レジ列に並び直した。壁に掛けられたHAKURO氏のプリントキャンバスが一枚、すぐに売れていった。プリントキャンバスが三枚、直筆原画が二枚あったが、その殆どが初日で売れるのをこの目で見た。
 作家在廊中は名前入りを条件にサインが貰えると告知されていたので、BGMのCD-Rに村瀬氏のサインを入れて貰った(その後HAKURO氏からもデンシタコの横顔付きサインを頂き、開場に来ていたscythe氏からも村瀬氏からの紹介でサインを頂けた。一つのCD-Rに本展に関わる三名のクリエイターのサイン。パーフェクトサイン入りCD-Rだ)。

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 その後漸く展示物を鑑賞する運びとなったのだが、HAKURO氏のイラストと歴代デンシタコ、海底基地のオブジェはとにかく可愛さが詰まっていた。お目当てのウミホタルカラーをここで初めて目にしたが、なるほどクリアブルーのボディにラメがキラキラと虹色に輝き、告知画像で見る以上の美しさ可愛さだった。ああこの子が我が家に来てくれたら、と心から願わずにはいられなかった。

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 コラボ作品も素晴らしかった。HAKURO氏のマグロは浮き輪を背負ったデンシコダコ(ガチャガチャ作品、5色あり通常のデンシタコと服装が異なる)を乗せ、作り込まれたテクスチャの海面を滑っていく。村瀬氏のデンシタコは細部まで作り込まれたレーサー風の衣装と纏ってヘルメットを被り、メンダコのマシンに乗り降りする。展示台の下にはガラスが敷かれ、メンダコマシンの裏面がよく見えるようになっている。

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 他作家とのコラボ作品もそれぞれの特色が全面に押し出されていて、それぞれのファンの人にはたまらないだろうなぁという感じだ。たけたけ氏の「バレンタインチョコミントカラー」も好評で、「これ欲しい!」と言う声を会期中何度も聞いた。

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 短時間でレジ待ち列が凄い事になりウオメカはすぐには鑑賞できなかったのだが、2点のMechanical Water Creaturesはやはり圧巻だ。一つは窓際のジンベイザメ、一つはコラボ作品の隣のアカガエル。アカガエルの展示台は、このクリーチャーを空に打ち上げるのだろうか? ストーリーを感じさせる作品だった。
 しかしここで人混みによる事件が起こる。ジンベイザメはビールケースらしきものの上に二枚の板を並べた台に設置されていたのだが、出入り口に近い事もあって人が板にぶつかり板がずれてしまったのだ。慌てて村瀬氏を呼んで直して貰ったが、状況的に台の位置をずらす事はできないが同様の事故が起こる可能性はある。しかしグッズ販売と抽選申し込みが立て込んでいて村瀬氏もご自身の作品につきっきりにはなれない。
 そこで思わず私は口にした。
「展示台、私が見てます。もしずれたら声かけます」

**――ジンベイザメとアカガエルの間に挟まって、客が写真を撮ろうとするたびにしゃがんで頭を引っ込める不審人物の爆誕である。 **

 だが村瀬氏作品の展示の監視を行ったのは多分間違っていなかったと思う。他アーティストコラボ作品の棚を指で叩くケース、コラボの凝っている裏面をなんとか撮影しようとしていたのか腕が危うくアカガエルに接触しかけていたケース、非常に盛況なガチャ待ちでぶら下げ気味に背負ったリュックの上辺が近くのコラボ棚を下から突き上げかけていたケース……中でも酷かったのはガチャ用の小銭が入っていると思しき封筒をジンベイザメの台に放るように置いたケースだ。これはあっけに取られている間に封筒は回収され注意する暇も無かった。
 台の位置が変わった後のアカガエル(こちらも板がずれたが台が小さかったので移動できたのだ)を引きで撮影しようとしてコラボ棚にぶつかる懸念のあったお客さんにはこちらから申し出て腕バリアを張らせて貰ったし、小型カートの一時預かり所にもなった。美術館の警備員は普段からこの何倍も神経使っているんだろうな、と思った。

