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オンライン朝読書ルームのはじめかた

東京学芸大学のMöbius Open Library(メビウス・オープン・ライブラリー:略称MOL)では「オンライン朝読書ルーム」でオンラインの読書空間を提供しています。MOLレポートでも4月5月の様子を紹介しました。この取組みは、学校の臨時休校をうけて行いましたが、いつでも誰でも簡単に始めることができますので、その方法を紹介します。

オンライン朝読書ルームの趣旨

参加者がウェブ会議システムに接続し、朝の一定の時間帯、カメラの前で読書する場を提供するのが、オンライン朝読書ルームの基本形です。

朝読書では、静かに読書する時間の確保をすることで、生活リズムの安定させ、読書習慣を身につけることができます。他者がいることを意識することで集中力を保ち、学習意欲を向上させる図書館空間のような場をオンラインにつくることが狙いです。オンライン上で児童・生徒の繋がりを維持することができることから、学校休校中のサポートにもなるでしょう。

運営は学校でも図書館でも誰でもできます。ルーム開設時間の設定は自由ですので、運営者の都合にあわせて決めましょう。また、参加対象者も決めておきます。朝読書ルームで読む本は指定せず、参加者(児童・生徒)の主体性に任せます。毎朝ただ読書することに徹したほうがよいでしょう。

実施方法

1)ウェブ会議システムの準備

MOLで企画した学芸大朝読書ルームではZoomを利用しました。多様な参加者を対象としていたためZoomを選択しましたが、学校単位で実施する場合には、Microsoft TeamsやGoogleMeetなど、自分の学校で利用しているコミュニケーションツールを利用するのでもよいでしょう。

ZoomでもTeamsでもGoogleMeetでも、まず、アカウントを作成する必要があります。学校で用意したTeamsやGoogleMeetを使う場合は学校から発行されたアカウントがあるはずです。Zoomの場合はアカウントを取得します。

【Zoomのアカウントを作成するには】zoom.us/signupにアクセスして、メールアドレスを入力します。Zoomからメールが届きますので、「アカウントを有効にする」をクリックします。 無料アカウントの場合、最大100名まで参加できますが、40分の時間制限があります。(2020年10月現在、教育機関では時間制限は無効になっています。)
・新規ユーザー用クイックスタートガイドhttps://support.zoom.us/hc/ja/articles/360034967471

Microsoft TeamsやGoogleMeetの場合は、オンライン朝読書ルームを開催する場所を決めます。

【Teamsの場合、チームを作成するには】
Teamsの場合は、まず、オンライン朝読書ルームを開催するチームもしくはチャネルを作成する必要があります。
 メニューの中から「チーム」のマークを選択し、チームの一覧の一番下にある 「チームに参加、またはチームを作成」をクリックすると「チームを作成」というメニューが出てきます。チームの種類は「その他」でよいでしょう。チーム名を記入して保存すれば出来上がりです。
既存のチームを使うときは、オンライン朝読書ルーム用のチャネルを設けてもよいでしょう。

・チームを作成する
https://support.microsoft.com/ja-jp/office/%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%8B%E3%82%89%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8B-174adf5f-846b-4780-b765-de1a0a737e2b 
・チャネルを作成する
https://support.microsoft.com/ja-jp/office/teams-%E3%81%A7%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%92%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8B-fda0b75e-5b90-4fb8-8857-7e102b014525

ここまでの準備が整ったら、次に、いよいよ会議の予約を行います。

【Zoomで予約する場合】「ミーティング」というタブから「ミーティングをスケジュールする」を選ぶとビデオ会議の予約ができます。
トピックスはデフォルトではマイミーティングとなっていますが、参加者がわかりやすいようにイベント名(「オンライン朝読書ルーム」等)を入れます。「定期ミーティング」 にチェックしておくと毎日同じ時刻に設定されます。
ビデオはホストも参加者もオンでよいです。ミーティングオプションの「ホストの前に参加者を有効にする」はチェックをはずしておくほうがよいでしょう。
・ミーティングをスケジュールする
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362413-%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%92%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%99%E3%82%8B
【MS Teamsで予約する場合】
朝読書ルームを開催するチャネルでカメラのマークから「会議をスケジュール」を選びます。特にチャネルを設けていない場合は「一般」のチャネルでもよいです。タイトルにはイベント名(オンライン朝読書ルーム等)を入れます。初回の日時を入れ、デフォルトは「繰り返しなし」になっていますので「毎日」に変更しておきましょう。それ以外は特に入力しなくてもよいです。「送信」をクリックすると保存されます。
・Teamsでの会議のスケジュールを設定する
https://support.microsoft.com/ja-jp/office/teams-%E3%81%A7%E3%81%AE%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%81%99%E3%82%8B-943507a9-8583-4c58-b5d2-8ec8265e04e5

Zoom等のウェブ会議の方法は、インターネット上にいろいろな解説が出ていますので、参照してみてください。

2)参加者申し込みを受付

学校のクラス単位など参加者が特定されている時には不要ですが、参加者を募って、ルームのURLをお知らせする場合には、申し込みを受付ける必要があります。Microsoft FormsやGoogleフォームなどの申込みフォームを作成して参加申込みを受け付けるとよいです。
なお、収集した個人情報の取扱いには細心の注意を払いましょう。

