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「一銭も稼いでない」は、尊いと愛でていたい

勤めている会社のイベントで、司会を行った。

サーキュラーエコノミー(以下、CE)とは、従来のリニア型(直接)に対する概念で、循環型の経済を意味している。企業においては、単純に環境配慮に留まるのではなく、事業戦略の中心に据えてビジネスにしていこうというのが、これまでのCSR(企業の社会的責任)とは異なる点で、CEの肝だと理解している。

バンドー化学さんの新規事業(新素材の使いみちを探るリサーチ)のプロジェクトに併走させていただいた折に、新素材や企業の未来をバックキャストで描いた時に、CEの概念を取り入れると良さそうだと、プロデューサーの小島さん(ハモさん)が提案し、プロジェクトの初期段階に、バンドー化学のみなさんと一緒にCEに関して、120事例ほどのデスクトップリサーチをした。

プロジェクト終了後、同じような課題感のある企業さんはたくさんいらっしゃるんじゃないかと考えたマーケティングを担当している(ママ友でもある)横山さん(よこさま)が企画したイベントだ。

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キーノートスピーチをお願いしたのは東京大学でライフサイクル工学を研究されている梅田靖先生。バンドー化学さんのプロジェクトの際に、有識者にインタビューをお願いする相手を探し、他の方で決まりつつあったところ、梅田先生の存在を知り、製造業でいらっしゃるバンドー化学さんにとって有益なお話を伺えるんじゃないかと思い、社内メンバーに推した。プロジェクトマネージャーの上ノ薗(アバさん)が、すぐに梅田先生の研究室に電話し、同郷であるということなどで話が弾んだりも経て、快諾して下さった。人と人が繋がるシーンって、企業名や所属名で無機質に繋がるってわけではなくて、結局、人と人との出会いの物語が大小問わず発生している。ここは、わたしが特に楽しいと感じるシーンだ。

そのご縁もあり、企画された今回のイベントだが、告知のタイミングで、梅田先生がサーキュラーエコノミー関連の書籍が販売されたり、なんだかすべてちょうどいい。

イベントの内容自体はそのうちオフィシャルに記事が公開されるし、本文はレポートをすることが目的ではない。

イベント終了後の雑談中、新規事業を立ち上げようとしているフェーズは、一銭も稼いでいないから、社内的に強くモノを言いづらい特徴があるというような話題になった。今までどこか他人事だった気がするけれど、ふっと理解できた気がした。わたしが、会社内で運営を担当しているCOUNTER POINTというレジデンスプログラムは、プログラム自体が、直接的に売り上げをあげる目的のものでもないし、入居してくるプロジェクト自体もビジネスにならないような個人の衝動や偏愛を爆発させるタイプのものだ。いわゆる「無駄」と呼ばれているものの重要性は、昨今十分説かれてきていると思う。新規事業やCEも、「無駄」にビジネス価値を持たせ、成功させることが目的のひとつだろう。

「好き」「やりたい」と思っても、自分一人では振り切れず、心が折れる瞬間の連続だ。SNSなんかで簡単に評価下されて、あっという間に消費されてしまう世の中だもの。「あほちゃう」「ダサい」「下手」「そんなんじゃ成功するわけない」「もっとこうした方がいい」と何万回嘲笑されても、自分の初期衝動を燃やし続けるのって、天性の才能かスポ根的な精神力か…。才能や強靭な精神力がなくても、フタをせずに進むことができるには、具体的にはどうしたらいいだろうか。

今回のイベントを通じても、ひとつのキーワードに「共感」はあると思っている。同じようにCEという難しい変革に取り組む企業人同士で「共感」し、繋がりあうこと、社内に認められなくても、違う立場の我々の会社のような存在が、「共感」し続けること…。

仕事に限らずとも、自分自身も実験台に、考えていきたいテーマだ。

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