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 物販が捌けてからウオメカをじっくり見たが、一番上の段の限定カラーが楽しい。特にスーファミカラーのジンベイザメ、これ刺さる人多かっただろうなぁ。通常のマットな塗装とは異なるツヤ感のあるマグロも別種のメカ感があって非常に良かった。

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 オープニングイベントにおけるscythe氏のパフォーマンスがどうしても観たくて18:00まで待ったのだが、時間が近くなるとアルコール類の販売とソフトドリンクの配布が行われた。一時期減っていた人も戻ってきて、VOID内の人口密度は最高潮に。ツマミも回されオープニングイベントは非常に盛り上がった。私はウィルキンソンの辛口ジンジャーエールを貰ったが、このジンジャーエール、後にHAKURO氏が好きだとツイートした事で品薄状態になる程の人気となった。いや一般的な甘いジンジャーエールは物足りない人には良いよアレ。
 scythe氏のパフォーマンスだが、まず「チップチューンとは何か」から説明してくれたのが非常に良かった。今回の「楽器」となるゲームボーイの画面をちらっと見たが、「ゲームでないモノ」が表示された液晶はとても不思議なものに思えた。
 チップチューン、その単語だけは聞いたことがあったが、実際にピコピコしたサウンドを耳にすると心躍ると共に胸が締め付けられるような郷愁を感じる。非常に好きなタイプのジャンルだと思ったので、今後色々聴いてみたい。
 それとオープニングイベント中は村瀬氏のデンシタコがメンダコマシンに搭乗したりコラボ作品の裏側が公開されたりした。

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メクアリウム二日目(2020/02/09)

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 初日のデンシタコ抽選は残念ながら落選。だが抽選申し込み条件が「店頭申し込みのみ」なので、当落関わらずVOIDには行く予定だった。まだこの時はさほど落選のダメージは無く、「まだ1回外れただけだし! チャンスはあと7回あるし!」と思って阿佐ヶ谷に向かった。なお先着争いに負けたHAKURO氏のお絵かきイベントは観ると羨ま死ぬと思ったので(ダメ人間)、早めの時間に行った(HAKURO氏はワンフェス後の在廊予定で、開始直後はいらっしゃらないと告知されていた)。
 この日はデンシタコ抽選に申し込んだ後、村瀬氏にアカガエルの解説をして頂き、メカの裏側をお見せして貰った。アカガエルは気象観測用のマシンで、パイロットもカエルの姿をしている。そして「葦にとまったカエル」を表現するために、展示台裏面に配置されたパイプの切り口は斜めカットだったし、台そのものが斜めとなっている。マシン裏面の中央に存在する丸いパーツは本物のウニの殻が使われており、機械の中央に内臓が息づいているような、「無機物と有機物が融合した機械」という印象に感動した。

メクアリウム三日目(2020/02/11)

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 月曜日はVOID定休日だった為、祝日の火曜日が三日目となる。二日目の抽選も外れたのでやはりまずデンシタコ抽選販売の申し込み。
 日曜はワンフェスとはしごの人が多かったから私が行った時間帯は人が少なめだったが、この日は早くから人が多かった。
 展示物の目当ては、村瀬氏カスタムのシルバニアファミリー。言葉での説明は不要、画像見てくれ。
 展示のデンシタコもよくよく観ると初日から配置が変更されており、カスタムにはふわふわのイヤーマフが付けられていた。

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メクアリウム四日目(2020/02/12)

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 土~火曜まで年休込みで四連休だった為、久々の出勤日である。デンシタコ当選メール送信タイミングは日に日に早まっており、三日目分も落選した私は早くも心が折れかけていた。 Twitterで泣き言を言う私を励ましてくれたのは、メクアリウムをきっかけに繋がったソフビ沼の方々である。なんとご親切で温かな……(後日腎盂腎炎に罹患した時も実感する事となる)。

