【読書感想】ベンチの足 佐藤雅彦
この本の概要
NHK教育テレビ「ピタゴラスイッチ」や「0655」などを生み出し、
東京藝術大学映像研究科で教鞭をとる筆者が書き綴った、
『暮しの手帖』の大人気連載をまとめました。
ある夜、公園で背の高いベンチを見た。
妙だと思って、よく見てみたら、
そのベンチには大きな足がついていた――。
日常には、数え切れないくらいの「妙」があり
そのつど学ぶ理と、それでもこぼれる不可解さがある。
現代の考える人、佐藤雅彦による面白くて鋭い考察集。
好評を博した『考えの整頓』、待望の第2集です。
Amazonの説明より一部抜粋
感想
ピタゴラスイッチでお馴染みの佐藤雅彦先生のエッセイ。
前に幼馴染とオンライン飲みしてたときにこの本おもしろいと教えてもらい飲みの勢いで購入。(飲んでるとこういう買い方しがち)
おもしろかった!!
佐藤雅彦先生の視点は本当に独特だなぁと思う。妙なことがよく起きる、ということが書かれているけども、この人の目と頭で物事をとらえるからこそ、この世のいろいろな「妙」を発見できるんだろうなぁ。
理系の教授でエッセイのなかにも数学的な話がでてくるんだけど、数学苦手な私でもおもしろがれるような表現や説明なので、思わず一緒に考えてしまう。思わずためしてしまう。
おもしろいなぁ。
本のなかで紹介されてた「指を置く」という書籍が気になりすぎて、Amazonで買ってしまった。単行本だけど届くのが楽しみ❤️
ワタクシ的名言
失敗とは、確かに、ある事がうまくいかなかつた、予定通り行かなかったことである。しかし、これを別の角度から考えると、普通では得られない体験、つまり通常取得できない情報や知見がそこには含まれている可能性があるという事である。
p112 「あぁ、またやってしまった」より
めちゃくちゃいいこといってるんですけど、この考えに至る失敗ってのが、ティッシュ入れたまま洗濯しちゃったっていう主婦あるあるなやつなんですよ。
洗濯物に着いたティッシュをパタパタしながらそれぞれの洗濯物とそこについたティッシュの残骸を集めて写真とったりしちゃってるっていう。
ティッシュ入れて洗濯しちゃうっていう日常の失敗も見方を変えればおもしろくなるんだなぁとじんわり教えてくれます
いや、とはいえ心と体に余裕がないとこんな気持ちまで消化できないと思うけどね…。
私たちは、数えきれない程多くの『思わぬ誰か』や『思わぬ何か』に頼って生きている。その思わぬ何かについて、思いやることは複雑な現代社会のシステムでは不可能に近い。でも、公園のベンチは、その気遣いや感謝は必ずしも必要ではないということを教えてくれた。それに対して無頓着でいることが決して不遜な態度ではなく、自然な態度であることも。
逆に、自分が誰かや何かから、頼られる存在である時、それがうまく達成しているときには、感謝や気遣いが生まれにくいということも示している。
p209-210 「ベンチの足」より
あーわかる、めっちゃわかる。
子と親の関係性がホントそうだよな、と思う。
で、夫婦はこの関係性であり続けるのは難しいんだろうな。パートナーには感謝してほしいし気遣いしてほしいという思いがどこかにあるんじゃないかしら。
それがなく、片方が無頓着すぎると大概の場合、関係が綻んでいくのだろうね。
無頓着でいい関係性と、そうではない関係性ってのがそれぞれありそう。そして、無頓着でいいっていう関係性はもしかしたら少しずつ減ってってるのかもしれない。
さいごに。
佐藤雅彦先生の「もぐらバス」って絵本、おすすめです。
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