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【読書感想】「シンメトリー」 誉田哲也

読了日:2012/5/22

女刑事姫川玲子シリーズ第三段。
短編集で全7編から構成。

7編の並びとタイトルがシンメトリー(左右対称)。
ネタバレになるのはよくないのでストーリーはざっくりと。

①東京・・・玲子が25歳で若手の頃の話
②過ぎた正義・・・正義感ある元警官の話
③右では殴らない・・・変死体と女子高生の話。オチが「右では殴らない」(笑)
④シンメトリー・・・左右対称であることに執着する犯人の話。
⑤左だけ見た場合・・・マジシャン(超能力者?)の殺人とその犯人探しの話。謎解き(オチ)が「左だけ見た場合」。
⑥悪しき実・・・同棲相手の死亡を通報して行方不明になったホステスを探して真相をつきとめる話。
⑦手紙・・・玲子が今泉の目にとまるきっかけになった昔の事件の話。

タイトルだけじゃなく、内容も軽く対称になっていることに後書きみて気付いた。

ストロベリーナイトやソウルケイジなどの長編と比較すると、それぞれのストーリーはあっさりめ。
長編を読んだときに感じた「ゴイゴイ読ませるパワー」みたいなのはそこまで強くない。
他の作家の短編集みたいに、すごい後味の強い話も特にないので、サラリと読める。

でもそれが新鮮でよかった。
姫川シリーズの長編は結構インパクト強めなので、こういうあっさりテイストも美味しく感じた。
シリーズがもっと増えてきたら、またこういう短編集を出してもらいたい。より姫川ワールドを堪能できて世界観に厚みがでそう。

私は「右では殴らない」が気持ちよくて一番好き。

ワタクシ的名セリフ

「未成年だろうがなんだろうが、社会の一員として生きるなら、それ相応のルールは守れといいたい。それが守れないのなら社会から排除される覚悟をするべきだ。」
(右では殴らない)
「原則としての法律が守れない最低の人間に、自分の中のどうにでもなる決めごとなんて守れるはずがないのよっ。」
(右では殴らない)
「人の営みってのはそもそもそういうもんさ。終わらないから徒労なんじゃない。繰り返し、循環させ、維持していくことにこそ意味がある。」
(左だけ見た場合)

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