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【飼い主目線】爪を切れない猫の爪を切る方法・番外編

猫が、爪を、研いでいる。ガリガリガリガリ…その音がする度に「爪を切らなければ」となる飼い主は多いだろう。猫の爪研ぎは、「爪を尖らせるためにする」もので、「爪を短くする」ためのものではないからだ。爪が尖れば尖るほど、飼い主や同居猫に負傷させる可能性が増える。負傷すれば、手当が悪いとニンゲンの医者や動物の医者にかかる機会もあるかも知れない。そんな面倒なことになる前に、爪は短く整えておいたほうがよいのは自明だ。

そうは言っても、ニンゲンに懐いている猫ばかりでは世の中、ない。ガチ野良から保護されて家猫になった子など、まだまだ不信感盛り盛りで触ろうものなら「ブッシャー!!」となる子は古今東西話に尽きない。今日はそんな子でも爪を切れる方法を紹介したいと思う。

まずは動画にまとめた。動画には動画用の説明文が付いているので、お時間あったらそちらにも目を通してほしい。

爪を切るコツは動画用の説明文にほぼ盛り込んだので、爪切りに関するエピソードなどをこちらでは綴っていきたい。我が家に最初に来たチャコさまは、当初は人間不信甚だしく、触ることもできず、もちろん爪切りなど夢のまた夢であった。保護団体から我が家に居を移してから数ヶ月、そろそろ爪切りだねと、思ったものの自分ではできない。これは動物病院にかかるしかないかと、大乱闘の末、チャコさまを部屋の隅に追い詰め、キャリーをがばぁと被せて捕獲。連れて行った。

ところが。動物病院でキャリーをぱかっと開け、獣医を見た途端にチャコさまは渾身のパンチを一発、獣医に見舞ったのである。これは強烈だった。チャコさまは息も上がり、黒目もどん開きで、極度の興奮状態だった。獣医でも手が出せない。「爪切りのためだけに鎮静をかけるのも可哀想なので、今日は何もしません」ということで、とぼとぼと家路についた。

そして保護団体に「爪が切れないのですけど、どうしたら」と相談。そして保護団体の指導・支援を受けながら、私自身、爪切りを体得していった。完全に独り立ちできるまで二年間、かかった。今ではもう、一人でもチャコさまの爪切りができる。相変わらず逃げ回るし失禁もするし、毎回大騒動ではあるのだが、保護団体さんの手を煩わせなくなった分、はるかに成長である。

チャコさまはニンゲンが超苦手な子だった。それを半年以上かけて、慣らした。慣らした時の記録は、以下にある。

手製の柄の長いブラシでなで(より簡単には歯ブラシに柄をつなぐ)、なでられることは気持ちいいと覚えさせ、徐々に徐々に手の持つ位置をブラシに近づけてゆく。最後はブラシでなくニンゲンの手でなでられるようにする。根気よく訓練を続け、チャコさまはどうなったかというと、触られることは許さないが自らニンゲンにすり寄ることはできるようになった。それだけニンゲンを信頼するようになったのだ。なので、爪切りの際、毎度毎度の大乱闘になっても、信頼関係が壊れることなく、すぐに機嫌を治してくれる。

どんなにガチ野良出身でも、諦めるのはまだ早い。根気強く接していれば、猫はいつか心を開く。ニンゲンで言えば三歳児の知能を持つと言われる猫。三歳児に根気強く接すればどうなるか、ニンゲンだとどうなるかで考えれば、そりゃ猫でも猫なりにいろいろ考えるだろうし、この人が信頼できると判断すれば態度にも出す。

今、猫とのコミュニケーションに悩んでいる方がいたら、長い目で見て、諦めないで欲しいと伝えたい。あんなにシャーシャーと牙を剥き、爪を出してパンチしていたチャコさまでさえもこうなった。今でも爪切りの時に追い詰めるとブシャーだしパンチだし失禁もするが、信頼関係がなかった初期の頃と今とでは違う。初期は「怖い」今は「嫌だ」なのだ。感情が違う。

あなたの隣にいる猫は、あなたの隣にいたいからいるのだ。誠実に猫に接していれば、いつかそうなる。そうなる日がいつか訪れる。

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