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【読書感想】荒神 宮部みゆき

この本の概要

時は元禄、東北の小藩の山村が、一夜にして壊滅した。隣り合い、いがみ合う二藩の思惑が交錯する地で起きた厄災。永津野藩主の側近を務める曽谷弾正の妹・朱音は、村から逃げ延びた少年を助けるが、語られた真相は想像を絶するものだった…。太平の世にあっても常に争いの火種を抱える人びと。その人間が生み出した「悪」に対し、民草はいかに立ち向かうのか。
「BOOK」データベースより

買ってたけど読んでなかった小説。
お久しぶりの宮部みゆき、やっぱり間違いない。最高におもしろかった!!

大学生の頃、友達から勧められて宮部みゆき作品と出会ってから私の読書ライフがはじまったといっても過言ではありません。
私の読書体験の根っこにあるのが宮部さん。

宮部さんの時代物、すごく好きなんですけどこれもまたおもしろいわ〜〜。宮部作品は、世の無常さとか、人の世のどうにもならないこととかを描くのが本当にうまい。

物語の内容は江戸版シンゴジラって感じです。
映画にしたくなる作品だわ。

ワタクシ的名台詞

「やじ、悲しいとは思わないか」
(中略)
「こうしたことをみんな、誰も悪いと思ってしているのではない。よかれと思ってやっているのだ」
呪詛にしろ、お山の怪物にしろ、曽谷弾正が永津野でやった養蚕の振興策や、人狩りでさえもそうだ。我が藩を富ませるため。我が藩の領土のため。大事な家族のため。この地に生きる民を守るため。
「だから、追及すればするほどに悪事は消えていってしまう。残るのは悲しみと不信ばかりだ。」
(P657)

こういうこと、多いよね。
ほとんどの出来事がそうだよね。
良かれと思ってしていることの蓄積が結果として悲しい結果をうむことも多い。
高い視座で物事をとらえられるようになれば、個別最適ではなく全体最適をはかれるのだろうけど、余裕がなかったり、閉じた世界だったり、みえないことが多い世界で、その視座をもつことは、とても難しいのではないかと思う。

全体最適をはかる視点を持っているっていうことは、それだけ余裕があり恵まれた環境なんだろうな。



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