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LinkBuds Sを買ったらノイキャンと外音取り込みの進化に驚いた

年末というのは、何故か何かしら買いたくなるものです。そんな中、私は以前から気になっていたSonyのLinkBuds S (WF-LS900N)を購入したので、これまで使っていたSony WI-1000Xとの違いについて触れつつ、感想を書いて行きたいと思います。

1. 5年使ってきたWI-1000Xがヘタってきた

もはや忘れてしまったのですが、WI-1000Xを通勤のお供に使い始めてから、かれこれ5年ほどが経過しました(と思っています)。LDACが普及し始めの頃に出た機種とあって、当時は比較的高級機種の部類でしたが、当時小型でノイズキャンセリング対応かつ音質の良いBluetoothイヤホンがほとんどなかった為、ほぼ選択肢なしで選んだのがこの機種でした。

ただ結果的にはまったく不満はなく、デメリットになりがちの首掛け部分は片耳だけイヤホンを外していても、ずれ落ちる事はありませんし、昨今のフルワイヤレスイヤホンのようにポロッと落とす心配もありません。また、3.5mm有線接続も出来るので、バッテリーが切れても使えますし、飛行機で電波を飛ばさず音楽も聴けて非常に使い勝手のよい機種です。

首掛け式のWI-1000X。使いすぎてフレームからガワが少し浮いてしまっている。

ですが、さすがに5年も使っているとバッテリーがヘタって来るようで、4~5日保っていたバッテリーも今や1~2日で切れるようになってしまいました。

2. 不満だったWI-1000Xの外音取り込み

バッテリの劣化とは別に、もともとのWI-1000Xの性能についても、実は少し不満がありました。それが外音取り込み機能です。Sonyではアンビエントサウンド機能といいますが、イヤホンをしながらでも周りの音を聴く事が出来る為、移動中に安全に音楽を聴く事が出来るとか、レジでイヤホンを外さなくても良いといったメリットがあります。また、ボタンひとつで切り替え可能なので、満員電車でもアナウンスを聴く事が出来ていいなと、個人的には思っていました。ところが実際には、この5年間でこの機能はほとんど使っていません。

外音取り込みというだけあって、イヤホンや本体についたマイクで周囲の音を拾って、それをイヤホンに流すという仕組みになっています。ところがどうもこのマイクの性能の問題なのか、外音取り込みをONにすると、周りの音がうるさくて音楽が聞こえなくなってしまいます。掻き消されるという表現が正しいかもしれません。

これが単に周りの音を拾ってしまっているというのであれば、まだ理解が出来ます。スマホアプリ側に外音取り込み量を調整する機能があるので、それを調整すればいいだけです。

ところがこの機能の困ったところは、周囲の音のうち大きな音や高い音ばかりを拾ってしまい、しかも音量を増幅してしまうので、騒がしさしか伝わって来ないという点です。外音取り込みから想像する、足音や物音、人の声といった近くの音ではなく、離れたビル工事の甲高い音、街中の騒音(声ではなく騒がしさだけが増幅)、自分の服の擦れるシャカシャカ音(布でも)といった、ノイズ『しか』拾ってくれない為、耳障り以外の何者でもありませんでした。

3. LinkBuds Sと外音取り込み

そんな中、各種ネット記事でもレビューでもSonyのLinkBuds Sの外音取り込み機能が非常に良いという話を目にしていたので、ずっと気にはなっていました。

WI-1000Xのバッテリーの状況が、冬になって急激に悪くなって来たので後継機に!という格好の言い訳を手に入れたので、勢いに任せてLinkBuds Sを買ってみたというわけです。

さて、そんな無理矢理な理由で購入したLinkBuds Sの外音取り込み機能ですが、想像を遙かに超える、非常良い物でした。

まず2.で触れた大きな音・高音を拾いやすいという問題については、非常に良く改善されていました。もちろん高音は普通の音より拾いやすいですが、以前のように耳に刺さる音ではなく、少し大きく聞こえるかな?程度の差にまで抑えられていました。

また一番驚いたのが、取り込んだ外音とイヤホンから聞こえる音楽のバランスです。WI-1000Xの時は、外音取り込みの音が音楽を完全に邪魔をするという仕組みになっていて、静かめの場所で使っていても、外音が音楽を覆い隠してしまっていて、音楽と外音を両方聴くというコンセプトを台無しにしていました。

ところがLinkBuds Sは音楽はハッキリ聞こえるのに、しっかり外音も聞こえるという不思議な体験をする事が出来ました。これにより、走行中の電車の中で外音取り込みをMAXの20にしても、音楽やPodcastの声をきちんと聴きながらアナウンスをハッキリと聞く事が出来るようになりました。

因みに私は大きな音が苦手 (※ライブやDolby Cinemaはライブ用耳栓がないとまともに聴いていられないくらい) なので、イヤホンの音量は小さめです。外音取り込みの時は多少音量を上げないと音楽が聞き取りづらくはなりますが、それでも爆音にしている訳ではなく、ノイキャン中とほぼ同じような感覚で外音取り込みが使える様になりました。これこそ、5年前に私が望んでいた使い方で、とても感動しました。

