【 読書感想】 ティール組織 フレデリック・ラルー

この本の概要

この本は、新しい組織モデルの話です。

今の社会。
多くの組織(会社など)で、大小さまざまな、ほころびや無理がでてきています。
成果や成長を追い求め実力主義できたけども、機械のように働かされ、主体的に仕事できず、やらされ感での仕事ばかり…。
日本だと過労死もあるし、全体的にあまり幸せになっていない…。

そんななかで、世界を見渡したとき、新しい組織運営の仕方を実践している企業がありました。
従業員もハッピー。
その会社の顧客もハッピー。
売上も成長もハッピー。

この本の作者、ラルーさんは、それら会社を調査し、共通ポイントを見つけ、この特徴を持つ組織を「Teal」と表現しました。
この本では、組織の発達段階をなぞりながら、新しいTeal組織がどのような特徴を持つのか、Teal組織になるにはなにか必要なのか、を説明しています。

組織の発達段階

この本では、組織の発達段階を、色で表現しています。
それぞれについて、かんたんに説明します。

神秘的(マゼンダ)
数百人の人々で構成される。
自己と他者の区別が始まるが世界の中心は自分。
物事の因果関係への理解が不十分。

衝動型(レッド)
組織生活の最初の形態。
数百人から数万人の規模へ。
力恐怖による支配 。
マフィアギャングなど 。
単純な因果関係の理解により分業が成立。

順応型(アンバー)
部族社会から農業、国家、文明、官僚制の時代へ 。
時間の流れによる因果関係を理解。
計画が可能に。
規則、規律、規範による階層構造の誕生。
教会や軍隊。

達成型(オレンジ)
科学的イノベーション、 起業家精神の時代へ。
命令と統制から予測と統制。
実力主義の誕生。
効率的で複雑な階層組織。
多国籍企業。

多元型(グリーン)
物質主義の反動としてのコミュニティ型組織の時代へ。
平等と多様性の重視。
ボトムアップの意思決定。
文化重視の組織。
多数のステークホルダー 。CSR。

進化型(ティール)
変化の激しい時代における生命型組織の時代へ。
自主経営(セルフマネジメント) 、全体性(ホールネス)、 存在目的を重視する独自の慣行。

時代とともに新しい組織への進化が発生してきていますが、世の中全部が同じようにアンバーになるとか、オレンジになるってことはありません。
たとえば現代社会の企業の多くは達成型(オレンジ)ですが、その現代でも、暴力的で殴ったりする経営者の会社、極道の世界なんかは衝動型(レッド組織)でしょうし、役所のように規則ありき、ルールガチガチの組織は、順応型(アンバー)が多そうです。

ま、詳細な違いは読んでください。

Teal組織 3つの突破口(ブレイクスルー)

Teal組織になるためには3つの突破口があります。それらをものすごくざっくり説明すると以下のような感じに。
(ものすごーーーくざっくりです)

自主経営(セルフ・マネジメント)
階層構造がなく、小さなチーム(10-15人くらい)で活動する。上司、部下はなく、メンバーの関係性はフラット。チームがほぼすべての決裁権をもち、上の立場の人の決裁を待つ、などはない。
チーム内でも強制的に何かを強いることはだれにもできず、なんらかの助言システムと徹底的にオープンな風土のなかでチームや組織を運営する。

全体性(ホールネス)
会社とプライベートで自分を区別することなく、自分をさらけ出して職場に来ることができる。

存在目的
なんのために組織があるのか、なんのためにそこにいるのか、が明確。
組織の存在の根幹をなす。

サイボウズとの比較

Tealについて、私ごときがだらだら説明するのも違うので、ここからは私が思ったことをつらつら書きます。

私がつとめているサイボウズは、一応働き方改革先進企業、みたいな感じでメディアに紹介されることがちょくちょくあります。

が、Teal組織の本を読んでみたら
「うちも、まだまだなんだなー」
ということがわかりました。

とはいえ、部分的にはTealっぽさもあります。

たとえば、「存在目的」。
サイボウズの企業理念は、
「チームワークあふれる社会を作る」
「チームワークあふれる会社を作る」
です。
社員全員が理念を言えるし、社員のほぼすべてがこの理念を、仕事の上でさまざまな判断の基準にしていると思います。
(社員でもある程度、理念への共感度は異なるので、ぶっちゃけ全員ではないと思う。)

公明正大ってところもTeal的。
情報が上から下まで、ほぼすべて公開されていて、グループウェアに全部情報があるし、ウソがない。
突然なにかが決定されて、上から降ってくることはほぼなくて、決めていく過程から全部オープン。

全体性(ホールネス)は、要は
「仕事中だから真面目に働かなきゃ」
とか、
「仕事中はプライベートとは分けて考えるべき」
というんじゃなく、ありのままの自分で仕事するってことで。
これも他の会社よりはだいぶありのままな社員、多いんじゃないかなぁと思います。
でも、それでもわたしの体感的には半分以下かなぁ…。
(ま、実際、他人のありのままとかわかんないですけどww)
とりあえず私個人に関して言うと、仕事とプライベートはほぼ同じです。

