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【読書感想】「蘇える変態」 星野源

読了日:2017/3/31

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“ものづくり地獄”の音楽制作、俳優業の舞台裏から、エロ妄想で乗り越えた闘病生活まで。突然の病に倒れ、死の淵から復活した著者の怒涛の3年間。
「BOOK」データベースより

この本の概要

星野源のエッセイ♪
ハズレるわけもなく、とてもおもしろい。

これまで読んだ本(「そして生活は続く」「働く男」)のあとがきなどでも、くも膜下出血のことを書いていますが、この本の後半は闘病時の記録そのまんまが掲載されてます。
状況や心情がしっかりと記録されているんですが、これってすごい記録だよなぁと、読んでて思いました。

闘病記

自分が今までどおりじゃなくなるかもしれない不安や、最悪死んでしまうかもしれない状況でも何かを書いたり、映像を撮ることをやめず、それさえもネタにしようとしている。
どこまでも表現者。

闘病記はたくさんあるけど、だいたいその後の結末がつらすぎるので、手に取ることができませんでした。
だから私にとってはこういう闘病記は新鮮でした。それに、リアルに闘病の様子がわかるうえに、ポジティブに終わることができるのでこの本はすごい!
性と生と死を、重くなく、軽くなく、ちょうどいい温度で嫌味なく考えさせてもらえる気がします。

それにしても星野源はいい人だ。
そしてエロい。
1個目のエッセイのタイトル「おっぱい」ですよ(笑)
詳細は書かないけど、死にたくなったときに、このワードを声に出すとすべてがどうでもよくなり気持ちが楽になるっていう内容で(笑)
それ以外にも「エロについて」「AV女優」など、要所要所でエロについて語ってます。

いい医者

後半、くも膜下出血の手術のことが書かれています。
星野源は最初に倒れたとき、カテーテル手術をして復帰しています。
しかし、定期検査で再発が見つかり、今度は開頭手術。
その2回目の手術はとても難しいもので、手術できる先生もあまりいなかったそうですが、そこで、担当してくれた先生が誠実かつユーモアあふれてて信頼して命を預けることができた、と書いていました。

わかる。
すごいお医者さんはホントにすごい。
滅多にあわないけど。

私も、ちょっと前に、父親の治療や手術のために何度かお医者さんの話を聞きに行ったけど、いい先生はすごく丁寧だし、説明の仕方も本当にうまい。
ちゃんとゆっくり話を聞いてくれるし、重くなりがちな話も冷静に、でもすごい温かみをもって説明してくれる。
のび太くんみたいな見た目の先生だったけど、
「結婚してなかったら好きになっちゃうわ!」
って思ったもの(笑)
一流の人はそこらへんもちゃんと一流なんだわな。

命ギリギリのところで頑張っていた星野源の言葉はやっぱり力があります。
星野源好きはもちろん、お疲れ気味の人や、「生きてていいのか…」みたいなさみしい気持ちになっている人に寄り添ってくれる、とてもあったかくポジティブな本です。

ぜひ、これを読んであなたも源さんのトリコに。。。

寂しさは友達である。絶望はたまに逢う親友である。そして不安は表現をする者としての自分の親であり、日々の栄養でもある。不安はご飯だ。
「夏休み」より抜粋

さみしいけどポジティブ。
こういう考え方いいなぁ。

体が生きようとしている。前からそうじゃないかとは思っていたが、やっぱり当たっていた。死ぬことよりも、生きようとすることの方が圧倒的に苦しいんだ。生きるということ自体が、苦痛と苦悩にまみれたけもの道を、強制的に歩く行為なのだ。だから死は、一生懸命生きた人に与えられるご褒美なんじゃないか。 
「生きる 2」より抜粋

生きるって楽しい部分もあるけど苦しい。
ほんとそうだよな。
「地獄でなぜ悪い」というカッコいい歌があるんだけど、闘病中にインスピレーションを得て作った歌なんだそうです。
この歌のなかでも「ここはもとから地獄だ」と歌っています。当時の思いが忠実につまった歌詞です。
そんな歌詞なのにポップでかっこいいし暗くないので大好き。
是非聞いてみてください。

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