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かごめのルール

大豆田とわ子と三人の元夫4話の感想です。

「じゃんけんで一番弱いのは何か知ってる?
じゃんけんで一番弱いのは、
じゃんけんのルールがわからない人。
私にはルールがわからないの。」

とわ子の無二の親友、かごめが言った言葉。

個別級に在籍してた長男が、5年生の時に言った言葉を思い出した。

「個別級はルールが10個くらいだけど、普通級には20も30も、もっといっぱいあって、それを守るのが大変なんだ」 

人といる時、
特に仲良くもない人間関係のなかに放り込まれた時のあの緊張なら、
私も知っているけれど、
それとはちょっと違うみたい。
私には、そんな定規しか持ち合わせがない。
だから本質的には君をわかってあげられない。

でもかたちのないものを、そんな風に言葉にできるのって
すごいねって思う。

見えないルールは、
読み間違えれば急にその場の空気が凍る。
誰かを傷つけたいわけでもないし、
困らせたくもない、
役に立ちたいし、
笑ってもらいたい。
でもどうしてだか、
みんなと同じに出来ない。
足を引っ張ってしまう。

ルールはわからないけれど、
相手の気持ちには敏感なかごめと、
長男は似ているかもしれない。
いつもどこか世の中に申し訳なさを持って生きている。
痛々しいくらいどこまでも純粋だ。

かごめは
決して人嫌いではない。
そして弱くもない。

だから多額の遺産を寄付してしまった。
誰かを幸せにするために。
そしてわかってくれなかった身内を捨てるために。
自分を愛するために。

それがかごめのルールだ。

長男にもいつかとわ子のような親友と、
ハンディを超えるアイデンティティと
そして
自分らしいルールが出来るといい。

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デートに誘われたかごめの支度をとわ子が整えるシーン。かごめを演じる市川実日子さんが美しくて印象的。

ほんとはもっとオレンジを強く塗ったのに、写真だと全体がグレーっぽくなってしまいました。

実際のシーン、オレンジと青が綺麗です。ドラマ全体も色にこだわっていて、美術さんの心意気を感じます。

雑誌オリーブの専属モデルとして表紙を飾った時、将来こんな素敵な女優さんになるなんて思ってなかった。一見クセがありそうな不思議な存在感で物語を支え、後味はとても爽やかな女優さんですね。

大豆田とわ子と三人の元夫。

足りなかった何かに
まだ手が届きそうで、
でも足りないものなんかないくらい、
ほんとはなんでも持っている、
振り返れば40年かけて集めたもので
満ち足りてる40代、、、
そんな40代の男女の恋物語。(3番目の夫は30代)

片思いがドミノ倒しのように
折り重なり、
その一番先にいるのは、
どうやらかごめみたい。


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