町村議会議員になるにあたってのメモ

 地方に移住して早3年近く。今年、自分が暮らす出雲崎町で4年に1度の町議会議員一般選挙が行われる年となった。
 出雲崎町は過去2回に亘り、定数10に対して立候補者数10となって無投票当選となっており、町長選挙を含めれば選挙が5回も行われていないままだ。民主主義の根幹たる選挙が行われないというのは、どのような規模組織であれ政治的に見れば不健全極まりないのではなかろうか。
 気になる結果は得票数35票で12人中12位。見事にぶっちぎりの落選を達成し、町全体には開票速報で0票という発表が流れる体を張ったギャグをカマした。供託金は無事返還されるため、開票結果が発表され12位で「ヨッシャア!」と喜ぶのはきっと儂くらいだろう。

 個人的な前置きは捨て置くとして、もしも地方移住してこれから地方議会議員となりたいと思う人が「何をしたらいいのか」をまとめておこうと思う。儂自身が準備が必要なものなどに関しての情報や知識が不足していて、ギリギリまでバタついたので、今後出る人たちの参考になればいいと思う。
 ただし「地盤培養(知名度や支持を得る行為)」や「瀬踏み(自分が選挙に出て受かるかどうかの確認行為)などの行為」についての解説は基本的にせず「選挙に出るのに必要な立候補手続き」と「ポスター作製などの準備行為」だけを説明する。

15万円用意する

 必ず用意すること
 前は供託金不要だったが、今は15万円の供託金が必要になった(理由は後述)。
 用意した15万円は自分の手元に戻ることはなく、ドブに捨てるものだと思ってほしい。春日一番みたいに国会議員選挙じゃないので300万円じゃないだけ財布に優しいが、それでも15万円。

立候補予定者説明会に行く

 必ず行くこと。ここで立候補に必要な書類や公選法上の注意点、地元警察署からの街宣車に関する注意、郵便局からの選挙はがきについてなどが全て説明される。立候補者だけじゃなく推薦で誰かを出馬させたい場合は推薦人が説明会に行っても良い。

選挙準備を始める

 選挙するにあたってはいくつか必要な書類があり、自分の資金力や戦略・戦術によっていくつかの契約を締結することになる。
 特に事前審査といって選挙の告示1週間前くらいに選挙に必要な書類や契約書、ビラ・ポスターなどのチェックが行われるので、この時点までに全部揃えておく必要がある。(儂は事前審査日に揃えることを知らなかったために事前審査後に駆け回る羽目になったので、確実にやっておくこと)

1.法務局内供託所に選挙供託金を供託する。

 必ず必要になる書類その1
 用意した15万円を供託するために最寄り法務局に出向くか、「供託ねっと(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html」を利用して電子申請することもできる。電子申請の場合は「供託(金銭)その他【かんたん】」を選択して入力していくと良い。詳しくは東京法務局の「(供託手続)オンライン供託申請による選挙供託について(http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000776.html」が詳しい。
心配な場合は「窓口で〇〇市(町村)議会議員選挙の供託がしたい」と話せば見本と記入する用紙をセットで渡してくれるので、安心して欲しい。
 窓口申請する場合、指定された銀行の窓口での納付かもしくはペイジーを利用した納付。電子申請の場合はペイジーを利用して納付することになる。
 ペイジーは最寄りの郵便局ATMで行うことができ、口座不要で直接現金を納付できる(ペイジーは通常、上限10万円だが供託などに関しては上限を突破してても納付できるので安心だ)。
 納付が終わったら郵送で供託書を送ってもらうか、窓口に直接取りに行くことができる。なお供託書は納付が完了した直後から受け取ることができるので、「電子申請(または窓口申請)→ペイジーで納付→電子申請で設定した法務局支局の窓口に行く」と混んでいなければ移動含めても数時間で供託は終わる。そして手に入れた供託書はなくさないようにしまっておこう。

