「みんな彗星を見ていた」星野博美著 百冊挑戦の一冊。


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1月から始めた一年で百冊本を読む百冊挑戦。楽しく好きな本を自由に読み進めているのだが、一緒に読んでいる仲間が毎月読んだ本をnoteにまとめているのを尻目に、全く記録していないのである。とにかく読書感想文的なものがとても苦手なのだ。

でも、とにかく気に入った本のことだけでも書いてみるようにと林千晶ちゃんに勧められたので、しぶしぶ書いてみることにした。PCを開けるのは億劫なので、ベッドの中でごろごろしながらスマホで書くことにした。これならなんとか出来そうな気がする。

今日読み終わった、この本。3月のおすすめ図書にした「転がる香港に苔は生えない」の著者、星野博美さんが、キリシタンのことを調べて書いた一冊。星野博美さんの文章や著作はとにかく大ファン。なぜなら、そこいらの本とは厚みがまったく違うのだ。

最初は、神田でリュートという楽器を習う話から始まるのだか、気軽に読もうと思ったら全然違う。日本でのキリシタンの迫害、殉教のこと、聖人の意味。さすが星野さん、夥しい量の文献を調べ、関連する各地に足を運び、最後は調べている人たちの生まれ故郷、スペインまで訪れ、そこに住む人々に大きなインパクトを与えてそれを7年もかけてまとめている。とにかく調査しまくって、そして本当に文章がうまい。1600年の事を書いているのに、400年も前の人たちに思いを寄せる星野さんの目を通して、まるでそこにいるかのように起こった事が蘇る。

香港に続き、またしても一緒に旅しているかのような気分にさせられる。文庫本一冊で、旅をして、歴史を知り、心を揺さぶられる。描かれる一人一人の人物の心に入り込み、それを近くで見ている気持ちになる。事実そのものの把握と感情移入の狭間を行ったり来たりする独特な感覚。

騙されたと思って一度読んでみて欲しい。


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