オムレツトマト

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やさしい味のケーキ

もうお会いすることがなくてなって30年以上が経ちました。 今思い返してみると おかあさんのような ぬくもりをいつも感じていました。 手料理をよくいただいたものです。 あの味が今も忘れられません。 美しい心というのは 言葉の声色だけで無く 料理の味にも 波動するものなんですね。 私も、そんな美しい心の持ち主に なりたいと願います。 長い時間を経てしまった今 言えないままだった お礼を言いたいのです。 とても身勝手な私に 沢山の愛情を 注いでくださいました。 ありがとう

    • キャベジンのコマーシャル

      テレビがまだ白黒だった昭和40年代頃の出来事だった。 当時キャベジンコーワのコマーシャルが頻繁に流れていた。 これが始まると、わたしはテレビの前で食い入るように見届けていた。 森繁久彌さんだった。 わたしは当時4歳くらいだったと記憶する。 幼な心とはこう言うものなのだろう。 「まだ売れないんだなー」 これを観ると心が痛んだ。 森繁さんが不憫に思えて仕方がなかったのである。 ある日のコマーシャルだった。 確かに 森繁さんの様子があきらかに いつもと違っていた。 「とうとう切羽

      • わたしの昭和の羽犬塚

        羽犬塚駅の改札を出ると ロータリーの向こうに 小さなヤマザキショップがあった。 夕闇の田舎町に、ポーッとあたたかな店の明かり。下り電車が到着すると、仕事帰りの人々でひしめきあった。恰幅のいい中年の店主はテノールボイスで「いらっしゃい」と、笑顔で客を迎えていた。店内に並べられたパンやお菓子は、ひときわ美味しそうに見え、スチームのガラス扉を開けると、蒸しあがった肉まんの匂いと共に、立ち昇る湯気が店先を白く曇らせた。 駅の右側にあるバス停の後ろにはレストランがあった。 名前はもう覚

      やさしい味のケーキ