亀の子、私
えー、亀は万年と言いますが……
万年て、いいまんねん。
ーーー
ある日、家に帰るとお父さんが亀だった。
お母さんはもう亀なお父さんに慣れたのか普通に接している。
私は「お父さんどうしたの?」と聞くと亀なお父さんは「昨日の夜、職場の仲間と飲みに行った帰りに、路上の占い師に占ってもらった後に亀にされた」と平然と言う。
「家まで連れて帰ってくるの大変だったんだから」とお母さんが笑いながら話す。
お父さんは亀は亀でも、象亀。
どうやって連れて帰ってきたんだろう?
亀なお父さんが「そこで頼みがある。今晩の占い師のところへ行って、元に戻す様に話してきてくれ」そう言って頭を下げた。
その夜私は昨夜お父さんが飲みに行ったと言う場所の近くを、ウロウロと占い師を探してまわった。
22時を過ぎた時フッとお父さんが言っていた場所にその占い師は現れた。
私はすぐにその占い師に昨夜の話をして、お父さんを元に戻すようにお願いした。
「昨日、あなたのお父さんがワタシを『インチキ占い師』とバカにするから魔法をかけたのです。反省してるんですね、わかりました。元の姿に戻します」
占い師が水晶玉に手をかざし何か唱えた。
その後すぐ私のスマホが鳴って、お父さんから「もとに戻ったぞ。ありがとう」と連絡があった。
私は占い師にお礼を言った。
占い師は「昨日あなたのお父さんが家族の事も占ってほしいと言うから、占った」
「やっぱり占い通り。昨日お父さんにも言いましたが、娘さん、あなたの未来だけ見えない」
了
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