映画『ヒックとドラゴン』感想(2010年9月11日執筆)

※この記事は、過去に個人サイトのブログに掲載していたものを転載したものです。記述内容や感想は当時のものになります。ご了承ください。

※ほぼネタバレ無しです。

 最初はドリームワークスの3DCGアニメは肌に合わないイメージがあったので、観にいくつもりはなかったんですが、口コミ情報ではなかなかの評判だし、なにより今までのドリームワークスのキャラに特有の「とっつき悪さ」(アクの強さといってもいい)がない。
 雑誌で読んだ監督のインタビューの日本アニメリスペクトっぷりも好感持てるし、ちょっくら行ってくるか~って感じで。

 私が間違っておりました。完敗でございます。
 私も今年はけっこうな数、劇場でアニメを見ましたが、現時点で今年一番といっても差し支えないかと。
 『Toy3』もかなりよかったんですが、それすら超える。

 映像も音楽も何もかもよかったんですが、とにかくお話がおもしろい。これに尽きます。
 最近の映画では、なんとなくすっきりしないものが多い印象がありますが、これはとにかくすっきりする。すべてに合点がいくかんじ。
 かといって単純すぎる訳でもなく、すばらしいアイデアで満ちている。これがなんという贅沢なことか。
 いや、なんかもやもやしたり、引っ掛かりがある映画を否定するつもりはないんですよ。それはそれで味ですから。
 でも子供向けに作られた映画は別。雰囲気でごまかさず、きちんと答えを用意する必要があると思います。
 それをどう受け止めるかはそれぞれの自由としても。

 そういう意味で、この作品はまったく逃げてない。すばらしい脚本力だと思います。
 それでいて立派にエンターテインメントとして成り立っている。
 ワクワクする冒険活劇でありながら、緻密な計算で成り立ってる脚本の、胸のすく感じと言ったら!
 ラストに向けての伏線の回収は見事だとしかいいようがないです。いちいち「なるほど!」「きました!」という感じ。

 それからもちろん、映像もすばらしいです。先ほど述べたように、従来の DW作品特有のとっつきの悪さ(個人的な趣向で言わせていただけば、趣味の悪さ)はまったく感じません。
 それどころか、親しみやすく温かみのあるキャラクター、まるでスーパーロボットのように強くたくましいバイキングたちの戦い様、かなりディフォルメされてるのにすごく生物っぽいドラゴンたち。
 屈強なバイキングたちが火を噴くドラゴンを恐れもせず、鉄拳で立ち向かっていくさまは、まさに
「最近こういうガチな殴り合いのアニメって見てないよなぁ…。ロボットアニメも少ないし」
 とか思わざるをえないw それくらいかっこいい。

 そして、主人公達の飛行シーンの爽快感!他のシーンはともかく、飛行シーンだけのためだけでも3Dで見る価値があります。
 陳腐な表現になりますが、「風を感じる」。下手なジェットコースターなんかよりも気持ちよくなれるんじゃないかしら。
 そしてこの「飛ぶ」こと自体が主人公とドラゴンの「絆」になるわけですから、これが気持ちよくないはずがない。

…とまあ、ネタバレにならない程度にいろいろ行って見ましたが、ストレスなく冒険活劇を楽しみたい方に、なんの躊躇もなくお勧めできる、久しぶりのアニメ作品だといえます。まじお勧めです。

 まあ、時期的にお勧めする旬はすぎてますけどね…(・ω・`;)
 見られなかった方は、DVDがでたら是非に。

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