2.戸籍謄本または戸籍抄本を用意する

 必ず必要になる書類その2
 非常に厄介な代物で「本籍記載の戸籍謄本または戸籍抄本」が必要になる。現住所と本籍が同じ市区町村であればなんら問題がないが、厄介になるのは「現住所と本籍が一致しない場合」だ。戸籍謄本・抄本は本籍地の市区町村でしか取得することができないので、北海道に住んでいながら「本籍:首里城正殿」だったり、東京在住ではないのに「本籍:皇居」などにしていると面倒になる。
 かくいう儂も住民票は出雲崎町に移してはいるが、本籍は埼玉県にあるので直接窓口に出向くか、郵送してもらうしかない。このため住民票の住所と本籍が異なる場合は早めに申請しておくこと。
 ただし一つだけライフハック的なやり方を伝えると戸籍が親・兄弟・姉妹と一緒の場合は「戸籍謄本・抄本を代理取得する場合に委任状は不要」となるため簡単に取得できる。万が一、自分の戸籍を取るのに行政窓口が渋った場合は「親の名前で戸籍謄本を取得」してもらおう。本籍が記載されていて、その戸籍に自分がいることが証明できればそれでいい。

3.各種契約書を交わす

 先の公職選挙法改正により、町村議会議員選挙での供託金の導入、また町村長選挙・町村議会議員選挙において公営で様々なものが賄われることが決定した(下図参照)。画像1

(総務省資料「公職選挙法の一部を改正する法律概要」より抜粋:https://www.soumu.go.jp/main_content/000693361.pdf

 これにより、街宣車の手配やポスター・ビラを作るにあたり契約をそれぞれ交わす必要が生まれ、先に書いた事前審査までにある程度整えておく必要がある。(なお、ポスター等を自作する場合においても事前審査までに原案を完成させておく必要があるので自作の場合も間に合うように作るようにしよう)

 公営によって賄われる契約は大体以下の通りになる

3-1.街宣車の個別契約またはハイヤー契約
 街宣車は自動車の借入、運転手の雇入、燃料代をそれぞれ個別に契約するか、もしくはハイヤー契約として包括こちらも的な契約。上限はあるが公費負担でその契約金の一部が賄われるようになる。その上限については出雲崎町においては以下の通りで、これを越えた場合に関しては実費負担となる。

1.選挙運動用自動車の使用
《限度額(1日あたり(1)・(2)どちらか)》
(1)個別契約方式
・自動車借入費用 15,800円
・燃料代 7,560円
・運転手雇用費用 12,500円

(2)ハイヤー方式 64,500円

 なお、車をレンタルせず自身が所有する車を街宣車として扱う場合についても「燃料代や運転手雇用費用を公費負担することは可能(出雲崎町選挙管理委員会の回答)」なので、是非利用して欲しい。

3-2.ポスター・ビラの契約
 街宣車に加え、こちらも公費負担で作成することが出来る。こちらも上限が設定されており、各自治体によってポスター掲示数などが異なり金額上限も変わるため参考程度にしてほしい。

(526円6銭×36カ所※+36,000円)÷36カ所※(参考)
・令和2年1月の町長選挙で換算した場合
ポスター掲示場数……36カ所(※)
⇒ポスター1枚あたり1,526円

3.選挙運動用ビラの作成
《限度額の計算式(町議会議員選挙)》
7円51銭/枚×1,600枚=12,016円

 なお、選挙ビラなどを作るのに「どこに頼んだらいいのか分からない!」という人はプリントパックさんあたりが安くてオススメしておきたいところである(契約を交わすのに先方との打ち合わせは必要なのでちゃんと問い合わせしよう)。
 ポスター・ビラは手作りした際には公費負担が一切なされないので、注意必要になる。(因みに40枚手作りするとA3をコンビニ印刷して1枚100円x40枚で4000円になり、これに雨にぬれても大丈夫なようにラミネート加工自前で行って+2000円の6000円程度になる)
 話が逸れるが、もし手作りしようという人がいるならば頒布責任者・掲示責任者・印刷責任者の部分は自分の名前と自分の住所で大丈夫だ。

画像2

 この画像の右下に小さく書かれているのが責任者名と住所で、ビラならば「印刷責任者と頒布責任者」、ポスターならば「印刷責任者と掲示責任者」となる。

それでは、気が向いたらときにまた続きを書こう。

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