元氣玉


元氣玉を見たのは4年前

親友の犬
その子の十二指腸に大きな腫瘍ができていて

きれいに丸いその腫瘍は
空洞をすっぽり埋めて
食べものだけじゃなくて、水も通さないみたい

食べたもの、飲んだものも
ぜんぶ胃にたまってしまった

歩くとちゃぷちゃぷ音がする
(後で聞くと、流れられず胃に溜まった重量は3kg)

うんちもでなくなった

大型犬の14歳

高齢もあって手術はリスクもある。と
家族で泣きながら会議した

このまま衰弱していくのは見ていられない。と
手術で腫瘍をとってもらうことに決まった

元氣じゃないのかもしれない

けど、散歩にはいこうとするから
ついていった

ゆっくり歩くし、たくさん休憩もする

田んぼいっぱいのあぜ道で
休んでるその子をみてると涙が止まらない

なんでもいい。
誰でもいいから助けて。そんなきもちで

生えてる草に、木に、田んぼに、遠くの山に
少しでいい。
ちょっとずつでいいからどうか、
この子に力を分けてください
お願いします

わんわん泣きながらお願いすると

近くも遠くからも
草や木から小さい光がぱあーっと
その子のもとにやってきた

もう言葉にならない

ありがとう。ありがとう。ありがとう。

この子は応援されてる
きっと大丈夫

あの景色は誰にも伝えられないけど
あぁ、元氣玉ってほんまにあるんや

そう知れた日。

自然ってすごい


数日後 入院、手術

手術は成功

けど、もう自力で歩くことはできないかもしれません。と言われ
家族で介護を覚悟した

退院した次の日
朝起きるとふてくされている

お散歩でしかおしっこをしないその子が
おもらしをしてしまった

なんてかわいいの。全然大丈夫。
お湯で温めたタオルでふかれるのが相当はずかしかったのか

次の日の朝、
母と私、前と後ろからその子を支えながら散歩に行く

あれ?かるい。
お母さん、ささえてる?
全然支えてない

きづくと介助なしに一人ですたすた歩きだした

いつもの場所でおしっこをした

この日から亡くなるその日まで
自分で歩いておしっこにいった

わたしはあの時元氣をわけてくれた
草木たちのおかげやと思っている

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