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#58 感情(後編)

こんにちは☺ もるです

↓ 前回の続きになります




定演 本番


ついこないだ定期演奏会の練習を始めたばかりのような気持ちだったのに、気がつけばもう本番。

今回の演奏会は第一部に2曲、第二部にチャイ5という演目。

第一部は「本当に本番??」と言うくらい、一瞬で終わってしまった。もちろんすっごく楽しかった。
残すはチャイ5のみ。
チャイ5までの15分休憩は各々緊張との戦いだった(ほるんぱだけ?)

トップの後輩ちゃんは緊張して座り込んで完全に固まってた。
私は体力の心配しかなかったし、他の現役ホルン・トラさんもやや表情固め。

でもやるべきことはやってきたとお互いに励まし合い、いざ舞台へ。

1楽章。
冒頭Clのメロディーが一気にチャイ5の世界を作り出して、「もう後には引けない」と改めて覚悟を決めた時だった。
ホルンが入るところはとっても良い感じのサウンドで、細かなニュアンスがパチッとそろって吹いてて気持ちよかったな。
ホルンらしい豊かなアンサンブルが響いて、幸せな気持ちで溢れた。


2楽章。
隣にいる後輩ちゃんから緊張がひしひしと伝わってくる。(私は2nd)
練習の時から冒頭soloほんとにほんとに頑張って練習してて、ストイックに向き合っていた姿を真横で見ていたから、ただひたすらに応援した。
甘く切なく、それでもって力強い彼女のホルンがホールいっぱいに広がって、心揺さぶられた。

soloを吹き終えて、安心と上手く吹けなかった悔しさでいっぱいになったのか、終始静かに横で泣いていた。
誰よりもホルンが上手い彼女が横で号泣してて、そんな姿初めて見たので私も泣きそうになった。

それと同時に「私、全然本気じゃなかった。彼女のために頑張らなきゃ」
とスイッチが入った。
そこからは、ただただ全力で吹いた。

3楽章。
実はホルン2ndが地味に?大活躍する楽章。
体力はまだ何とかなってたけど、前日ほとんど合わせてない&拍の取り方難し過ぎる3楽章を乗り切れるか不安しかなかった。

若干入りが遅れてしまったりしたのは悔しい部分だけど、ピッチはそこそこよかったし、ベルトーンもゲシュトップもダイナミクスも全神経注いでやり切った。緊張した・・・


気がつけばもう4楽章。
今回のチャイ5で苦戦したフレーズトップ3に入るのが序盤の裏メロ。
ほんっっっっっっっとに難しかった。
まず音域低すぎる。しかも16分の音価の取り方も至難の業。
何とか意地で吹ききったけど、肺活量結構使う部分でちょっと体力が怪しくなってきた。

中盤はとにかく体力勝負。
「ここ何でホルンなんだろう、?」とたくさん頭を悩まされてきたフレーズばっかりだったけど、最後と思うと急に名残惜しくなって、寂しかったのを覚えてる。

気がつくと終盤のあの有名なメロディーに差し掛かっていた。
肺がそろそろ限界で意識遠のきそうになるなか、色んなことを思い返した。
1音1音を噛みしめながら、楽器が吹ける幸せ、皆と吹ける幸せを感じて、ずっと浸っていたい気持ちで溢れた。

最後の1音を吹ききったとき、初めてホルンをやって良かったと心の底から思えた。

喜び、悲しみ、切なさ、不安。
ほんとにいろんな感情が渦巻いた50分間。
ここまで演奏に真剣になったのは9年目にして初めだったかも。
きっと一生忘れないと思う。


チャイ5吹けてほんとに良かった。






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