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2021年のプロレスリングノア 真紅の章3「杉浦貴から望月成晃へ〜誇りを護る者」

緑の章1「潮崎豪から武藤敬司へ〜夢を継ぐ者」

真紅の章1「拳王から藤田和之へ〜強さを護る者」

緑の章2「武藤敬司から丸藤正道へ〜覚悟を継ぐ者」

真紅の章2「藤田和之から杉浦貴へ〜戦いを護る者」

真紅の章3「杉浦貴から望月成晃へ〜誇りを護る者」

緑の章3「丸藤正道から中嶋勝彦へ〜時代を継ぐ者」

真紅の章4「望月成晃から拳王へ〜現在を護る者」

緑と真紅の最終章「中嶋勝彦と拳王〜リスクを恐れるな」

藤田和之からGHCナショナル王座を奪取した杉浦貴。その杉浦に挑戦を宣言したのは藤田同様、杉浦軍に所属する桜庭和志。桜庭はMMAのレジェンドとしてその名声を轟かせているが、プロレスという枠の中では、その力を中々活かせない状況が続いていた。しかしプロレスリングノアに参戦するようになり、桜庭は自分の長所をプロレスにフィットさせてきた。一見コミカルな動きをとりつつ、持ち前のグラウンドテクニックで相手を極める。2020年は杉浦とのタッグでプロレス大賞年間最優秀タッグにも輝くなど、藤田同様ノアの水が彼らの良さを活かしているのかもしれない。

そして迎えた5月の杉浦との試合。ここでも桜庭は飄々とした風貌から拓実なグラウンドテクニックで杉浦を追い詰める。共にレスリング出身者ではあるが極める技術まで含めれば桜庭に軍配があがる。しかし杉浦はそこにプラスラフア打撃や投げ技も加えての反撃。最後は杉浦にしては珍しいスクールボーイで桜庭の肩をマットにつけて、杉浦が勝利を掴む。


更に杉浦の防衛戦は続く。8月にはかつての盟友弾丸ヤンキースでタッグを組んだ田中将斗を相手にしての防衛戦が行われた。こちらは桜庭との防衛戦とことなりいわゆるハードヒットの戦い。お互いを激しい打撃やスープレックスで徹底的に痛めつける戦いだ。ある種の我慢比べの様相も見せつつ、40分近いロングマッチとなったこの試合は、杉浦必殺の五輪予選スラムによって終止符を打たれた。

杉浦は50歳を超える大ベテランである。桜庭や田中も己と近い世代であり、ここまでの防衛戦で年齢を感じさせない激しく、また幅の広い戦いを見せてきた。その杉浦への挑戦を叫んだのはDRAGON GATEの望月成晃だ。鉄人の異名を持つ望月もまた杉浦と同世代。20年のN-1では当時のGHCヘビー級王者潮崎豪を降すなど、杉浦同様他の世代に負けない強さをノアでも見せつけている。その望月が満を持してのノアのシングルタイトル挑戦である。

ノアの鉄人とDRAGON GATEの鉄人の戦いもまた死闘であった。望月の強烈なキックを分厚い肉体で受け止める杉浦。望月もまた杉浦の強烈なエルボーに耐える。更に試合終盤の望月は杉浦の五輪予選スラムさえも跳ね返す。そして望月はおもむろにレガース外すと、杉浦の顔面にキックを叩き込む。この一撃には杉浦も耐える術なく、まさにリングに上に轟沈。望月がついにノアのリングでシングル王座初戴冠となった。


杉浦王者時代の挑戦者は桜庭、田中、望月とベテランであった。しかしどの選手も下の世代に負けない武器を持つ者ばかりである。桜庭は技術、田中はタフさ、望月は打撃とそれぞれの武器で、己の誇りを賭けて杉浦に挑戦していった。そうしたベテランとしての誇りとともに望月は王者となった。

しかしその望月に対して、真紅のベルトの申し子は「オッサンどもの戦いにはもう飽きた!」と、彼らの戦いをバッサリ切り捨てる強烈な一言を放った。


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