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【読書感想】「第2図書係補佐」 又吉直樹

読了日:2012/6/25

読書芸人として有名なピース又吉の書籍紹介エッセイ。

私の読書記録は、概要と感想と心に残ったセリフを書く型が基本。
この本では、又吉自身の思い出や経験にまつわるエッセイを通して、紹介する書籍の空気感を伝えるっていう型が基本。だから書籍の内容はほぼわからない(笑)
でも、紹介する作品の空気感は伝わる。

うまい。
やり方がうまいし、ある意味、普通の作品紹介より伝わる。
文章もきれい。
他人から紹介してもらうと、気になって読んでみたくなる。

私が興味をもった本

・「昔日の客」  関口良雄
・「杳子(『杳子・妻隠』より)」 古井由吉
・「エロ事師たち」 野坂昭如
・「親友交歓(『ヴィヨンの妻』より)」 太宰治
・「あらゆる場所に花束が・・」 中原昌也
・「人間失格」 太宰治
・「宇田川心中」 小林恭二

ワタクシ的名文

宮沢賢治の幻想的な世界には、そのような凝り固まった観念がありません。
現象として起こることを自分の感性にそって甘受し受け入れるか否かの判断も自分で決定する世界です。
小説の楽しみ方は色々とあるが、僕が文学に求める重要な要素のひとつが、普段から漠然と感じてはいるが複雑すぎて言葉に出来なかったり、細かすぎて把握しきれなかったりスケールが大き過ぎて捉えきれないような感覚が的確な言葉にかえて抽出されることである。
そのような発見の文章を読むと、感情の媒体として進化してきた言葉が本来の役割を存分に発揮できていることに感動する。

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