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N-1 VICTORY2022【DAY2】船木誠勝VS中嶋勝彦〜リアルとロマン

トップ画像はWRESTLE UNIVERSEのキャプチャ画像です。

プロレスリング・ノアのN-1 VICTORY【DAY2】。8.13大阪大会はどの試合も素晴らしい内容でした。その中でも私の印象に強く残った試合。それは船木誠勝VS中嶋勝彦のカードです。

両者初日を白星で飾った選手同士の試合。GHCナショナル王者の船木とN-1で3連覇の懸かる中嶋勝彦。両者が激突した日の試合はまさにリアルとロマンを絶妙に混ぜた試合でした。序盤は徹底したリアルな攻防。スタンドではお互いが間合いを図り牽制。ひとたびグラウンドに移行すれば決め合いやポジショニングの前の段階。下になった選手が相手を動かすまいと密着しスペースを作られせない。両者ともリング上を激しく動き回るわけではないが汗でお互いの体が光る。それは「すきを見せれば相手に食われる」という極度の緊張感の中での戦いだからでしょう。

そうしたリアルな攻防が続いた後。中盤にさしかかるタイミングでようやくこの試合でロープワークが発生します。中嶋をロープにふる船木。中嶋はそれを低空ドロップキックで返す。さらに船木のキックをドラゴンスクリューで迎撃。ここから試合は序盤と違った色を見せはじめます。一旦はリング上で序盤のようなグラウンドの攻防をはさみますが、中嶋が船木をリング下に落として場外戦へ。場外で鉄柵を利用して中嶋は船木を痛めつけます。さらにコーナポストでダウンする船木へシャッターチャンス(船木の顔面に脚を踏みつけ観客に写真撮影を煽るムーブ)も繰り出します。

続けて得意のキックで船木をダウンさせた中嶋は船木を抱えバックドロップを狙います。しかしここは船木が膝蹴りで迎撃。ここからは船木と中嶋によるキックの耐久勝負が始まります。互いに相手めがけてキックを放ちそれを耐える。これは美しいロマンあふれる攻防でした。両者に20歳近い年齢差がありますが、それを感じさせない激しい我慢比べが続きます。そこからの移行もまた見事。中嶋のキックを交わした船木が中嶋をスリーパーで捉える。しかしそれをこらえて船木をバックドロップで投げる中嶋。ロマンあふれる我慢比べの後には一つ一つにリアルが詰まった攻防と目まぐるしく色を変えています。

さらにリング中央で船木を蹴り続けてダメージを与える中嶋。そしてフィニュッシュのヴァーチカルスパイクを狙います。これを耐えた船木は中嶋の腕をとりスタンドの脇固め→膝蹴りとカウンターです。勝負を分けたのは直後の攻防。中嶋と船木が張り手と掌底を繰り出します。お互いの必殺が空を切るも最終的にヒットさせたのは船木。この掌底で勝負は付いたかに見えましたが、船木は雄叫びとともに止めのハイブリッドブラスターを放ち。中嶋をリングに文字通り沈めました。

シリアスな強さを求める攻防も。ロマンある相手の攻撃を受け切る姿勢も。片方に針を振り切ってしまえば。それは戦いのエンターテイメントというプロレスにはなりえません。純粋な格闘技でもロマンだけのエンターテイメントでものがプロレスの良さです。どんな試合でもこの2つの要素は含まれるでしょう。しかしこの試合はそれを神がかり的な配合でなしえました。まさに船木誠勝と中嶋勝彦にしかできない試合。それを完璧に遂行しました。【DAY1】に続き名勝負となったメインイベント。続く【DAY3】8.14広島はどんな色の試合で観客を楽しませてくれるのでしょうか?



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