 この日は定時退社日だったので、会社から直接VOIDに行った。カスタムシルバニアと主催側私物だと言うキン肉マンVer.のデンシタコがレジ前に飾られていた。海底基地のデンシタコの配置も変わっていた。
 自分のように抽選のために連日足を運ぶ客が、抽選申し込みだけで帰るのでは無く、毎日展示を楽しめるようにと言う配慮が嬉しい。「今日はどこが違うのか」を探すのが楽しみになった。

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メクアリウム五日目(2020/02/13)

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 13日と14日は東高円寺で終日外部研修だった為、研修終了後に阿佐ヶ谷へ向かう。会社から阿佐ヶ谷までの距離と業務状況を考えると、この研修が無かったら五日目はVOIDに行けなかったし、あの幸運も無かった。ちなみに研修はメクアリウムの事を知るずっと前から私自身が自己研鑽の為に希望して受講させて貰ったものだ。昼休憩中にメール確認したが、今回も落選。

 この日の大きな変化点は、壁に飾られたチェキが増えていたこと。海底基地の配置も変わっていて、筋肉タコは退場していた。そして村瀬氏カスタムのデンシタコはマシンに搭乗していた。また、缶バッチはこの日の昼間に完売したようだ。
 スタッフ氏と歓談、「当たるといいですねぇ」と応援して貰う。急に思い立ってあの辛口ジンジャーエールを買って飲んだ。以降、最終日まで毎日ジンジャーエールを飲んだ。

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メクアリウム六日目(2020/02/14)

**「あたったぁーーーーーー!!!!」 **

 起き抜けにiPhoneをチェックした私は悲鳴を上げた。デンシタコウミホタルカラー当選のメールが届いていたのだ。当選メール送信時間は毎日のように早まり、遂に日付変わった直後になったようだ。
 朝っぱらからの大声に叱られつつも、念願の当選に心躍り馬耳東風状態である。研修の荷物にアルビノダンゴウオを紛れ込ませ、明るい気持ちで東高円寺に向かった。

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 この日はたけたけ氏が在廊しており、支払いを済ませた後に氏から念願のデンシタコを受け取った。ああ、本当に綺麗で可愛い。初めてのデンシタコがこの子で本当に良かった。
 そして、当選したらやりたかった事――メクアリウムのDMの構図でアルビノダンゴウオとデンシタコウミホタルカラーのツーショットを撮影する事だ。レジカウンターと、たけたけ氏が勧めてくれたガチャマシンの上にふたつを並べて記念撮影をした。本当は、デンシタコオーナーの方々らと同じようにVOIDの看板の上に置いての撮影もしたかったのだが、この日は生憎の天気であった為、それは叶わなかった。

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 この日のジンジャーエールは正に祝杯だった。と言うか当選はジンジャーエールのご加護だと真剣に思った。周囲にもご加護があると勧めたぐらいだ。
 一方で、開催前から「当選するなら一番応募母数が少なそうな木曜日分だろうな」とは思っていた。なのに水曜日に落ち込んでいたって? 考察と感情は別物だから仕方ない。たけたけ氏に今までどれぐらいの応募が来たのか質問すると、五日目時点で延べ300ぐらいの応募があり、しかも殆どがウミホタルカラー希望との事だった。凄い数である。私は本当に、本当に幸運だったのだ。

 余談だが夕食にホタルイカが出た。ウミホタルではない。

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メクアリウム七日目(2020/02/15)

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 村瀬氏によるウオメカワンポイントペイント開始日。アルビノダンゴウオを入手できたら絶対に頼む、と決めていた。入れるマークも決まっていて、村瀬氏には事前に伝え済みだった。

 VOIDに着くと村瀬氏がまだ来ていないというので少し待ったのだが、とあるお客さんがジンベイザメを指して購入できるのか、とたけたけ氏に訊ねていた。流石に詳細は省くが、村瀬氏到着後に始まった大型商談に私は仰天した。

