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自由研究の、本気テーマの見つけ方

モメンタム・デザイン代表高橋俊之が2013年から関わり現在は教育顧問を務めている淑徳与野中学・高等学校での活動について聞きました。

高橋俊之の淑徳与野中学・高等学校サポートシリーズ全6回を予定しています。今回は第4回「創作研究(自由研究)」の続編です。

いかに生徒が本気で取り組みたくなるテーマを見つけられるか

海老原: 前回は既存の良さをさらに引き出すことで、自由研究(創作研究)に変化をもたらした話を伺いました。既存の良さを引き出すために何を変えたかというと「研究テーマの選び方」がポイントとのことでした。
今回はこの研究テーマの選び方についてもっと深掘りして伺いたいと思います。前回で研究テーマ選びの重要性、目的などは分かりました。どうやって選ぶのか、そしてどうやって生徒を導いてゆくのか、もう少し具体例なども交え詳しく教えていただけますか?

高橋: 研究テーマ選びのポイントは、「いかに生徒が本気で取り組みたくなるテーマを見つけられるか」です。「そもそも自由研究なんてそんな高度なことに多くの生徒を本気で取り組ませることができるのか?」という声も聞こえてきそうです。
確かに、「めんどう」「かったるい」が口癖の生徒達を相手にした時、これはなかなか難しそうです。僕自身、この方法を試したことがあるのは立教生と淑徳与野の生徒たちだけなので、もっと広く行ってみると、違う難しさがありそうです。
ただ、少なくとも「テーマの見つけ方」について何も指導されていないのが現状ならば、そこからは前進できるのではないでしょうか。全てを解決できる必要はなく、まず現状よりも前進できればいい。

海老原: 確かに思い返すと自由研究のテーマの見つけ方を指導された覚えはないですね。それこそ、自由に選んで良いと。自由に選ぶって聞こえはよいですが、何も指針がない方が逆に難しいんですよね。結局よくある自由研究のリストの中から楽そうなテーマを選んだ記憶があります。

テーマ原石からスイッチの入るテーマを見つける

高橋: 夏休みの自由研究でありがちですね 笑。
では、具体的にどうやって本気のテーマを見つけるのか。注目するポイントは「勉強苦手」「覚えるのも考えるのも苦手」と言っている子達でも、好きなプロスポーツの選手やゲームのキャラクターについては、驚くほどいろいろ知っていたり考えていたりしていることです。能力はちゃんとあって、スイッチの入る条件さえそろえばかなりやれるのではないか、と考えています。
海老原: なるほど。スイッチの入るテーマ選びに注力する。スイッチが入ってさえしまえば、あとは自走で任せられますね。息切れだけしないようにフォローすればよい。
高橋: そのとおりです。そのスイッチが入る領域を僕らは今回「テーマ原石」と呼ぶことにしました。そして「テーマ原石」が埋もれている鉱山から、原石を掘り出します。その鉱山とは、生徒本人の、過去、現在、そして未来です。

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「過去」の大きな体験(「インパクト体験」と呼んでいます)には、本気になれる疑問・問題意識や欲望が隠れている可能性があります。例えば「かわいがっていたペットが死んですごく悲しかった」経験があったとしたら「もっと長生きさせられなかったのか?」という問題意識や「どういうことが思い出を印象深くするんだろう?」と考えられるかもしれません。

海老原: インパクト体験は第1回で取り上げましたね。ここで最初の取り組みであるインパクト体験とつながってくるわけですね。
高橋: そのとおりです。インパクト体験棚卸しはすでに一度は行っているので、そこからテーマを引き出していけば良いのです。次に、「現在」で原石が見つかりそうなのは、好きだったり熱中していることや、気になることの中です。例えばクラス対抗の合唱コンクールにがんばっている生徒は「どうしたらクラスが団結できるだろう?」と頭を悩ませているはず。あるいはバスケに熱中していて「もっとジャンプ力をつけたい!」と思っているかもしれません。そしてこれらがテーマ原石になり得ます。

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一方、好きではないけれども気になっていることもテーマ原石になり得ます。例えば健康にまずいレベルの肥満だとしょっちゅう言っているのによく飲み食いしているお父さん、いったいどうしてなのか、それをどうしたら変えられるのか?とか。

「未来」のテーマ原石と言えば、夢や、なりたい職業です。ただし「医者になりたい」「どうしたらなれるんだろう?」では、あまり考えるところのない、調べるだけの研究になってしまう恐れがあります。そこで自分だけの研究にする方法を考えます。
海老原: 例えばどんな感じですか?
高橋: 例えば、自分がかかっているお医者さんでも、自分がすごく好きな人とそうでない人といたりしますよね。そこで「どうしたら自分の好きなタイプのお医者さんになれるのか?」を研究してみるとか。
海老原: それはなかなか高度そうですね。
高橋: そうですね。ちゃんとやりだしたらかなり大変ですよね。でも、その子の力に合ったやり方でやれるところまで研究してみることは、いろいろな意味で役に立ちそうですよね。
海老原: そうですね。ある意味、研究そのものが目的である以上に、探求する意欲とか力を高めることが目的だとすれば、それで目的にかなっていると言えますね。
高橋: 僕もそう思います。そしてこんな感じで「過去・現在・未来」から探ってみると、たくさんテーマ原石が出て来ました。そういうテーマ原石からその時の自分に最も適した研究テーマを選んで「成功体験」につなげられれば、次の学年でもまたおもしろく取り組め、高いレベルに到達できるのでは、と考えています。

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