【読書感想】入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる 中村和彦

近年、ビジネスの世界を始めとして、「組織開発」が脚光を浴びている。組織開発とは、戦略や制度といった組織のハードな側面だけでなく、人や関係性といったソフトな側面に働きかけ、変革するアプローチを指す。本書では、いま、組織開発が必要とされる理由、特徴と歴史、理論と手法などを具体的な事例を交えて紹介。なぜ、組織の人間的側面のマネジメントは重要な経営課題となるのか、第一人者による格好の入門書。 
「BOOK」データベースより

この本の概要

仕事に直結する本なのに積ん読にしてしまってました…。
「組織開発」という分野のことを学ぶことができる本でございます。チームのメンバーにすすめられて購入しました。

「組織開発」とは、組織のなかの、人と人との関係性や組織風土などにはたらきかけることで、組織を変革するアプローチのことをいいます。よく似たワードとして「人材開発」というのがありますが、「組織開発」が人と人とのかかわり部分の向上や変化を目指すのに対して、「人材開発」は個の成長や変革を目指します。

この本では、「組織開発」とはなにかというところから、組織開発の歴史、手法などについて説明してくれています。

「人材開発」だけでは限界がある

「人材開発室」とか「人材開発チーム」がある組織はそれなりに多くあるのではないかな?と思うのですが、「組織開発室」というのはまだ日本の企業には少ないように思います。

多くの企業の人材開発室では、従業員の成長のために、さまざまな研修を用意しています。また、コーチングやカウンセリングなど、「個」のキャリアや成長を支援する仕組みなどを取り入れている企業も多いですよね。

それらはムダではなく、必要なものなのですが、それだけで従業員が気持ちよくやりがいをもって働けるようになるかというと、そう簡単ではないようです。

書籍によると、組織のなかでメンタルヘルスの問題が多かったので、従業員支援プログラムというのを作り、カウンセリングなどで個人の心の問題に対して支援を行った組織があったそうなのですが、そのような個人を支援する制度を導入しても、問題は改善されなかったんだそうです。
個人に働きかけをしたとしても、それだけでは限界があって、個人と同時にチーム間や組織全体のレベルにも働きかける必要性がそこで理解されたんだと書いておりました。

多くの企業で、個のスキルを伸ばすためにさまざまな環境を用意してると思うのですが、実際、仕事の多くは個と個のつながりや関係性のなかで成り立つものがほとんど。

組織開発は、そういう人と人の関わり部分にフォーカスして、その関係性の改善をしていきましょうという、そんな学問です。

なんておもしろい学問だろう。もっと専門的に学びたくなる。

日本における組織開発の歴史

もともとアメリカから生まれた組織開発、高度経済成長期には日本にもその考え方が導入されたんだそうですが、ブームにはならず、専門的に学ぶ人もあまりおらず、そこまで大きくは広がらなかったんだそうです。で、その後、日本はバブルがはじけて経済が停滞し、そんななかで効率性重視、成果主義が発展。組織開発はすっかり下火に。
ただ、幸いなことにここ最近は、この組織開発も改めてその重要性が見直され始めているようです。効率性重視、成果主義が発展したものの、それで経済が元気になるわけでもなし、人も元気にならない。やっぱり大事じゃん!みたいな感じで、最近は日本で組織開発を扱う研究者も増え、論文も増え、いい感じに盛り上がってきてるんだそうです。

関係性を改めて振り返る作業はしんどい…

組織開発は、自分と相手とか、人間同士の関係性の部分にフォーカスをあてるので、自然とその過程で、関係性を当事者同士で振り返る機会もでてくるでしょう。

それってけっこうしんどい作業だと思います。特に関係性がかんばしくない場合には…。関係性がよろしくないから頑張って目を背けたり触れたりしないようにしているわけで、そこを見つめる作業ってのはハードだなぁと思います。

ただ、そこをむりやりこじ開けてグリグリやるのが組織開発っていうワケでもなくて、そういう心理的な障壁部分も含めて、まろやかに、少しずつ関係性を改善していくノウハウというのも組織開発には含まれているはず。

今を生きる多くの大人たちは、過去の「こうであるべき」という理論にとらわれすぎているので、『仕事中に「人間らしさ」とか「情」とか「気持ち」を出すことはやるべきではない』という思いに縛られている人も多くいるのだと思うんです。だから「組織開発」なんてそんなヒマないよ、と。

でも、コミュニケーション抜きにしては成り立たない職場ってのがほとんどなワケで、関係性を整えることは、目の前のタスクをこなすことと同じくらい時間をかけていいし、大切なことなんじゃないかなぁと私は思います。

仕事のタスクを進めることも楽しみたいけど、仕事と仕事のあいまにみえる人間性部分やコミュニケーションの余白に生まれる面白さも私はちゃんと楽しみたい。もっともっと組織開発が広く一般的になって、「人材開発」と同じくらいに当たり前の社会になるといいな。

あとで振り返ったときに思い出せるようにもっと要約的なことを書いときたかったけど、とめどなく長くなりそうなので、要約はやめます。忘れたら再読しよう。

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