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 ワンポイントペイント代は事前に支払っていたので、村瀬氏の準備ができた後、VOIDの店先のテーブルで自分のアルビノダンゴウオ氏にペイントをして頂いた。クリエイターの作業を生で見られると言うのは非常に貴重な体験だ。しかも村瀬氏にとってもこのようなイベントは初だと言う。

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 この日は雨が降っていなかったので、VOIDの看板での撮影を決行した。また、前日に母にデンシタコの写真を見せたところ、光学迷彩カラーが一番好みだと言うので抽選に申し込んでおいた。ウミホタルカラーのステッカーも買った。

メクアリウム最終日(2020/02/16)

 遂にメクアリウム最終日。とある想いから、私はこの日は開場時間には行かず、渋谷で伊勢カルボを食べてから上野で美術館をハシゴしていた。このとき朝イチから上野に行かずハマスホイ展を後回しにしたことを新コロによる展覧会中断によってメチャクチャ後悔することになるのだが、まぁ、余談である。

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 夕方に阿佐ヶ谷に着き、まずはメクアリウム来場者がよく行くらしいジェラート屋でフレッシュミルクと安納芋と雨天限定レモン&ハーブの組み合わせを食べた。
 そして閉場一時間前ほどにVOID到着。最終日に急遽チェキ販売が行われたようで、あっという間にSOLD OUTになったようだ。

 メクアリウムの終幕を見届けたい人でギャラリー内は混雑していた。私は村瀬氏の作品集とジンジャーエールを買うつもりだったのだが、他のお客さん方の「長袖Tシャツはいいぞ」のプレゼンで長袖Tシャツを追加した。実は勿体なくてまだ袖を通していない。春先に部屋着にするつもりだ。このTシャツの図案はステッカーになっていないのだが、半袖Tシャツの方はステッカーになっているのでこの際だからと購入した。
 なお、デンシタコの抽選応募は土曜日までで延べ500は行ったらしい。その日の抽選応募用紙の束も凄いことになっていた。

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 あるお客さんが村瀬氏に依頼してくださったお陰で、来場者は持参のデンシタコをメンダコマシンに搭乗させて写真を撮る事ができた。私も勿論参加、コラボデンシタコとのツーショ、海底基地での撮影も行った。
 そしていよいよ20:00が近づき、皆で乾杯。
 メクアリウムは惜しまれつつも閉幕した。

最初の、そして最後の客

 私がどうしても実現したかったこと。
 それは、この素晴らしい二人展の「最後の客」になることだ。先述の通り私は「最初の客」としてVOIDに入った。だから、どうしてもギャラリーの外に出るのはどの客よりも後が良かった。
 名残惜しいのは私だけではない。熱心なファンの方々の何人かも、撤収の始まるVOIDから離れられないでいた。BGMは「Mequalium」からたけたけ氏の好きな歌に変わり、展示物が次々と片付けられていく。私も微力ながら村瀬氏の撤収作業を手伝った(思い返せばメクアリウム期間中に一番長く話したのは村瀬氏だった気がする)。

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 そして他のお客さん方が外に出た後、私は「最後の客」としてVOIDの外に出た。この時私の胸を占めていた感情は、圧倒的な感謝と「もう明日からメクアリウムは無いんだ」と言う寂寥。初めて参加した造形系イベントは、一日一日の滞在時間は短くとも非常に濃い体験だった。

 メクアリウムが終わってもHAKURO氏と村瀬氏の活動は続く。お二人から今後どのような作品が世に送り出されるのか、非常に楽しみだ。HAKURO氏は3/20から新宿で個展が控えているし、タワレコ限定のデンシコダコも発売される。村瀬氏も二月末にあった大阪での展示会の後、次の作品の制作過程を投稿されている。
 両作家氏、そして素晴らしいイベントを主催してくださったたけたけ氏の今後のご活躍を心からお祈りし、本記事を締めたいと思う。

 皆様本当に、本当に有り難う、お疲れ様でした!

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