【読書感想】人の気持ちがわかるリーダーになるための教室 大岸良恵

この本の概要

情のあるリーダーを目指す人へ。知・情・意を磨くための名著31冊と演習。
「BOOK」データベースより

Gallupの認定ストレングスコーチになったというのを以前のnoteで書いていたのですが、このストレングスコーチの師匠、大岸さんの書籍。師匠の本は読まねばなるまい、と購入していましたが、なかなか読めず数か月積ん読になっておりました…(大岸さん、ごめんなさい…)。

この本は、大岸さんが母校東大で行っている「栴檀(せんだん)ゼミ」(←漢字が難しくて何回読んでも読み方を忘れがち…)の内容を書籍にしたものです。文学作品や経営本などさまざまな書籍を「リーダー」という視点で読みこんでいきます。
それぞれの課題図書ごとに大岸さんからの「問い」が投げかけられます。それを自分なりに考えたうえでヒントやエクササイズ、コラムを読んで情のあるリーダーになるための視点を育てていくのですが、ひとつひとつの問いについて考えるのも楽しいし、たくさんの課題図書が紹介されるので、その課題図書への興味も出てくるし、コラムも本当に納得できることが多くて、とても良かったです。

気になった課題図書

課題図書、読んだことのないものが多かったのですが、冒頭に概要が書かれているので、おおまかなあらすじを知ることはできます。概要を読んで、本物を読んでみたくなったものがたくさんあったので、備忘録としてここに書いておきます。あとで読みたい。

・藪の中(芥川龍之介)
死体があって、三人の容疑者がいて、それぞれ自分が加害者だと言う。誰が本当の犯人なのかは、藪の中っていうざっくりいうとそんな話。
読んだことあったと思うけど、もう忘れてしまったので、リーダーという視点でもう一度ちゃんと読みたい。
(「藪の中」をリーダー視点で見るというのが斬新すぎて「こんな本の読み方があるのか!!」と驚きました)

・「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル
ナチスの強制収容所アウシュビッツに送られ、過酷な収容所生活を生き延びた心理学者、ヴィクトール・E・フランクルの体験記録。
メンタルが元気なときに読んでみたい。

・アルケミスト(パウロ・コエーリョ)
アンダルシア平原のクラス羊飼いの少年サンチャゴの旅のお話。夢でみた宝物を得るためにエジプトのピラミッドに向けて旅立つけど、紆余曲折あってなかなかうまくいかず、でもそのなかでも色々頑張りながら最後には宝物を見つける、というストーリーらしいのですが、ストーリがおもしろそう。

・木を植えた人(ジャン・ジオノ)
独りぼっちで森に住む羊飼いとあった主人公。羊飼いは廃墟のようななかで、どんぐりの実を植え続けていたんですが、何年もたち、久しぶりに見に行ったら、村ができ、植物が育ち、草地が広がっていた。
たった一人で希望の実を植え続け荒れ地から森をよみがえらせた孤高の人の話。
大岸さんがこのゼミを始めようと思ったきっかけの本とのことで、私も読んでみたいと思いました。

ここ数年、ビジネス書籍の割合が増えていたんですけど、大岸さんの課題図書をみてると、小説とか物語もまた読みたいなーと思い始めています。

ワタクシ的名言

大岸さんのコラム、書籍のセリフなどのなかから私の心にビビッときたセリフをいくつかご紹介。

自分を含めて人間には、さまざまな欠点や不完全さがあると気づくことが、「情のあるリーダー」の第一歩です。

本当にそうですよね。私は今はリーダーでもないですし、我が子以外に誰かに教育するような立場でもありませんが、この「不完全さ」を心から知ることは、リーダーじゃない人にも必要だし、リーダーには絶対に必要なことだと思います。
そういうリーダーが増えてほしい。


自分の心に、思い込みを入れてしまったのは、自分自身であることに気づきましょう。意思やレジリエンスを鍛えることで、自分の心に思い込みを入れないことはできます。大事な自分の心を自分自身の意志で守ることは可能です。自分の心の扉の開け閉めは自分の手で行いましょう。

人は自分のなかでの「思い込み」「解釈」でぐるぐると考えてしまうことがとても多くあります。その「思い込み」が自分自身にダメージを与えることも多くあるので、まずはその「思い込み」に気づき、コントロールしていこうね、というお話。
あー、沁みる。本当にそうですよね。「解釈」と「事実」に分けるよう思考をトレーニングする。大事。


希望の拠り所を、自分のコントロールが及ばない「外」の事柄に預けてはいけません。なまじ信じるからこそ、裏切られたときのダメージが大きくなってしまうのだと理解して、自分のコントロールできるところに信じる基盤を持ちましょう。

私の大好きなBリーグチーム・千葉ジェッツの大野HCは選手に繰り返しこう語っています。「「コントロールできること」と「コントロールできないこと」を把握し、「コントロールできること」にフォーカスする」と。
大岸さんが言っていることは、大野さんが言っていることと同じ。私たちはコントロールできないところに期待や希望を持つから思い通りにいかないと感じたときに傷ついたり、残念な気持ちになってしまう。ちゃんとコントロールできるところに自分の意識を置き続ける。
すごく大事だな~~と、最近、身をもって感じています。私自身、自分でも気づかない間に、コントロールできないところに希望や期待をもっていたのですが、それは違うな、と気付きました。
私はもっと自分でコントロールできるところにフォーカスしなければならないし、コントロールできないと感じている場があるなら、コントロールできる場を作ろう、とそう思いました。最近の自分の心境と重なってめちゃくちゃうなずいた…。

自信がない、自己効力感がないという人は、小さな目標を立てては達成するという経験を積みます。できれば自分のためだけではなく、他者のためになる目標を達成してみてください。気が付いたら本物の自信がついているはずです。

私も基本的に自己効力感が低めなほうで、いつもネガティブ感情と向き合っているので、ちいさな目標と達成するという経験を増やしていこうと思います。できることをコツコツと。


リーダーシップ論として読むのももちろん面白いのですが、本を読んで感想文を書いている自分としては、「本の読み方」という視点でもすごく刺激がありました。こういうふうにテーマをもってひとつの作品を読んでみるのはおもしろいなーと。
「藪の中」を「リーダーシップ」の目線で読むなんて発想、なかったもんね。

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