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北陸の雪へのひとりごと

晴れた。今日は朝だけ雪マークが並んでいたから、また厚着しなきゃなって思って落ち込んでいたけれど、もう一回天気予報を確認したらあったはずの雪マークがお日様マークに交代させられていて、なんだか気分も晴れる。

ここ最近はずっと雪で、外に出るのがひたすらおっくうだった。暖かい地域で育ってきた友人は、雪が降り積もっているのを見てキャッキャと喜びの舞を舞っていたけれど、一緒に踊れるほどワクワクする気分にはもうなれない。

そんな純粋な子供心はどこかに置き去りにしてきてしまった…。と若干落ち込むけれど、こんなに雪降るんだもん仕方ない。と自分をなだめたくなる。積雪100cm(目分量)の世界には、もう子供心とか言ってる余裕なんてない。


雪国出身とは言うけれど

私の実家もここに負けず劣らずの雪国なので、小さい頃から雪は見慣れたもんだ。

初雪の時は、今までの世界が一瞬で白銀色に染まって、毎年ワクワクするけれど、喜びもまた一瞬でふきとんでしまう。

次の日からは「ああ~寒い~外出たくない~なんならこたつからも出たくない~」と駄々をこね始める。

よく勘違いされるのだけれど、雪国出身だからといって雪に強いわけじゃない。ここ重要。

できることならこたつから出なくても手が届く範囲に食べ物やら日用品やらを並べておいて、一日中こたつから出ずに過ごしたい。冬眠したい。

自分から天然冷蔵庫(なんなら冷凍庫)状態な外に飛び込めるほど、体力と気力はもう残ってない。これもまたどこかに置き去りにしてきたようだ。


融雪トラップ

そうはいっても、毎日外に出ないわけにはいかない。怠惰な自分を律するために心を鬼にしてたくさん入れてしまったバイトがある。鬼すぎた。手加減すればよかった。

意を決して、防寒対策でぐるぐる巻きになった体を無理矢理外へ追い出すと、案外寒くないことに気づく。

あれ。これはいけるぞ。今日はどこまでも歩けてしまうかもしれない。

そう思った矢先、私の足にふりかかる一筋の水。

あ。と下を見ると、そこには融雪装置が。(どうやら北陸限定らしいです。知らない人は調べてみてください。)

やってしまったあぁぁ、そう思ってももう遅い。ズボンの裾はもれなくびしょびしょ。融雪トラップ(勝手に名付けました)にひっかかるのは何回目だろう。どうも懲りない。

最初は「道路から噴水が出てる!それとも温泉!?」と思って、見るたびに面白がっていたけれど、一度このトラップに引っかかってしまってからは、私の天敵と成り下がってしまった。(点滴と予測変換に出て少し面白かった。真逆だ。)

今では、雪の降る日は下を向いて歩く。さもなければ、またあいつにズボンと、靴と靴下まで犠牲にされる。(経験済み)

融雪トラップの立場になって考えてみると、歩行者を歩きやすくするために、寒い中、水をピューピュー噴き出し続けてくれている。朝も夜も。

あれ。なんかいいやつだな。いつもおつかれさまです。さっきは悪口言ってごめんなさい。でも足に直撃するのはやめてください。


週間予報でも、もう雪マークは消えている。この冬はもう雪降らないかもな。やっとこの苦しみから解放される。ブーツを履かなくていい!前を向いて歩ける!!

でも雪ももう見られないと思うと、ちょっとだけ寂しい。

またこの世界に戻るのは9ヶ月くらい先のことだろうか。その頃には自分も変わっているのかな。変わっていなくてもいいけれど。

ちょっとくらい心の器が大きくなって、雪にも寛容に接せられるかもしれない。雪が好きになって、雪にダイブしちゃう日もくるかもしれないな。

どうかその時まで、おだやかに晴れた日を過ごせますように。

そして、白銀の世界を美しいと思える心を、いつまでも持ち続けられますように。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!





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