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頭部MRI検査

 ――MRIとは、磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)を略して呼ばれています。 (中略) 大きな磁石と電波を使って体の内部情報を画像化して表示します。 (中略)
私たちの体(組織と臓器)には多くの水分(H2O)が含まれています。MRI装置は、水を構成する水素原子に磁石と電波を使って水素原子の位置を解析し、撮像した体の部分の画像を作ります。MRIの特徴として、撮影中は大きな音を伴います。これは、装置内部の磁石のスイッチが高速に切り替わるために装置が振動しカンカン・ビービーといった音が出るのです。――(出展:国立国際医療研究センター病院ホームページ)


 赤いようなオレンジ色のような、10畳ほどの薄暗い部屋へ通された。部屋の真ん中には白い機械が無機質に佇んでいる。

「靴を脱いでそこに横になってください」

はい、と言われた通りにする。

「ベッドを上げます」

「ヘッドホンをつけてください」

「頭部を固定します」

顔に頑丈な覆いが被せられた。外の様子は何も見えなくなった。


  ガシャンッ


ベッドが移動した。


「始めます」


緊張しながら両手を握りしめてしばらく経つと、カンッ、カンッっと一定の間隔で大きな音が鳴り始めた。まるで釘と金槌で頭蓋骨を割って脳を取り出そうとしているかのような音がほの暗い広い部屋に響く。ブラウン管テレビから流れてくる銃声のような音もたまに混ざっている。


 ブブブブブブ


音が変わった。携帯のブザーの中に入り込んだような細かな振動があばら骨に伝わる。


 ビーーーー カッチャッ ビー カッチャッ カッチャッ ビーーーーーー


また音が変わった。不規則に心臓を引っ掻くような音。


閉じていた目を開けた。顔の2cmほど前に白いプラスチックの覆いが見えた。


手足は自由だが外を見ることはできない。胴の上にギロチンがあろうと包丁が向けられていようと何も分からない。


右上から、左上から、体の中から、遠くの方から、近くから、全方向から、音がする。



カンッ カンッ カンッ カンッ カンッ


カンッ カンッ カンッ ビーーー ビー ビー ビー


ジーーーーーーーーーー ガンッ


ガチャン ガチャン ガッチャッ ガッチャッ ガッチャッ ガッチャッ          バンバンパンッ


シーーーーー ビーーーーービーーーーー チャッ



ブーーーーーーーーーーーーーー パンパンパンパン


ガッタン ガッタン ガッタン ブブブブブブ カンッ カンッ カンッ






ブブブブブブブブブブブブブブブブブブ ガンッ

ピー ガッチャッ ガッチャッ ガッチャッ ガッチャッ ガッチャッ ガッチャッ ガチャン



カンッ カンッ



ピーーーーーーーブブブブブブ カチャンッ








「終しまいです。」


部屋を出ると、来たときと同じように、誰もいない白い廊下が奥に続いていた。

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