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「ルー=ガルー 忌避すべき狼」 京極夏彦

読了日:2012/1/12

京極夏彦作品は大概読んでるけど、近未来の話は初。

価値観、社会の仕組みが、今とは大きく違う近未来。
少女連続殺人が起きて、それに巻き込まれていく少女たちと大人たち。

相変わらず、登場人物全員が理屈っぽい。
登場人物に天才少女がでてくるけど、それ以外の14歳も、あれだけ論理的に話が出来るならみんな天才だと思う。
とはいえ、この理屈っぽさが京極作品の面白さでもある。

京極堂シリーズより妖怪説明が少ないぶん読みやすい。
この人の文章は、空気感とか風景描写とか、独特の情感があってすごく好き。

ワタクシ的名文

「だから自分はこんな性格だなどと平気で口にできるものは、自己を何らかの形で規定することがただの逃避であり、まやかしだということにすら気づかない愚か者である。そしてそれでもまだ安心できない臆病者は、しくじってしまった他者を異常だ異常だと誹謗するのだ。」

このあとに続く文章もいい!

犯罪者とそうじゃない人の差は紙一重だと思うので、この表現にとても気に入った。

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