他にもいくつかTeal っぽいところがありますが、長くなるので省略。

うちの社長の青野さんは記事のなかで、
「サイボウズはオレンジ」
と言っていました。
私の個人的な感覚としては、オレンジとグリーンがメインで、すこーしだけティールが混ざってる感じ?みたいに思ってます。
アンバー的な要素もたぶんチームによっては多少あるのかもしれない。

ティール組織はいい組織なのか

サイボウズ式の記事で、
「ティール組織がよいとは限らない」
というようなことが書かれていました。

たしかにその通りで、変革に伴う混乱はあるし、時と場合によってはTeal じゃない運営の仕方がよい場合もあるんだとは思います。

でも、なかにいる人の多くが主体的に、幸せを感じて仕事をできる世界というのは、やっぱり目指す価値はあるんじゃない?と、私は思います。

グリーンは、同調圧力が発生しそう。
日本はもともと同調圧力の強い国民性なので、輪に入れなくて疎外感を持つ人もたくさんでてきそう。
物事を決めるのも難易度高そうだし。

アンバーやオレンジの組織は、全体的につまんないっていうのは、もう今のこの世界を見てても明らかなんじゃないかなぁ、と思えます。

だったら、やっぱ、目指したいじゃない、Teal。

Teal組織にいる自分を想像する

居心地よさそうなTeal組織ですが、本気で自分のチームがTeal化した場合ってのを想像すると、ちょっと怖いなぁとも思います。

私は平社員で、普段からなにかの決定権をもっていないので、
「自分で決めていいよ」
と言われると、
「え、マジすか?」
となります。
いや、まぁ、うちの会社はオープンに相談できるし、助言ももらえるし、最終的にはやれと言われれば自分で決められるとは思いますよ。
でも、自分で決めたらその責任を全部自分が負うわけで、言い訳できなくなる。
それはけっこうヒリヒリする感じがします。

ただ、それでも私はTealな世界を望みます。
自由でいたいし、誰かに代わりにごめんなさいしてもらうより、自分でごめんなさいって言いたい。
(私はね。)

Tealな世界はこれから拡大する?

個人的には、どんどん拡大してほしい。
主体的に仕事したほうが、同じ仕事するでも楽しいと思うもの。
誰かに管理されたり命令されるの、すごく嫌いだし。

ただ、私たちの世代も、今の子どもたちも、日本の人たちが受けてきている教育は、順応型(アンバー)か達成型(オレンジ)だと思うんです。
ほとんどの人が、骨の髄までアンバーかオレンジの視点で生きてると思うし、特におじさんおばさん世代は自分の価値観が出来上がってる世代でもあるから、最適だと思うものの見方を見直して、Tealな視点を持つというのはすごく難しい。
普及するのはまだまだ先になりそうな気もします。

逆に、ポジティブに見てみます。
よくよく考えたら、私、年功序列から実力主義に世の中が変わってくのをちょうど生きてた世代なんですよね。
「実力主義になって年功序列じゃなくなったらどう変わるか?」みたいなニュースやってたの、見た記憶があるし、当時はかなり賛否両論あったのも覚えてる。
それって、たぶん日本全体が順応型(アンバー)から達成型(オレンジ)にシフトした時代で…。
最初はごちゃごちゃ言ってたけど、結局世の中も急速に実力主義が当たり前になったし、流れがくれば普及するのはすぐなのかもしれない。
そう考えると、Teal 組織が増えてくのも、割とすぐかも?!

みんなが好きな組織を選べるように

なんにしても、まずは自分がいる組織が、どの発達段階にいる組織なのか、自分のいる組織とはまったく違う世界も実はあるってことを知ることがとても大切だと思うんです。
そのなかで、自分はどの組織にいたいのかを主体的に選べるといいなぁと思います。

全員が全員、自分で責任を負いたいわけでもないと思うんです。
特にアンバーやオレンジの視点で育てられた私たちは管理されることに慣れすぎているし、自分で責任をとって生きることに慣れてない。
そういう人にとってはTealはすごく怖い世界な気がします。
管理してほしいという人もたくさんいると思うので、そういう人はそういう組織に。
そうじゃない人はそうじゃない組織に。
いい感じに自分のいたい場所を自分で選べるようになるといいな。

本当のTeal 組織は私もまだ未経験だけど、とりあえずTealでもそうじゃなくても、ひとりひとりが楽しく生きられるような世の中になるよう、私もがんばろ。
まずは自分がいたいと思う場所に行く。
作りたい世界を自分で作る。
(フッ、決まった)

※会社のこととか色々書いてますが、この文章はすべて私の個人的な感想です。
会社や組織の方針とは関係ないっす。念のため。

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