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【読書感想】「天地明察」沖方丁

読了日:2012/6/2

本屋大賞などなど各種賞を受賞した話題作。

江戸時代徳川家綱(4代目)のころ。碁で将軍家に仕えている渋川春海は、碁の実力を十分にもちながら、自身の境遇と定型的な碁ばかりを打たねばならない現状に飽き、算術に夢中になっていた。
そんな春海に目をつけた幕府の老中酒井は、彼に北極出地(北極星観測)の旅を命ずる。
旅をし、仲間と出会い、別れ、挫折を繰り返していくなかで、この時代に長く使われていた暦が大きくずれていることに気付く。
その後、晴海は、新たな暦を世に広めるべく奔走する。
というストーリー。

色んな賞をとっただけあって、気持ちよく感動的でなんとも暖かい読後感。
通勤時に読んでるけど、ところどころウルウルしてしまった。
一人の人の生きざまを描いている感じなので、フィクションだけど伝記を読んだ気分。

主人公がいい。
素朴で謙虚、他者に対してきちんと敬意を表し、算術への情熱もすごい。
メインの仕事である碁の実力もあるし、事業成功への根回しもうまい。
でも女性には不慣れ。理想的男子。

私は気がきかないし、根回しとか裏で色々な可能性を考えていくというのがあまりできないので、この人の仕事能力の高さが、本当に意外でかっこよかった。

最近、警察とか殺人とか殺伐とした内容のものを多く読んでいたので、すごくいい気分で読めた。
特に、建部・伊藤という老人たちが出てきてからグググッと引き込まれた。
この二人、ステキ。

ワタクシ的名文

誤謬もまた答えの一部である。誤謬が増えていけばいくほど、たどりつくべき正答の輪郭が浮かびあがってくる。
算術だけだった。これほどの感情をもたらすのはそれしかなかった。
飽きないということはそういうことなのだ。だから怖かった。
あるのは歓びや感動だけではない。きっとその反対の感情にも襲われる。
悲痛や憤怒さえ抱く。己の足りなさ至らなさを嘆き呪う。達したい境地に
届かないことを激しく怨む。名人たちはそうした思いすら乗り越えて勝つ。
それが勝利だった。
「それは良い。全霊を尽くして誤答を出すがよい」

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41歳の会社員。Gallupストレングスコーチ(仮免)。 男子3兄弟(9歳、6歳、2歳)の母。 読書感想文、Bリーグの観戦記録、日々のくだらないことを書いてます。 Twitterはこちら https://twitter.com/motokoo68?s=09

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