4. LinkBuds Sとノイキャン

それでは次にノイキャンの性能はどうかというと、WI-1000Xから更に性能が向上していました。「最適なイヤーピースを選択する」支援機能も備わっており、それも良い方向に効いているのだと思いますが、全体的に性能が向上したと感じました。

WI-1000Xでは、電車や飛行機の低音ノイズは割とキレイに消してくれていたイメージですが、電車で言うと連結部分の音とかホームで待っている時の他の線路の音とかみたいな、音の大きい かつ 甲高い音は、少し減衰はしてもすり抜けていた気がします。

それがLinkBuds Sでは、そういった音も含めてキレイに小さくなっているように感じました。BOSEやSonyのWH-1000Xシリーズのように音がまったく聞こえなくなる訳ではないですが、全体的に周りの音が小さくなったと感じる事が出来ました。

因みに私はJabraのElite 75tというノイキャン・外音取り込み対応のフルワイヤレスイヤホンも持っているのですが、そちらと比べてもLinkBuds Sの方がノイキャン性能は上でした。(長くなるので、細かい比較は割愛)

Elite 75t(左)とLinkbuds S(右)。サイズ的にはほぼ同じだが、
ノイキャン・外音取り込みはLinkBuds Sの方が上。

5. LinkBuds Sの使い勝手は最高か?

外音取り込み・ノイキャンの性能が良い事は分かりましたが、それ以外の使い勝手はどうでしょうか。これは非常に非常に残念と言わざるを得ません。音絡みが非常に良いだけに、それ以外の部分の悪さが非常に目立ちます。

まずイヤホン本体が、とてつもなく滑りやすいです。手触りはスゴく良いのですが、付け外しの際は恐怖です。ツルツルしている上に突起がない為、他のイヤホンと比べても格段に扱いづらいです。その上、付け外しの時だけタッチセンサがきっちり反応してくれるので、外している最中にタッチ扱いになって、勝手に再生を始めたりします。(まあ、ケースに入れれば切れますが)
そういう意味ではElite 75tのように物理ボタンの方が取り回しが良いのですが、世の中はセンサ型一直線で私は悲しいです。

次にイヤホンの装着センサの誤作動が起きやすいです。イヤホンの内側に装着しているかどうかの赤外線センサらしき物があるのですが、きっちりグイグイと耳の奥まで入れないと、音が出なかったりタッチセンサが反応しなかったりします。普段サッと装着しがちな方は、特にイライラするかもしれません。

それから、片耳運用での誤作動も発生しやすいです。右耳だけ付けてしばらく使っていた後、左耳を付けても何故か音が出ません。なのにセンサだけは反応します。で、ケースに入れて出して音が出るようになったと思ったら、今度は右耳の音が出なくなったりします。結局どちらもケースに入れ直したり、右耳を何度も入れて出してをすると直りますが、先ほどの持ちにくさも相まって、非常にイラッとします。
メーカ側はそもそも両耳使いが前提でしょうし、もしかしたらこの現象は私のイヤホンだけなのかもしれませんが、とはいえこの挙動は理解に苦しみます。


ケースの充電が少なくなるとオレンジ色に変わる模様。
因みにイヤホンのバッテリ保ちは、
通勤などの移動には充分ですが、長時間利用には向きません。

また、通知読み上げ機能を目的にこのイヤホンを買おうと思っている方は、まったくオススメしません。恐らくこれはAndroid側Googleアシスタントの作りが悪い事が原因ですが、UXとしては全然ダメです。おまけ機能レベルです。

通知を聞きたい方は、過去に紹介した事がありますが、Zeenyというイヤホンの方が何千倍よく出来ているので、それを買いましょう。私は、昔買った初期型しか持っていない為、ハードウェアについては言及しませんが、読み上げ機能の素晴らしさは非常に高いです。

6. まとめ

結論として、私はLinkBuds Sを買って満足しています。
目的が外音取り込み・ノイキャン性能の向上
という事と、LDACのような高音質コーデックが使えるイヤホンが欲しいというのが目的だったので、そういう意味では希望にマッチしていました。

LE Audioという新しいコーデックに今後対応予定とも聞きますし(2023年1月現在)、WF-1000Xシリーズは高すぎて手が出ないという事情もありましたので、現在の選択肢の中では非常に良い選択だったと思っています。

一方、それ以外の部分については残念と言わざるを得ません。そこそこ良いお値段の機種なので、そこは何とかして欲しかったです。

使い勝手とそこそこのノイキャンだけで充分であれば、1~2万円程度の他のフルワイヤレスイヤホンの方が総合点は高いとさえ思います。ノイキャンが欲しければ、Jabra買いましょう。通知機能が欲しければZeenyを買いましょう(笑)

ただし、外音取り込みだけに関して言えば、過去のSony製品と比べても大幅に改善している為、そこだけを目当てにされるのであれば、こちらの機種は強くオススメします。そういう意味では、定期的な買い換えって大事なんですね。今回実感しました。

いずれにせよ、上記の点を踏まえた上で、お店で聴いて、触って確かめてみる事を強くオススメします。

そしてSonyには音以外の部分にも是非こだわって欲しいなと、強く思いました。





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