【Google Form】 https://www.google.com/intl/ja/forms/about/
【Microsoft Forms】 https://support.microsoft.com/ja-jp/office/microsoft-forms-%E3%82%92%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8B-4ffb64cc-7d5d-402f-b82e-b1d49418fd9d

参加申込者には接続方法(アクセス先のミーティングIDやパスワード)をお知らせします。あわせて、Zoomのアプリはあらかじめダウンロードする必要があることやツールの使い方をお知らせしておきましょう。

【Zoomでの招待状の送り方】
ミーティングのページに「招待状のコピー」があります。ミーティングIDとパスコードが表示されていますので、これをコピーして、申込みされた方にメール等でお知らせします。
【Zoomの参加者用の操作ガイド】
Zoomのアプリダウンロードはこちらから  https://zoom.us/support/download
・WindowsとMacのZoom基本操作ガイド
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362033
・iOSのZoom基本操作ガイド
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362993
・AndroidのZoom基本操作ガイド
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/200942759
【Teamsでの参加者への連絡】
参加申込み者を朝読書ルームのチームのメンバーとして追加します。チーム一覧のチーム名の横のメニューから「メンバーの追加」を選び、参加者のアカウントを追加してください。
チームのメンバーでない参加者を招待する場合は、「予定表」から自分でスケジュールした会議の詳細を開きます。「必須出席者を追加」に、参加者のアカウント、もしくはメール アドレスを入力して「送信」します。

・チームにメンバーを追加する
https://support.microsoft.com/ja-jp/office/teams-%E3%81%A7%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%92%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AB%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%82%8B-aff2249d-b456-4bc3-81e7-52327b6b38e9
【Teamsの参加者用の操作ガイド】
Teamsで会議に参加する
https://support.microsoft.com/ja-jp/office/teams-%E3%81%A7%E3%81%AE%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%82%8B-1613bb53-f3fa-431e-85a9-d6a91e3468c9

3)当日の運営

時間になったら、ウェブ会議を開始します。参加者の入室を確認したり、カメラやマイクの状態を確認しましょう。

【Zoomで待機室が有効になっている場合】
ホストより先に接続した参加者が待機状態になっています。開始したらすぐに「参加者」のタブを開いて、入室を許可しましょう。あわせて「セキュリティ」のタブで「待機室を有効化」のチェックをはずします。それ以降に入室した参加者はホストが許可しなくても入室できるようになります。
【Teamsの場合の会議の始め方】
Teamsの場合は、誰でも会議をはじめることができてしまうので、運営者は開始時刻より早めに準備にはいったほうがよいでしょう。スケジュールした会議をクリックし、会議の詳細を表示した上で「参加」をすると会議を開催できます。

コアタイムを設定している場合には、運営者から声をかけて、読書開始の合図をしましょう。学芸大朝読書ルームではチャイム音を鳴らしました。チャットの使い方やマイクのオン/オフも最初に説明するとよいです。

ルーム開設中は、状況をウォッチし、問題がありそうだったら介入できるようにしておきます。ただ、通常は特に心配しなくても、大丈夫です。参加者タブを開いておくと、参加者の一覧を見ることができます。チャットなどで質問を受けることもありますので、チャットのタブも開いておきましょう。

終了時刻が近づいたら声掛けをします。学芸大朝読書ルームではチャットに感想を記入してもらったり、参加者の行動を促しました。運営者はチャットの保存をしておくとよいです。最後は終わりの挨拶をしてルームを終了しましょう。

4)実施後のフィードバック

実施後はアンケートをとったり、参加者の意見を聞く機会を持つとよいです。これはリアルのイベントをしている場合と同じですね。アンケートフォーム(申込フォームと同じ要領で)を用意すると簡単です。

Let's Try!

ウェブ会議システムの運営が初めての方はドキドキすると思います。事前に誰か同僚や友達と接続テストしてみましょう。参加者のほうも接続できるか心配しているかもしれません。再び学校が休校することに備えて、通常時に、一度、実施してみるとよいかもしれませんね。

楽しく運営するために、いろいろ遊びの要素を準備してもよいと思います。学芸大朝読書ルームでは、フリーの音源で学校のチャイム音を探して、時間になったら流しました。(手動ですw)
また、静かに読書するだけではなくて、時間を区切って、おしゃべりする時間を設けてもよいかもしれません。学芸大朝読書ルームでは、お薦め本を紹介したり、詩を朗読したりしました。

ともかく、始めてみること。うまくいかなくても、徐々に運営を工夫していくとよいと思います。ぜひトライしてみください。


【関連のウェブサイト】
・東京学芸大学附属図書館 オンライン朝読書ルーム http://library.u-gakugei.ac.jp/mol/asadoku/index.html
・MOL report Vol.4「朝読書ルーム」~オンラインに図書館的な読書空間を作る試み https://note.com/mol_expg/n/n312f6c4e3cc4
・MOL report Vol.5「朝読書ルーム」ふたたびhttps://note.com/mol_expg/n/nd73e41367e49
・Explayground推進機構  https://explayground.com/



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